ついに見出した六本木の夜を攻略する方程式。
「すいません、お待たせしちゃいました!」
京子との食事から3日後、康介はふたたび六本木ヒルズにいる。現れたのは、会社の後輩の梨華である。
26歳、いわゆる〝可愛い系“の梨華には、いま彼氏がいない、という事前情報もGETしている。
“いつも苦労かけてるし、たまにはご飯でも奢るよ”と誘い出したのだ。
(-やっぱりこれは使える…)
前回の『グルメバーガーグランプリ』激辛デートを経て、康介は、あることに気付いたのである。それは、
・『ハンバーガー行こう』と言えば、女性は構えない。
・食事がさっと終わるので、映画などのイベントを前後に挟める。
・カジュアルな雰囲気になるので、自然と陽気になり、お酒もはかどる。
・そして多くのハンバーガーを食べて回れるので、自分も飽きない。
このイベントを利用して、とことん女性とディナーを楽しもうという作戦なのである。
「梨華さ、美術館好きだって言ってたでしょ?俺ちょっと見たいのあるんだけど、付き合ってよ」
「今日何やってるんですか?」
フレッシュフルーツを使ったカクテルが好きな梨華は『クラッシュアイスキウイカイピリーニャ』をチョイス。キウイの甘さにフレッシュレモンの酸味をアクセントにした一品。火照った躰に、クラッシュアイスがまた心地よいはずだ。そして、それに合わせて康介がチョイスしたのは、これまた夏にぴったりの『フローズンルビーグレープ』。
「お待たせしました」
「うわ、すっごい。超贅沢!こんなの見た事ないです」
「食べて食べて」
真っ赤なビーツたっぷり混ぜたマヨネーズのソースが、パッションの国ブラジルを感じさせる、重厚なテイストである。
小さな口を目いっぱい拡げて頬張る梨華のなんとも言えぬかわいらしさ。
「うわ、めちゃくちゃ美味しいです!情熱的って感じ」
ハンバーガーとクラッシュアイスキウイカイピリーニャを交互に口にしながら、梨華は仕事のことを楽しそうに話している。
梨華の脳内に多幸感が広がっている今がチャンスである。
「梨華ちゃんてさ、どんな男性が好みなの?」