実家は、福岡市内から電車で30分の街。駅からはさらに車がないと不便な距離だけど、かといって田んぼと畑しかないような田舎でもない。
家の裏には、中学生の時に開通した大きなバイパスがあり、飲食店、衣料品店、スーパー、TSUTAYA、コンビニなんかがずらりと並んでいた。歩いている人はほとんど見かけないけど、車の交通量はとても多いようなところ。
上京したのは、大学進学のため。東京に憧れがあった私は両親の反対を押し切って、東京の大学を受けた。
東京に行けば、なんでも夢が叶うような気がした。オシャレな部屋に住んで、素敵な彼ができて、遅い時間まで女友達とおしゃべりする。
今考えれば笑っちゃうくらい、ちっぽけで些細で薄っぺらな願望だけど、それでも当時の私には、それが夢のような世界だった。
そのために進学したのは青山学院大学。「青山」という響きだけで、当時の私にはキラキラして聞こえた。
それから、10年が経った。
2017年の私は、今も東京にいる。もうすっかり、東京の女になった…はず。
大学の頃から6年間住んだ祐天寺を出て、今住んでいるのは代官山。新卒で入ったPR会社では、大きな案件も任せてもらえるようになった。
私の夢は今も同じ。オシャレな部屋に住んで、素敵な彼をつくること。そこに、仕事での成功も加わった。
東京には、いくら頑張っても上には上がいる。だから、オシャレな部屋も素敵な彼も、どこを到達点に設定すればいいのか、まだ模索中。
恋愛の方は……2年近く付き合った彼と、つい最近別れたばかり。この年で別れたと言うと、やたらと同情されるけど、結婚願望がさほど強くない私には、正直大きなお世話。
世間では「東京タラレバ娘」が流行ってるけど、女が全員、あんなに結婚に必死になってるなんて思われるのはちょっと心外。
それとも、あのドラマの主人公のように30歳になったら私も焦っているのかしら。
でも最近、迷いがでてきた。
このまま東京にいていいのかな。私が東京にいる意味って、何かなって……。
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