2015.03.21
SPECIAL TALK Vol.6高校2年で訪れたメキシコ肌身に感じた貧富の差
金丸:それが、国際バカロレアコース(※世界140カ国で実施されている国際的な教育プログラム。国際的に通用する大学受験または入学資格を得られる)だったのですね。
小林:そうです。今のISAK設立につながる原点は、この時代と言っても過言ではありません。中でも印象的だったのが、高2のときに学校で仲良くなったメキシコ人の友達の家に遊びに行ったことです。訪れてみると、本当に貧困を絵に描いたような状況で……。6畳ぐらいしかない家に、家族全員で住んでいました。洗濯には洗濯石を使っているし、狭いスペースで雑魚寝しているし、大変なところに来てしまったな、と。彼女にはお兄さんがいて、英語もできて、妹と同じような高い志をもっていたのですが、奨学金がなかったから学校には行けなかったと聞きました。日本では、公立校もたくさんありますし、学校に行けて当たり前。その環境が珍しいものだということを知りました。
金丸:実際に現地に行かれたからこそ、肌身で感じたのですね。
小林:自分がいかに教育環境に恵まれているのかということを、高校2年生で知りました。そのとき、努力や能力によって差が付くのはいいけれど、機会の差によって損をすることはあってはならないと思ったのです。この経験もあって、その後勤めたユニセフでも、貧困層の教育に携わりました。圧倒的多数の貧困層の人たちが教育の機会を手に入れることによって、社会が良くなっていく。そんなお手伝いができたらと思ったのです。しかし、フィリピンに駐在することになって、それは幻想だと思い知らされました。現実には、ものすごい汚職と経済格差があって、いくら国連がサポートしているといっても、きちんとした教育が受けられるのは多くて9,000人ほど。その15倍以上の子どもたちが受けられないわけですから、底辺から何かを変えていこうと思ってもダメだな、と痛感しました。抜本的に仕組みを変えるには、けん引する社会が変わらなければならない。リーダーシップを取る人が変わらなければ、世の中は変わらないと思ったのです。
学校教育はリトマス試験紙。先生と戦うぐらいの気概が欲しい
金丸:高校卒業後は、東京大学経済学部に入学されますが、当時のお話を伺えば伺うほど、今されていることとつながっているように感じます。
小林:そうですね。それこそ、スティーブ・ジョブスが言っていた「点と点がつながる瞬間がある」ということだと思います。
金丸:つながっていますね。日本の高校での先生との出会いも、結果的には良かったのではないでしょうか。
小林:おっしゃる通りです。私を嫌った小学校の先生も、開口一番、苦手分野を指摘した高校の先生も、彼らがいなければ、反骨精神が育まれることはありませんでした。だから、今は恩人だと思うことができます。
金丸:私も高校のときは先生に「金丸はロクな人間にならない」と言われていました。確かにひどい高校生でしたからね(笑)。
小林:トラブルメーカーだったのですか?
金丸:いや、トラブルは起こしたくないので「関わらないでください」と先生にお願いしていました。僕のことは無視してください、と。宿題もやってこないし、先生の言うことを聞く気もない。クラブ活動を辞めろと言われても、辞める気もない。そんな態度だったものですから、だいぶ疎まれていたようです。
小林:でも思うのですが、中学、高校時代に先生の話をふんふんと素直に聞いていた人で、これはという人物になっている人って少ないと思うんです。
金丸:確かに、いませんね。あれは試されているのではないでしょうか。先生の言うことを聞くか聞かないかというリトマス試験紙のようなものですよね。生徒はもっと主張して、先生と戦うぐらいの経験をしていないと、いざ社会に出てから通用しません。社会はサバイバルゲームそのものですからね。
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