2016.11.22
グローバルエリート大輔 Vol.4外資系アパレルメーカーの宣伝部に所属する29歳の大輔。
将来は世界を股にかけて仕事する、グローバルエリートになるべく日々奮闘している。
大輔は自社ブランド『B&AP』の、日本での認知度を上げる大規模プロジェクトの責任者に抜擢され、プロジェクトを成功させるべく奔走していた。
ある日、同僚で1歳年上の有田が、大輔を陥れようとイベント開催の邪魔をしてきたことが発覚した。それを知った大輔は腹を立てるが、プロジェクトで大きな問題が発生し、それどころではなくなってしまった。
大輔に訪れた最大のピンチ。この難局乗り越えられるのか……?!
vol.1:仕事で大抜擢されチャンス到来。その時、同僚の妬みが静かに始まる
vol.2:出世に嫉妬はつきもの?!同僚の裏の顔がよぎる、悲劇の瞬間
vol.3:暴かれた真実。男の中に宿った天使と悪魔は、耳元で何を囁いた?
急な海外出張。トラブルの解決策を探るが・・・
ブランドの顔として起用した若手アーティストの炎上騒ぎは、収まるどころかどんどん広がった。想定した最悪の事態は現実となり『B&AP』 のプロモーション用に撮影したCMや写真は全てお蔵入りとなってしまい、大輔は限られた時間の中で、代替案を模索する日が続いた。タレントの選定から撮影まで、すべてがゼロに戻ってしまったのだ。
有田の真意を探る余裕もないほど仕事に追われている時、今回のトラブル説明のため急なアメリカ出張が入った。2泊4日の弾丸出張だ。
タイトなスケジュールだが、大輔はどうにか時間を作ってニューヨークの街を歩くことにした。今回のプロモーションのヒントがないかと、僅かな希望を持って歩きまわったのだ。
アパレルショップだけでなく、書店、スーパーマーケットなど、時間が許す限り様々な店を回った。
ドラッグストアに入った際は、このプロジェクトが始まってからというもの、大事な場面で助けられている鎮痛薬『バイエルアスピリン』を見つけた。何気なく飲んでいた薬が世界的に有名なブランドである事をあらためて実感し、大輔は考えた。
世界で認められているものには、認められるだけの理由が必ずある。それは鎮痛薬でもファッションでも同じだ。
『B&AP』も欧米では抜群の認知度を誇っている。それは優れたデザイン、適した価格設定、ブランドの持つ世界観が多くの人に認められているのだと、大輔には自負がある。
ただ、日本を始めとしたアジアではまだ認知度が低い。今回のプロジェクトはその打開策として、本社肝入りだった。だが今となっては暗礁に乗り上げてしまい、大輔は途方に暮れていた。
解決策が見いだせないまま帰国し、有田の姿をみれば気まずい思いを抱えることになり、大輔のストレスは大きくなる一方。頭痛を感じれば、鎮痛薬『バイエルアスピリン』を飲んで、目の前の仕事を片付けるのに精一杯だった。
そんなある日、閉まりかけたエレベーターに身体を滑り込ませるように乗り込むと、そこには有田が立っていた。
―うわっ、乗らなきゃよかった……。
だが悔んでも後の祭り。密室で有田と二人きりになり、気まずい沈黙が流れた。
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