みりんと俺 Vol.9

みりんと俺 最終回:「人は見た目が9割」の男を変えた、“みりん系女子”の魅力とは

素材を甘く、まろやかにする。典子はみりんのような女?


「何作ってるの?」

台所に佇む典子に聞いた。

「ぶりの照り焼き。お魚もちゃんと摂らなきゃと思って…。」

そう言いながら真剣に携帯でレシピを検索している典子の姿が、何とも可愛らしかった。思わず「一緒に作るよ」と言って台所に立った。

レシピは『KURASHIRU(クラシル)』「つやつや!ブリの照り焼き」を見ながら一緒にやった。


引用元:KURASHIRU「つやつや!ブリの照り焼き」


典子は、動画レシピを使うのは初めてらしく、興味津々だ。綺麗に照りが出たぶりは、とても美味しそうに見える。

「いただきます!」

典子が味噌汁と人参の和え物も作ってくれて、2人の夕食が始まった。


「みりんの味って、分からないよな。」

ふとそう思いついて口に出すと、典子はこう言った。

「みりんは味をしみ込みやすくして、煮崩れを防いでくれるんだって。特徴的な味はないけど、甘くまろやかになって、他の調味料とのバランスを取ってくれるんだよ。」

強い特徴はないけれど、バランス良く料理をまとめてくれる。そんなことを話す典子を見ながら、俺も収まるべきところに収まったのかもしれない、そんな気持ちになった。

典子:「マサシは、みりんの魅力にようやく気付いてくれたかな…?」


マサシのことがずっと忘れられなくて、1年ぶりにした連絡。久しぶりの彼は、すっかり毒が抜けていて、何だか少し拍子抜けしてしまった。

背伸びしたがる彼は、何とかハイスペックな美女と付き合おうとしていたようだけど、恐らくそこまでの度量を持ち合わせていなかったんだと思う。そう思うと、昔みたいにマサシを「神」のように崇めなくなっていたので、リラックスして一緒にいれた。

家には、私が置いていったみりんがまだあった。

みりんは、正直、料理をしない人にとっては「何なのか良く分からない」存在だと思う。

それでも、色んな調味料のカドをとって味をまろやかにするみりんは、まさに私の目指す女性像で、彼もようやくその魅力に気づいたのかもしれない。

「何なのか良く分からない」けれど、なくてはならない存在。気付けば絶対傍にいる、そんな女に私はなりたい。

―Fin.

【みりんと俺】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo