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エビージョ! Vol.1

エビージョ!:金曜20時、恵比寿西口集合。3,000円の赤いソールを貼り、ルブタンもどきな靴に仕上げる恵比寿女子

「明日、朝早いんで。」嘘も方便と言いますが


「すみません、お手洗い行ってもいいですか?」

紀行からのLINEが気になり、お店へ入ってすぐにお手洗いへ直行する。 時計を見ると、23時を少し過ぎていた。紀行と裕太は違うグループだ。行っても、バッティングはしないだろう。そして何より紀行の会社は裕太の会社より規模が大きく、交友関係もかなり華やかなことで有名だった。

ー了解です、行きます♫こっち終わってからなので、30分後くらいになるかと。ー

慌てて化粧を直し、クロエの香水を胸元につけて気合を入れ直す。こちらは適当に切り上げよう。でも、裕太を手放すつもりはない。フルーツ系のカクテルを飲みながら、携帯電話で時間をチェックする。23:42だった。

「裕太さん、すみません。すごく楽しいしお酒も美味しいし、もっと一緒にいたいのですが... 明日、“朝が早くて”」

「そうなんだ。それは残念だけど仕方ないね。じゃあ一杯飲んだら帰ろうか」


広いようで狭い東京・恵比寿界隈の交友関係


五差路を過ぎ、少し曲がった所の線路沿いにあるマンションのドアを開ける。結局、裕太は家の前までタクシーで送ってくれた。

「裕太さん、引っ越し費用とか家賃出してくれないかな...」

窓を開けるとすぐそこには山手線。線路の音は意外にうるさい。でも、渋谷区東3丁目で恵比寿という立地で12.8万円ならば、それくらいの我慢は必要だろう。家賃も15万円くらい払えれば部屋の広さも立地もアップグレードできるが、今は家賃より靴やカバンに使いたい。

「やば!!行かないと」

再びヒールを履き、勢いよく夜の恵比寿へ飛び出す。鞄の中で携帯が鳴っている。裕太からお礼メールが入っていた。恵比寿駅前のソフトバンク前に着いてから返信を打った。

「私もとても楽しかったです!またご飯行きたいです。今日はもう寝ますね、お休みなさい❤」

裕太と付き合って、結婚まで行けばだいぶ生活が楽になる。このまま良い感じで進めたい。スキップしながら紀行が指定したお店のドアを開ける。


しかしとびっきりの営業スマイルでドアを開けた瞬間に、凍りついてしまった。


「え、嘘でしょ...」


紀行の隣には、裕太が座っていた。

次週10月14日金曜日更新
まさかの鉢合わせに大ピンチ!?しかしここからがエビージョの真骨頂だった

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。



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この記事へのコメント

Pencil solidコメントする
No Name
交遊関係はかぶらない、じゃなかったの(笑)
2018/10/15 05:230

エビージョ!

住みたい街ランキングでは常に上位にランクインする、恵比寿。

そのブランド力に惹かれ、多少背伸びをしてでもセルフ・ブランディングのために恵比寿に住む女性がいる。

恵比寿に生息する恵比寿女子、通称、“エビージョ”。

一見華やかに見える彼女たちには、窺い知れない裏の顔がある。

そんな典型的なエビージョである、マナミの恵比寿での日々を覗いてみよう。

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