マリエ・ストーリーズ Vol.4

絶対に、聞きたくなかった...。彼女のインスタ・ストーリーズに1秒だけ響いた、男の声

2017年の東京。

その中で、ますます存在感を増すインスタグラム。

煌びやかな女性の愛用者が多いが、1分程度の動画を投稿でき、24時間で消えてしまう「ストーリーズ」の投稿が賑わい始めてきた。

その投稿側と閲覧側、様々な立場の人間の心理に迫ることで、見えてくるものがある。

2017年の東京人たちは「ストーリーズ」を通して、何を感じているのだろうか?

これまでに、マリエの元同期の美穂、車と片手がマリエのインスタ・ストーリーズに登場し、ぬか喜びする俊明に迫った。

今回は、会えぬマリエをストーリーズ上で追いかけ続ける慎吾に再登場してもらおう。


0.5秒のその声が切なくて


「マリエ...」

たった、一言だけだった。ただそれだけのこと...なのに、彼女のことを呼ぶ男の声が耳にまとわりついて離れない。それはまるで重い鎖のように、慎吾の純粋な心を静かに締め付けて行った。



マリエのインスタ・ストーリーズに、ドライブデートの様子がアップされていたのは2月6日月曜日のこと。

その日は朝からクライアントの怒りを買い、上司の虫の居所も悪く、慎吾にとって全く冴えぬ1日だった。そんな日の締めくくりに相応しい、切ないストーリーズ。自宅がある祐天寺駅に着く手前で、マリエのドライブデートがストーリーズに上がっていたのだ。

明らかに高級車と分かる車内の様子と、慣れた手つきで運転する男の手。

—この手の持ち主は一体誰なんだ...

扉が閉まる間際で慌てて電車を飛び降り、もう一度音声付きでの再生を試みる。

—マリエ...

聞きたくなかった、男の声。何度再生してもその一言しかストーリーズに入っていない。しかしその声は確実に、マリエの隣に座る、高級車を運転する男から発せられたものだった。

画像だけならまだ良かったのかもしれない。しかし視覚より、聴覚の方が脳に残酷に響いてくるのは気のせいだろうか?

二人はこの後何処へ向かい、狭い車内でどんな会話が繰り広げられ、マリエの見つめるその先には何が見えているのだろうか...

街の静けさが、胸のざわつきを更に強くする。時折走る車の音を聞きながら、慎吾は一人、見えぬ男の姿を想像した。

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