2016.11.15
グローバルエリート大輔 Vol.3外資系アパレルメーカーの宣伝部に所属する大輔(29歳)。自社ブランドの認知度を上げるため大規模プロジェクトの責任者に抜擢され、プロジェクトを成功させるべく奔走していた。
ある日、大事なイベントの直前に大輔が発注した販促物が間に合わない事が発覚し、チームメンバーは大慌て。急いで発注書を確認すると、誰かに納期の日付を改ざんされた形跡があった。
「一体誰が……?」
大輔はある出来事から、犯人は先輩の有田ではないかという疑念を抱えることになり……。
vol.1:仕事で大抜擢されチャンス到来。その時、同僚の妬みが静かに始まる
vol.2:出世に嫉妬はつきもの?!同僚の裏の顔がよぎる、悲劇の瞬間
膨れ上がる、あの人への疑惑・・・
「じゃあ、みんなお疲れ様~!!」
大輔が大きな声で言うと、チームの皆も同じように大きな声を出し、ビールジョッキを豪快にぶつけ合った。
販促物の発注ミスが発覚し、一時は開催まで危ぶまれたイベントだったが、大輔は諦めずにあの難局を乗り越え、今日無事にイベントを終える事ができた。
イベント当日までに間に合わないと言われたTシャツやノベルティは、数を半分に減らすことで、なんとか納期を早めて貰えるよう交渉した。
あとの半分は、大輔が個人的に親交のあるイベント運営会社のプロデューサーに、別の業者を紹介してもらってなんとか補えた。
生きた心地のしない1週間だったがやっと解放されて、大輔は久しぶりに肩の力を抜いた。だが、あの日頭に浮かんだ疑惑は、何度打ち消そうとしても膨れ上がるばかりだった。
無事にイベントが終わった翌日、大輔は有田に近づき声を掛けた。
「有田さん、ちょっと話があるんですがお時間いただけませんか?」
有田は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに爽やかな笑顔を向けてきた。
「おぉ、じゃあ10分後でいいか?あ、昨日のイベント大成功だったらしいな。SNSでウチのこと話題になったみたいだし。よくあのトラブルを乗り越えたよ。さすがだよ。」
屈託のない笑顔を浮かべる有田を見て、大輔の頭は混乱した。
―やっぱり俺の考え過ぎ……?
揺れる気持ちを抑えてコーヒーを飲みながら待っていると、ちょうど10分後に有田は現れた。彼が目の前に座ったのと同時に、大輔は口を開いた。
「有田さん、発注書の納期を改ざんした犯人は有田さんですよね?」