鎌倉カレンダー Vol.4

鎌倉カレンダー:感情的で理解不能な女の狂気。鎌倉デートで起きた悲劇とは?

東京生まれ、東京育ち。

学生時代から就職まで一通り都会で過ごしてきた透は、外資系証券会社に勤め高い年収を稼ぎ、何不自由しないエリート生活を送る。

都会で感じる焦燥感から逃げるように、週末は鎌倉の海に通うようになり、仲間たちに優越感を持つようになった透。しかし思いがけず夜の街で美帆と出会いズルズルと関係を続けるようになるが、それはかなりギクシャクしたものであった。

鎌倉カレンダー Vol.3:盛り上がるほどに感じる港区の「虚無感」。波以外の楽しみはもういらない?


高級レストランで晒される痴態は、デートに遅れた罰なのか?


波乗りの後、夕方からの美帆との待ち合わせに大遅刻しました。その日は波が良くて、気づけば予定よりかなりの時間が過ぎてしまったんです。海の中では時間が分からないので……。

言い訳ですが、週末に湘南で波がいい日というのは、僕みたいなサラリーマンサーファーにとってはかなり希少なんです。さらに帰り道は大渋滞していて、結局、約束には3時間遅れ。

美帆は想像以上に怒っていました。渋滞で遅れる、と何度か伝えたにも関わらず電話は鳴りっぱなし、土曜日に女の子を何時間も待たせるなんて信じられない、と繰り返していました。僕はもちろん平謝りを続けていたし、レストランの予約の時間には間に合ったのだからそこまで怒らなくてもいいではないか……と思いましたが、彼女の機嫌は全く直りません。

この日は出会って1ヵ月の記念日だから特別なお店に行きたい、と言われ、美帆の希望で銀座の『ベージュ アラン・デュカス東京』を予約していました。しかしウェイターさんがオーダーを取るときも、料理の説明を丁寧にしてくれるときも、美帆は挑むような仏頂面でほとんど口を開かなかった。

ここはとてもいいお店でした。店内の雰囲気も良く、料理も美味しく、無言を貫く美帆を前にしてもウェイターさんは柔らかな笑顔を崩さずに接客をしてくれた。でも僕は、正直かしこまったレストランは苦手なんです。銀座の高級店よりも、新橋の立ち飲みで気軽に焼き鳥なんかをつまむ方がよっぽど癒される。

美帆の無言の圧力は、そんな僕にさらなるプレッシャーをかける形になりました。こんな高級店で何時間も会話を交わさない僕たちを、店の人たちや近くのテーブルで記念日を祝うカップルは、どんな風に思うのだろう? 恥ずかしい気持ちと、どうして貴重な週末にこんな時間を過ごしているのかという疑問が湧き、僕は段々と疲れていきました。

これが時間に遅れた罰だと言われても、何だか納得がいかなかった。

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