2015.06.20
SPECIAL TALK Vol.92020年のニューリーダーたちに告ぐ
国内最大級の航空会社ANAを擁するANAホールディングス株式会社。国内線において、最大の路線網を持ち、国際線においても近年急激にその存在感を増している。
昨年には、連結売上高や国際線の旅客輸送力において、ライバルである日本航空を追い抜くなど、その勢いは止まらない。
今回のゲストは2015年4月1日より社長に就任した片野坂真哉氏。新卒でANAに入社し、経営企画部、人事部、営業職などを歴任。ANAの成長を間近で見てきた片野坂氏がいま考えることとは? 次世代のニューリーダーたる東京GENTSの生きるヒントがここに。
金丸:お忙しいなかありがとうございます。本日は、片野坂社長の生い立ちやキャリアを振り返っていただき、そこから若い人への提言やメッセージをいただきたいと考えております。
片野坂:わかりました。自分がいま考えていること、感じていることを率直にお話ししたいと思っています。
金丸:早速ですが、お生まれは鹿児島ということで、私と同郷ですね。
片野坂:南さつま市の黒瀬というところです。鹿児島県の最南端の東側の半島の近くです。その後、鹿児島市に移り、家のすぐそばに、現在はなくなってしまった鴨池空港がありました。
金丸:幼少期から飛行機が身近にある環境だったのですね。
片野坂:家からわずか100メートルのところに空港があったので、そのなかに潜入して、滑走路や格納庫の中でよく遊んでいましたね。滑走路に寝転がり、その上を飛行機が飛んでいく、という光景を原体験として覚えています。まったく、今の空港事情では考えられません(笑)。
金丸:それは夢じゃなくて?
片野坂:いや、本当のことです。
金丸:子どもの頃にそんな体験があったから、飛行機に乗ってみたいと思うようになったのでしょうか? 展開として非常にわかりやすい(笑)。
片野坂:1964年の東京オリンピックのときに、アテネから特別機で聖火が沖縄にやってきました。そして、沖縄からYS−11(※1)の機体で鴨池空港に運ばれ、そこから東京に向けて、聖火ランナーが走りだしたんです。そこで旗を振っていたのが、小学校3年生の私です。
金丸:記憶のなかに飛行機が自然に入り込んでいますね。
片野坂:おっしゃる通りです。ほかにも鹿児島の桜島が噴火すると、空港のサーチライトが一晩中、光っているんです。オレンジと緑のサーチライトが灯っている光景を見て育ちました。いまのキャリアを思うと、非常に運命的だったと思います。
金丸:その頃から、飛行機に対する意識が何かしらおありだったのでしょうね。とても興味深いです。
ラサール中学・高校時代はスポーツ・趣味・ホームステイを楽しむ
金丸:小学生の頃はどのようなお子さんでしたか?
片野坂:勉強はしていました。身体が小さかったので、スポーツは、特に球技が苦手でしたね。でも足は速くて、割とやんちゃでした。
金丸:中学校は、名門のラサール中学校です。受験された理由は何かあったのでしょうか?
片野坂:鹿児島は非常に勉強熱心な県ですから、受験するムードがありまして。正直なところ強い意志を持ってというより、なんとなく受験しました。ちょうどその頃、「小さな恋のメロディー」という映画を観て、少しショックだったのを覚えています。ラサール中学は男子校だから、僕には女性と恋をするような青春はないんだな、と思いました。
金丸:入学後はやはり勉強に明け暮れる生活だったのでしょうか。
片野坂:いいえ、そんなことはなく、毎日サッカー部の練習に明け暮れていました。当時のサッカー部は強かったので、練習もハードでしたね。あとは、ビートルズにハマりました。まさにビートルズ世代のど真ん中です。
金丸:勉強だけでなく、スポーツや趣味にも没頭していたのですね。サッカーはその後も続けられたのですか?
片野坂:中学校の3年間でやめました。高校のサッカー部がそんなに強くなかったので。高校時代の一番の思い出は、海外へのホームステイですね。15歳の夏休みに2週間ほどドイツに行ったのですが、私にとって鹿児島を出たのが初めてで、しかもいきなり海外だったものですから、衝撃は大きかったです。
金丸:それはすごく刺激になったのではないですか? ドイツのどこにホームステイされたのですか?
片野坂:ミュンヘンのドナウ川の近くにあるレーゲンスブルクとメンデン、シュヴァルツヴァルトという小さな町です。ホストファミリーがまったく英語ができなかったので、とても苦労したのを覚えています。
金丸:私もドイツで同じような経験をしたことがあります。町によってはホテルがないため、普通の民家が宿になっていて、旅行者を寝泊まりさせていました。ドイツ人は体格がいいので、私は子ども部屋に通されてしまって(笑)。ホストが英語を話せず、コミュニケーションをとるのが難しかったです。
片野坂:社会人になってからは頻繁に海外に行くことになるのですが、高校生のときに外国人と一緒に生活したことは、私にとってとても貴重な経験だったと思います。
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