東洋経済・東京鉄道事情 Vol.31

ここが変だよ、日本の英語!日本の鉄道「英語アナウンス」は回りくどい?

オランダ国内で運転される各駅停車「Stoptrein(ストップトレイン)」

種別としてのインターシティ(『都市間の』の意)という呼び名は英国が発祥で、すでに1950年代から列車名として存在しており、1960年代には急行列車の呼び名として使われるようになったが、世間一般に広く知られるきっかけとなったのは、1976年にデビューした最高時速200キロの特急列車「インターシティ125」であろう(125とは最高時速125マイル=200キロを指す)。

日本では、元になる言葉を忠実に訳す例が多いが、このインターシティのように、現地の種別は必ずしも列車の特性を忠実に表しているわけではない。

そのインターシティより停車駅が多い列車が、通常の急行列車、すなわちExpressとなるわけだが、日本と同様、特急すなわちインターシティの大衆化が進んだことで、急行の存在意義が薄れており、快速に相当する料金不要の列車、Regio Expressといった列車が主流になっている。ローカル列車は、Regionalという単語を用いたものが多い。日本風に「各駅停車」と明確に示した種別では、オランダのStoptreinという種別があり、文字どおり各駅停車の種別となっている。

――ちょっとおかしな日本の英語放送

英国・サザン鉄道の車内にある優先席の表示

それまで何げなく聞いていた、日本の車内放送。ネイティブスピーカーや、長年海外で生活している人でなければ、特に気になることはなく、そういうふうに言うのか……程度にしか思わず聞き過ごしてしまうだろう。筆者は、自慢できるほど海外生活が長いわけでもなく、英語も堪能ではないが、今になってふと思い返してみると、「ちょっとおかしいような……?」と感じる表現があったことに気付く。

たとえば、JR山手線車内で放送されていた案内放送のうち、優先席の案内について。私が日々利用していた頃、すなわち少なくとも2012年より以前は、優先席の案内にHandicap passengersとExpecting mothersという言葉が入っていた。

日本で「障がい者」という言葉が、差別的な表現として使われなくなったことと同様、英国でもHandicapという言葉は一般的ではなくなっており、Disabled peopleもしくはPeople with disabilitiesという表現が一般的である。また、Expecting motherは文法的に間違っていて、Expectant motherが正しい。

参考までに、地元のサザン鉄道(Southern)で優先席などに使用される表現を調べたところ、

People with disabilities, Expectant mothers, Elderly passengers, People carrying infants、もしくはDisabled people, Pregnant ladies, Older people, People with small childrenという表記も使われている。

上記の表現は、最新のE235系車両では改善されているようだ。自動放送が普及すると同時に、英語の案内放送も増えてきたが、表現として好ましくない、あるいは一般的ではない部分に関しては、今後も修正されていくだろう。

著者
橋爪 智之 :欧州鉄道フォトライター

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