東京いい街、やれる部屋2 Vol.5

東京いい街やれる部屋2:「何もしないから家くる?」文学部卒・神楽坂男との一夜

出版社で営業事務をこなす主人公・彩乃(27)には悩みがあった。それは恋愛に対していまいち本気になれず、男性との距離を測ってしまうこと。

友人・真美からの「まずは男性の部屋に行こう」という提案に乗り、期間限定で、気になる人にはとりあえず踏み込んでみようと決める。

これまで、目黒のデザイナーズマンションに住む義実参宮橋で少女漫画のような展開を起こした巧西麻布の寂しがりやおじさん誠と出会ってきたが、どれもパッとしない。幼なじみの和也とも池袋で気まずくなってしまい、恋も友情も失いかけていた彩乃の前にひとりの男性が現れたのだった。

同業者の眼鏡シティーボーイとの出会い


あれから和也との関係はギクシャクしてしまった。いつも通り連絡はとるけれど、どこかで無理をしている気がする。私が意識しすぎているだけなのか、それとも男女の友情なんてやっぱりないのか。そんな悩みを誰にも相談できずにいたとき、“雄一”と知り合った。

きっかけは仕事の食事会。彩乃が手がける媒体に広告を出稿してくれたクライアントによる粋な計らいで、各出版社を招き、ディナーを振る舞ってくれた。雑誌をどこよりも売り上げたいという気持ちはお互いにあるものの、「競合ということは忘れて」と、会場は和やかな雰囲気。

最初は各社ごとに座っていたが、場が温まるにつれて自由に移動するようになった。そんなとき隣に座ったのが雄一。見た目は“文系”という言葉がしっくりくる、眼鏡にあまりセットしていない髪型。かといって田舎っぽいわけではなく、格好はシティボーイのようにおしゃれ。さすがはファッション誌の編集だなぁと思った。

聞けば文学部卒で、年齢は彩乃より5歳上。仕事のポジション的にも今が一番楽しい時期だろう。ミステリー小説が好きという意外な共通点も見つかり、「あの作家の新作が……」などと文学部卒らしいトークで盛り上がった。

その日は名刺を交換して別れたが、後に雄一から「よければごはんでも」とお誘いがあったのだ。和也とのことで滅入っていた気持ちが少し晴れるかもしれないと、会うことを決意。金曜日の夜、神楽坂で待ち合わせをすることになった。


雄一が予約をしたお店は『エル プルポ』。各地の漁港から集まるシーフードが味わえるという、以前からチェックをしていたお店のひとつ。センスがいいなと思ったが、そこでいつも胸をときめかせては失敗していたことを思い返す。今回は仕事を通じて知り合った間柄。会社にとって悪影響を及ぼすことはしてはいけないと、あくまでも同業者というスタンスで会うことにしていた。

お互い、仕事柄飲むことが多く、お酒はどちらも好きな様子。同じ業界ということもあり話はかなり盛り上がった。

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