商社マン優作 Vol.4

商社マン優作:赴任先のアバンチュールに燃えながら、現地妻を作る後輩に焦る28歳。

ー総合商社に入れば、人生、一生安泰で勝ち組。ー

東京において、商社マンというのは一見、社会的ステータスの高い、万能なカードに見える。

しかし、果たしてそれは事実なのか?

商社という舞台には、外部からは計り知れない様々な人間模様があり、出世レースに関する嫉妬と憎悪に満ちた縦社会のプライド合戦も繰り広げられている。

早稲田大学商学部卒業後、大手総合商社に入社した優作。彼の商社マン人生は、薔薇色なのか、それとも?


花形部署に任命され、無敵だと信じていた24歳、異例の部署変え人事で同期の賢治とトレードされ、花形部署から異動になった27歳、フィリピンで海外赴任の寂しさを知った28歳。そんな中、急に麻里子が優作に会いに来ることになった...


海外赴任のその先に


朝から無駄に緊張していた。暑いマニラで着る洋服と言えばTシャツと短パンしかチョイスが無いのに、無駄に2、3着考えてみる。麻里子が会いたいと言って以来、今日をささやかな楽しみにしてきた。

「優作さん、お久しぶりです。」

フィリピンのマニラのハブ空港であるニノイ・アキノ国際空港の出口は人でごった返していたが、一目で麻里子は分かった。

「ようこそフィリピンへ。変わって無いね。」

会うのは半年振りだが、相変わらず綺麗に手入れされた黒髪と物憂げな雰囲気は変わっていなくてホッとする。でも少し痩せたかな...

「マニラはどうですか?」

「あぁ。意外に良い所だよ。ご飯も美味しいし人も良いし。」

一度荷物を降ろすため、家に向かう車内で

「何でこのタイミングでマニラに来たの?本当に俺に会いに来たの?」

と聞きたくても聞けない質問を何度もしようと試みるが、全く声にならない。何でこんなに緊張しているんだろう。会社が手配してくれている運転手のトニーも空気を察したのか、いつも陽気な彼が今日は大人しい。

混雑するマニラ市内を抜け、沈黙が流れたまま家に着いてしまった。

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