
~最も大切なリーダーの素質は逆境でしか得られない、ハートの強さである~
2020年のニューリーダーたちに告ぐ
インターネットの広告代理店として初の上場を果たし、「Ameba」、スマートフォンゲームなど次々に事業を展開している株式会社サイバーエージェント。24歳で起業し、時代の寵児といわれた藤田晋社長は、いまも変化の激しいインターネット業界をけん引し続けている。
若くして大きな成功をつかんだ藤田氏が、仕事をする上で大切にしていることとは。いま何を見据え、これからどこに歩みを進めるのか。次世代のリーダーになるためのヒントがここに。
金丸:本日はお忙しいところ、ありがとうございます。今日は8月にオープンした『洋食グリル 白金然荘』で、お食事をいただきながら、藤田社長の仕事観をお伺いできればと考えています。史上最年少社長(当時)として東証マザーズに上場し、現在も日本を代表するIT企業として最前線に立たれている藤田社長の言葉は、若い世代に強く刺さると思います。
藤田:こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。
金丸:藤田社長は、私が知っている起業家のなかでも若いころから起業を志した方です。確か、高校生のときには心に決めていたそうですね。
藤田:そうですね。高校3年生のときから、起業家になりたいと考えていました。
金丸:何がきっかけだったのですか?
藤田:中学、高校とバンド活動にはまっていました。パートはボーカルで、プロのミュージシャンを目指していたのですが、なにしろ歌が下手で(笑)。高校3年になって進路を考え始めたとき、薄々気づいてはいたんですけど、自分のレベルだとプロにはなれないとはっきり自覚したんです。だったら「レコード会社を作って、才能のある人をデビューさせる側になろう」と思ったのが、起業家を目指したきっかけです。といっても、苦し紛れに掲げた目標だったので、そこから具体的に何かを始めた、というわけではありません。
金丸:でも高3で起業家を志すとは、本当に早いですよね。そもそもご出身はどちらですか?
藤田:福井県の鯖江市です。
金丸:たしか「Francfranc」などを展開する株式会社バルスの高島社長も、同じ鯖江市出身ですよね。
藤田:そうなんですよ。実は高島社長とは、小学校、中学校が同じで、すごい偶然だなと思いました。
気づくとリーダーシップを取っていた少年時代
金丸:少年時代はどのようなお子さんだったのですか?
藤田:普通の子どもです。でも、リーダーシップはあったかもしれません。学級委員長や生徒会長を務めていました。思い返せば、自分で納得できないことはやらないタイプでしたね。うちの中学には「シャーペン禁止」、「男子は全員坊主」という校則があったのですが、理由がはっきりしないのが納得いかなくて。それで自ら生徒会長になって、校則を変えようとしたこともあります。
金丸:意外ですね。日頃あまりそういう雰囲気は見せませんからね(笑)。
藤田:自分で言うのもなんですけど、本当にすごく普通の子どもでしたよ。
金丸:普通にしているけど、気づいたらリーダーになっているというタイプなんですね。趣味やスポーツはいかがでしたか?
藤田:オセロと将棋が得意でした。とくに将棋にはのめり込んでいて、小学4年生のときに鯖江市代表として県大会に出て、優勝したこともあります。幼いころから将棋を教えてくれた父が、「県で一番だから、今日からお前はケンイチくんだ!」と言って、とても喜んでくれたのを覚えています。
金丸:道理で麻雀も強いわけですね。(藤田氏は2014年度麻雀最強位)