男の前で、女は女優であれ
「弘樹に初めて会った時、彼が何となくこちらに興味を持っているのは伝わってきました。」
恵まれた容姿を持つ真美だ。大概の男は彼女に好意を持つだろう。しかしここから結婚まで進めるとなると、色々な計算が必要だったという。
「意外に、年収3,000万クラスの男性って堅実な人が多いんですよね。自分が努力して、一生懸命働いて稼いだお金ですから無駄が嫌い。なので、彼の前ではブランド物は一切持たず、“お金のかからない女“を演じていました。」
東京である程度華やかな生活を送ってきた女性であれば、誰もが一つや二つは持っている高級ブランド品。それらのアイテムを、結婚するまで弘樹の前では封印していたという。
「一度弘樹が家に来た時に、積み上げていたルブタンの箱をどうやって隠すか、かなり焦りましたが...(笑)」
華やかさは大いにあって良い。しかしその華やかさは自分自身から滲み出るものであり、決してモノから滲み出てはならないそうだ。
「恋愛だったらいいんです。でも、“結婚”という目標があるなら、彼の好みに合わせ、さらに理想の妻を先に演じることが必須。“金食い虫”だと思われた瞬間に、負けが確定します。」
実際には、弘樹が持つ年収3,000万というタイトルで頭の中は一杯だった。しかし弘樹の前ではおしとやかで優しい、堅実な女性を演じていたために、弘樹が真美に交際を申し込んでくるのは時間の問題だった。
「結婚する気がないなら付き合わない」宣言
しかし交際を申し込まれてもすぐには返事をしなかったそうだ。
「だって、最終ゴールは“結婚”であって“交際”ではないんです。ゴールの見えない交際なんて時間の無駄。なので交際を申し込まれた際に、ハッキリ言いましたね。“結婚する気がないなら私は付き合えません”と。」
この強気な態度と真美の演技力(?)が功を奏し、結局交際1年半で二人は入籍した。
「参考までに...未だに弘樹は、私が彼の年収を知っていること知りません。彼を紹介してくれた夫婦の奥さまが気をまわしてくださったんです。私も、お金目当てじゃないよ、あなたが好きだからだよ、と信じさせてあげるのも優しさかなと思っていて。」
にこやかに微笑む真美の目が、一瞬冷たくなった。
この記事へのコメント
年収3000万もないですが、僕の妻もこんな感じでしたわー笑
わたしより10歳上の2児の母である会社員時代の先輩がそう言ってました(笑) 相手は、超が付く男前だそうです。