恵比寿に住むことが、ワタシのプライド。
今日の食事会は恵比寿女子なら知ってて当たり前の『オーギャマン・ド・トキオ』。以前他の食事会で知り合ったIT系の会社経営者・裕太達とのお食事会だ。
メディアにも度々登場している裕太は一緒にいるだけで少し鼻高々になれた。今日も、お店に入った瞬間から何人かに声を掛けられている。
そんなハイクラスな男性と一緒にいる時は自然と背筋が伸び、まるで社長夫人になった気分になれる。軽い会釈で挨拶をする瞬間なんて最高だ。このSクラスの男性と一緒にいることで味わえる優越感がたまらなく好きだった。
「マナミちゃん、家はどこ?」
「恵比寿です。ここへも、徒歩で来ちゃいました」
「恵比寿なんだ。マナミちゃんって、誰かいい男でも捕まえて頼れそうなのに、ちゃんと頑張ってるよね。俺、そういう自立してる子が好きで」
恵比寿に住んでいると言うのか、蒲田に住んでいると言うのかで、男の対応が変わることは、経験から知り尽くしていた。
いつでもどこでも、出動可能なエビージョ
「マナミちゃん、もう一軒行こうよ」
「もちろんです!佳奈恵はどうする?」
「どうしようかな...まだいたいけど、終電だから帰らないと」
佳奈恵は実家住まいで、家は杉並区の方だ。残念、と口にしながらも、佳奈恵が帰ることは計算済みだった。
「そっかぁー。そしたら佳奈恵ちゃんは電車の関係もあるだろうからここでバイバイかな?気をつけて帰ってね。駅前のナンパに気をつけて(笑)」
裕太が優しく佳奈恵に話しかけているが、終電なんて恵比寿に来てから気にしなくなった。
恵比寿に住んでいると二軒目に行きやすい。終電のことを考えて行動する必要もあまりなく、銀座方面に行かない限りタクシーで2千円以内で帰ってこれる。
本当、恵比寿って最高だ。
「マナミちゃんって、今彼氏いるの?結構気に入ってるんだけど」
キタキタ。二軒目に移動しながら、計算通り裕太が軽いジャブを打ってきた。裕太の会社の年商は既にチェック済み。顔も合格。背が少し低いがそこは目を瞑る。
裕太との結婚生活を想像する。もう家賃を払う必要もなくなるし、かなり良い生活ができる。完璧な将来像が輝きを放って待っている!!
今日着けてきた下着を思い出し、こんなこともあるかと思って準備を万全にしてきた自分を褒めながら、二軒目の『BAR Noir』に入る。
しかし、LINEが入っていた。飲食店経営者の紀行からだった。
「今何してる?経営者仲間で飲んでるんだけど、今から来れない?良い人も結構いるからおいでよ」
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