崖っぷち結婚相談所 Vol.13

崖っぷち結婚相談所:傷心の女心に染みる、「元彼」の存在。彼は救世主?それとも...?

典型的な結婚できない女、杏子、32歳。

慶應大学卒業後、丸の内の某外資系金融でセールス職に就き、年収は2,000万円を優に超える。

美人だがプライドが高くワガママな彼女は、男運が悪く全くモテない。さらにハイスペックゆえ、男が近寄りたくない女ナンバーワンとまで噂されている。

婚活に危機感を持ち始めた杏子は、結婚相談所に登録した。婚活アドバイザーの直人からアドバイスを受けつつ2回目のマッチング相手・正木イイ感じになったと思いきや、なかなか進展しない。そして3回目のマッチングでは論外な相手を勧められ、疲れ果てた杏子だが...?


元彼との偶然の再会。ドラマチックな展開に、杏子は...?


「杏子!」

突然名前を呼ばれ、振り返った先には、元彼の知樹が立っていた。

数ヵ月ぶりの再会であるが、知樹は心なしか、男らしさが増し、大人ぽくなったように見える。自分を振った知樹のことは、ここ最近の忙しい婚活の中で、もうとっくに忘れたつもりでいた。

しかし、杏子は思いがけず、胸が強く締めつけられた。その理由は、皮肉にも、今目の前にある『ジョエル・ロブション』が、去年の11月の杏子の誕生日を知樹と二人でお祝いした、思い出深いレストランであるからなのだろうか。

「杏子......。相変わらず綺麗だね...。何か、女っぽくなった?俺、ちょうど杏子と話したいと思ってたんだ。こんな偶然ってあるんだな。ちょっと話せない?」

育ちの良さが滲み出る品の良い顔立ちに、男らしい低めの声。懐かしい知樹は、切なく優しげな瞳で杏子を見つめている。以前の別れ際、関係がギクシャクしていた頃は、もっと刺々しい冷たい視線を向けられたものだ。

「もう、話すことはないわ。」

しかし、咄嗟に杏子の頭をよぎったのは、懐かしさよりも、同期の由香のことだった。万一、知樹の口から「由香と付き合うことになった」なんて聞かされたら、自分はまたショックを受けてしまう。

杏子は逃げるように、足早に恵比寿ガーデンプレイスを歩き始めた。

「待って!俺、杏子のことが、忘れられないんだ!」

知樹の意外なセリフには驚いたが、杏子の足は、何故か止まらなかった。

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