チヤホヤされたい東京妻 Vol.2

チヤホヤされたい東京妻:先ず、ジャブから始めよ。既婚者デートのお作法

結婚して妻になった途端、女はオンナでなくなるのだろうかー

かつてはあれほど自分を求めた夫も、結婚後は淡白になり、ただ日々の生活を営むパートナーになった。

外見に気を遣い、綺麗な女であろうとしても、褒めてくれるのは同じ主婦ばかり。

私はもう、オンナとしては終わったのだろうか?

そんな疑問を感じた妻が、「自らの女としてのニーズ」を確認するために、密かに食事会に顔を出す。豊洲在住34歳の妻である遥は、既婚者同士のお食事会をよく開催しているというマキコに誘われ、その禁断の扉を開けてしまった。


遥の夫・大輔は非常にのんびりとした男であった。

親が金持ちの子供に多い、幾らかの特徴を全て身につけ、そのまま大人になったような男。

小さな時から親によって満たされ、大人になった今でも親から得た恩恵を何の疑問もなく受け取る。人生において、強烈な野心というものを持ったことがない。

だから遥は、野心に溢れた男や、仕事に情熱を傾け、女に対して滑稽なほどにアピールをするある種の男たちを好ましく思っている。

ただ、無意識に抱いている遥の勝手な偏見で、男たちはある程度の社会的地位と、最低限の品格を身につけて然るべきであった。

そしてあの夜マキコから誘われた食事会には、遥が魅力と感じる性質を兼ね備えた男達がいたー




マキコは例の腕が太い男と話し込んでいる。

遥が手持ち無沙汰に目の前に出された刺し盛りを眺めながら視線を上にやると、起業家だという男と目があった。男は藤田と名乗る。

非日常的な雰囲気に飲みこまれるまま遥は早口になり、生来の旺盛な好奇心で、藤田に率直な疑問を投げかける。奥さんは今どうしているのか。よくこうした食事会に行くのか。

この男から無理やり好かれようとしなくても良いという安堵から、思いつくままを口に出来た。目の前の男に好かれなくても、選ばれなくても良いという気楽さは、何と心地が良いのだろうか。

藤田は始終部屋中に響き渡るような大きな声で笑い、遥の質問が面白くて仕方がないといった様子で、帰り際にごく自然にLINEのIDを聞かれた。

その日の内に食事に誘われたが、遥は返信しなかった。

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