東洋経済・東京鉄道事情 Vol.23

「最も儲けている地下鉄」はどこか、全国各都市の地下鉄「営業係数」を独自試算!

横浜市交通局の4号線、通称グリーンラインは試算の結果、東日本の地下鉄でただ一つ営業係数が100を上回る、つまり営業損失を計上した路線となった。こちらも要因は明らかで、平均通過数量が5万0997人と同じく東日本の地下鉄の路線中最少を記録しているからだ。『鉄道統計年報』の集計方法によって2008年度の4号線の営業係数は求めることはできなかった。悪いとはいえ、2013年度の数値は2008年度と比べれば良好ではないかと考えられる。

4号線は2008年3月30日に営業を開始したため、新線に付きものの減価償却費からは逃れられない。横浜市交通局の鉄道事業での減価償却費は2013年度に146億3483万5000円であった。4号線が占める営業キロの比率は24・3パーセントであったため、試算では減価償却費は35億5626万5000円が分配されたが、実際にはさらに多いに違いない。

京都は一気に黒字化、名古屋も改善

京都市営地下鉄烏丸線の電車。京都市の地下鉄は5年で一気に黒字化した(写真: tesshy / PIXTA)

営業係数という観点で言うと、東日本の地下鉄に対して西日本の地下鉄は見どころが盛りだくさんである。しかも、2008年度に比べて2013年度の営業係数が好転したという話題が多い点は喜ばしい。

名古屋市交通局で注目されるのは上飯田線だ。営業係数を試算したところ、2013年度は139・0と2008年度と比べて32・9ポイントの改善を果たした。平均通過数量の増加が直接の要因と考えられ、輸送人員の比較では2008年度の1049万5000人、1日当たり2万8675人から、2013年度の1054万8000人、1日当たり2万8899人と、1日当たりで224人の増加となっている。

京都市交通局は全線の営業係数が2008年度の126・3から一気に33・2ポイント改善され、93・1と営業利益を計上した。比較的近年の開業である東西線を抱えていることから減価償却費の減少が営業係数向上の要因かと考えたものの、意外にも2008年度が106億0697万9000円、2013年度が113億9507万3000円とそう大きな違いはない。

営業収益が231億9674万7000円(2008年度)から252億8479万6000円(2013年度)へと20億8804万9000円増加したこと、そして東西線御陵~三条京阪間3・3kmの線路を保有していた第三種鉄道事業者の京都高速鉄道から、同区間の所有権を譲受した結果、京都高速に支払っていた55億円の線路使用料が姿を消したためだ。

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