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  • 夏ヒルズ物語:本音を引き出す魔法の六本木ディナーで恋を成就せよ!

    仕事相手とシャンパンでカジュアルに楽しむお洒落ディナーとは?


    「京子さん、これどうですか、『グルメバーガーグランプリ』!」

    看板によれば、六本木ヒルズNo.1のハンバーガーを決める夏の祭典とのこと。康介も良く訪れる有名店が軒並み参加しているのだ。

    「このダル・マットの激辛バーガー、すっごくおいしそうじゃない?。シャンパンに合いそう!」
    (- …あれ、京子さん、デート系の店でもOKなんだ…)

    激辛好きでお酒好きな女性には、気を付けたし?


    信じられないスピードでシャンパンを飲み干していく京子にあっけにとられながら、康介はひとまず仕事の話を切り出した。

    「京子さんって、今の会社いつから…」
    「松田君さ、彼女に怒られたりしないの?女性と二人で食事とかしてて」
    いきなりの剛速球。普段仕事で見せるクールな京子とのギャップに面喰う。

    「いや、彼女は今いないんです。この仕事していたら、忙しくって出会いも何も…」
    「でも前の彼女とも忙しいときに出会ったんでしょ?言い訳じゃない?」
    ウェイターが運んでくるシャンパンをさらに一気に煽りながら、京子の速球は威力を増していく。

    「京子さんこそ忙しいじゃないですか。彼氏、いるんですか?」
    「いるよ」
    「それより松田君さ、何時でもメール出してくるけど、止めた方がいいよ、みんな動いちゃうから」
    「…」
    さらにもう一杯のシャンパンに口を付けた京子。

    「お待たせしました」

    自家製サルシッチャとたっぷり野菜の激辛アラビアータバーガー¥1,620(税込)


    「うわっ、すっごい辛い。超美味しい。これ気分あがるね!」

    この頃には、康介は気づいていた。わずかでも、淡い期待を抱いていた自分が愚かだった。

    シャンパンは既に4杯目。明らかに酔っぱらった雰囲気の京子は、マシンガンのように康介にきつい質問を浴びせてくる。ハンバーガーの刺激で、康介はなんだか泣きそうになってくる。

    「…でも実際、松田君ってさ、絶対モテるでしょ? …カッコいいと思うもん。この前のクライアントの坂田さんも…」
    (- ? 今度は持ち上げてくるの? どういうこと?)

    「でもさ、さっき私誘うときに「時間余ってるんで」って言ったでしょう。あれはありえないなー、女性を誘うときに!」

    もはやサンドバック状態の康介だが、どうやら京子は仕事のイメージと違い、単に姉御肌の元気な女性なだけなのでは?という想いに変わってきた。

    「京子さんだって、メンバー怖がってましたよ。あの人3コールで電話でないと、めちゃくちゃ怒るって!」
    「当たり前でしょ!出ない電話持ち歩いてどうすんのよ!(笑)」
    「僕、京子さんの事、勘違いしてました(笑)。もっとクールビューティーな人じゃないかって!」
    「イメージ通りじゃん!」

    久々に、陽気なディナーである。夏の夜のハンバーガーもいいものだな、と康介は最後の一口を頬張った。

    康介に新たな決意が生まれる。


    「京子さん、今日ありがとうございました」
    「また飲もうよ。『時間の余った時に』(笑)」
    「映画見てきます!」

    ハンバーガーのように辛い一日となったが、気分は悪くない。確かに時間が無いなんて言い訳かもしれない。
    〝出会いの夏“である。
    映画館に向かう途中、再び『グルメバーガーグランプリ』の看板が目に入る。

    そこで康介は閃いた。
    (-そうか!)

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