2016.07.27
精神科医エレナ Vol.1慌ただしく、そして力強く、東京を生き抜く男たち。
だがしかし、東京で暮らす男は皆、煌きながらも、密かに心の闇を抱え戦っている。
いくら頑張っても果てしなく渇き続けるそんな東京砂漠に、一滴の雫の如く、彼らの闇を癒す存在がいた。
エレナ、29歳。石川県出身。職業、精神科医。
これは、彼女が東京の男たちの心の闇を解決していく物語である。
美人形成外科医、突然の結婚宣言。インスタは封印?
「ああ、そういえば、結婚するわ」
いつものけだるい口調でサトコが言った。
「えー!」
珍しく甲高い声で叫ぶエレナ。となりでお茶をしていた和装の老婦人に睨まれ、あわてて声を潜める。
日曜日の午後3時、『ザ・ロビー』。ペニンシュラ東京の1階にあるこのラウンジは、人の行き来が多く通路と座席との距離も近い。それが落ち着かないという人もいるだろうが、エレナとサトコは敢えて通路近くの席に座り、人間観察を楽しむことを趣味としている。
ただ、今日ばかりは人間観察などしている場合ではなかった。
「えっと…頭でも打ったの? CT撮ろうか?」
「失礼な。私だって結婚のひとつやふたつ、するわよ」
…信じられない。サトコは、エレナの知りうる限り一番結婚から遠い女である。
サトコ、32歳。神奈川県出身。職業、形成外科医。
ハーフのような彫りの深い顔立ち、やや浅黒い肌に、よくしゃべる大きな口。形の良いバストと美脚を強調するワンピースを纏い、ワンレンのロングヘアはいつもキツめにカールされている。
「バブル…」初めてサトコを見たとき、エレナはそう思ったものだ。
見た目にたがわず派手好きなサトコは、医大生時代から夜な夜な浴びるように「泡」を飲み、常時デート相手リストは数十人。そのリストは質も良ければ更新のぺースも早い。雲より軽いお尻を持ち、10年以上東京恋愛市場の最前線を疾走してきた。
自他共にみとめる男好きだが、そこに「結婚したい」「女友達に自慢したい」といった野心は皆無。ただ楽しいから遊ぶ。いたってシンプルだ。
美容整形手術の経験も積み、年収が2,000万を超えるようになると、その勢いはさらに強まった。サトコは、世間の「婚活女子」をあざ笑うかのように男を振り回し続けた。
エレナは、あらためて目の前のサトコを眺める。その「バブル」なビジュアルには、「雑魚にモテる気はない」という気概が現れている。媚びを知らない清々しさがあり、一緒にいるとアトラクションに乗っているよう。その小気味良さは、女友達というよりもゲイバーのママのようだ。
面前に座るエレナは対照的だ。150cmちょっとの華奢な体、艶のあるストレートのセミロングヘア。陶器のような白い肌に黒目がちなアーモンドアイが印象的な顔は、「幸薄い系」と男ウケは良い。
華やかさはないが細やかに手とカネがかかっており、「あんたみたいのが一番タチが悪い」といつもサトコに笑われる。
この記事で紹介したお店
ザ・ロビー/ザ・ペニンシュラ東京
【精神科医エレナ】の記事一覧
2016.09.28
Vol.11
精神科医エレナ最終回:貞操観念ゼロの女医が、10歳年下「俳優の卵」と結婚した本当の理由
2016.09.27
Vol.10
いよいよ明日で最終話!「精神科医エレナ」全話総集編
2016.09.21
Vol.9
精神科医エレナ:不倫を科学する。なぜ女は不倫を繰り返すのか?なぜ既婚者はモテるのか?
2016.09.14
Vol.8
なぜエレナは、最高の幸せを自ら投げ捨てたのか?東京で狂った、元彼との歯車
2016.09.07
Vol.7
愛するとは、○○○こと。精神科医エレナの出した答えとは
2016.08.31
Vol.6
精神科医エレナ:診療科別、リアル「医師の恋愛事情」。一番危険な男は、何科の医者?
2016.08.24
Vol.5
精神科医エレナ:「ハゲ」は男の最大の武器!今宵もエレナ先生がトンデモ論を連発?
2016.08.17
Vol.4
精神科医エレナ:エレナも惚れた『セスナ』所有の経営者。その呆れるほど『ゲスな』悩みとは?
2016.08.10
Vol.3
精神科医エレナ:キレる、泣く、束縛する…結婚で豹変した女。男がやりがちなNG対応とは?
2016.08.03
Vol.2
精神科医エレナ:自信欠乏者な「ザ・国産男」。彼の失恋に効く処方箋は?
おすすめ記事
2023.01.04
未解決恋愛事件
「彼の監視から逃げたい…!」女が脱出のために考えた“あるメッセージ”とは:未解決恋愛事件【A】
- PR
2023.03.24
挑戦を続けるローランドがワイン片手に語った「新たな一面の見つけ方」とは?
2021.07.29
ドクターKの憂鬱
離婚寸前の42歳妻ににじり寄る中年夫。女を恐怖させた、彼の驚愕の行動とは
2021.02.01
男と女の怪談~25歳以下閲覧禁止~
「学歴か出身地で、妻を選べば良かった…。」夫が漏らした衝撃の本音。“顔だけの妻”たる女が選んだ道
2020.06.04
君が僕で、僕が君で
君が僕で、僕が君で:「隣にいるのは一体誰?」美女と一夜を共にしたはずの商社マンを襲った悲劇
2021.06.16
Uターン女には理由があって
彼氏にフられ実家に逃げ帰った35歳女が、ある朝パソコンを開いて愕然としたワケ
- PR
2023.03.24
「終電までならいいよ」と言われ、男が2軒目に連れて行った意外な場所とは
2020.11.21
男と女の答えあわせ【Q】
「えっ、今日もダメなの…?」結婚わずか2年で、夫婦の仲が冷え切ってしまったのはナゼ
2015.11.26
婚外恋愛
婚外恋愛第2話 :古民家懐石料理屋の個室にて
2021.02.19
ニュースな女
ニュースな女:「今更なに?」別れて1年後に知らされた、元彼の衝撃的な告白
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2023.02.27
東京タワマン族
「下心はないから」と言われ、デート2回目で彼の部屋へ。しかしたった1時間で帰宅した、まさかの理由
2023.02.22
未解決恋愛事件
深夜0時。彼女から「今、仕事終わったよ」と写真付きで連絡が。そこには“あるモノ”が写り込んでいて…
2023.02.19
男と女の答えあわせ【A】
「この人、もしや結構おじさん…?」デート中の女性がガッカリする、男性がしがちな“アノ話題”とは
2023.02.23
29歳のグレー
「実は私、別れた後…」3年ぶりに元カノに会って、驚きの報告をされて
2023.02.19
New Yorkに憧れて
「こんなモノ、いらない…」花嫁が義母からもらった“恐ろしい結婚祝い”とは
2023.03.04
男と女の答えあわせ【Q】
「デートで高級店でもおごってくれる彼。私に気があるかと思っていたら…」男がフェードアウトした理由
2023.03.03
もう片隅で、凍えないよう
「なにこれ?」同棲初日。彼の段ボールを誤って開封したら、まさかのモノが入っていて…
2023.02.14
ナシ子先輩の幸福な人生
お鮨デートの後、彼とタクシーへ。しかし彼は数分で「降りよう」と言い、予期せぬ行動に…
2023.03.02
ゴールは結婚だけですか?
「ここって…」初めてのお泊まりデートで、女が年下男に連れていかれた意外な場所
2023.03.10
スモールワールド~上流階級の社会~
スモールワールド〜上流階級の社会〜:友人の結婚式で受付を頼まれて、招待客リストに驚愕!そこには、ある人物が
この記事へのコメント