青山ヒロム Vol.2

青山ヒロム:東京に住む男には「抱ける女」と「話せる女」が必要だ。

27歳が女の最高値。そんなわけないだろう!

かの伝説のプレイポーイ・光源氏の守備範囲は下は小娘、上は老婆まで守備範囲も広い好色男だったと聞く。

老いも若きも、VIVA WOMAN!

これは、東京で咲き誇るゴージャスな女たちと、アンタッチャブルな男たちが繰り広げる、ファンタスティックで時にはHARD THINGSなLOVE AFFAIR。

今宵も、ラグジュアリーなその夜、覗き見してみよう。

青山ヒロム。38歳。


慈恵医大を卒業後、34歳で独立し、恵比寿で眼科を開業。オフィスビルの中に入っているためテナント料はなかなか強気の値段だが、居抜き物件のため、設備の初期投資を考えれば、スタートとしては悪くないと踏み切った。会社勤めのサラリーマンやOLへのコンタクトレンズの処方、眼精疲労からくる目の疲れを訴える客に、なかなか繁盛している。

これから語るのは、僕の、フィクションのようでいて東京で確かに存在する本当の話。

東京に暮らす男が必要な「抱ける女」と「語れる女」


「女は、若ければ若いほど、いいってものでもないんだよなぁ。」

そう言うと、慶子は、ご満悦のように、「よくわかってるじゃない。」と微笑んだ。

イマイチのデートで燻った金曜日の夜を華麗に染め直すためには、週末を一緒に過ごす気のおけない美しい女友達の存在が必要だ。

慶子は、外資御三家のホテルのウエディング部門を担当している聡明で美しい女性だ。ちなみに、ヒロムの研修医時代1年ほど交際していた「元カノ」でもある。

ヒロムの持論として、男女の友情とは、体の関係を持ってしまった二人の間にのみ生まれるものだと思っている。人間として魅力的でなければ、友達の土俵にすら上がらず、魅力的な女性であればその先に進みたくなるのは当然だ。

だからこそ、男女の友情なんて綺麗事めいたものが存在するのなら、その欲望を焼き尽くしたのち出来上がる良質な炭のようなものに他ならないと思っている。

そういう意味で、一時期、ちゃんと女として愛した慶子との関係は理想的だった。


けやき坂から十番方面に下った雑居ビルの4Fにある『トラットリア・ケ・パッキア』で待ち合わせると、慶子は15分ほど遅れてやってきた。

深夜1時までやっているこの店は、イタリアの定番料理を全てアラカルトで提供している。イタリアワインの品揃えも良く、使い勝手の良いこの店は、気軽な飲み会から、デートにまで幅広く利用できる重宝する店のひとつだ。

テラス席からは、不夜城の六本木ヒルズを臨み、夜風を気持ち良く頬に受けながら乾杯する。

「ラグジュアリーな夜に」

「乾杯」

阿吽の呼吸で慶子が応えて悪戯っぽく笑えば、昨夜のHARD THINGSなんてウソのように吹き飛ぶ。

「昨夜の金曜日のお相手は、どんな娘だったの?」

くすくすと笑いながら、その先の話をせがむ慶子を制しながら思う。都市に暮らす男にとって、女は、「抱ける女」と「語れる女」両方揃って成立する。

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