鎌倉カレンダー Vol.2

鎌倉カレンダー:都会の狂ったサイクルで生活する仲間たちに感じる「優越感」。自分には海がある

東京生まれ、東京育ち。

学生時代から就職まで一通り都会で過ごしてきた透は、外資系証券会社に勤め高い年収を稼ぎ、何不自由しないエリート生活を送る。しかし都会で神経をすり減らす生活に疲れた透は、癒しを求め「鎌倉の海」に通うようになった。

そんな透はいつしか、かつての自分と同じような生活をする都会の仲間たちに淡い「優越感」を抱くようになっていった。

鎌倉カレンダー Vol.1:消えない「焦燥感」。東京で消耗した若い男が人間を取り戻したのは、鎌倉の海


早起きして、鵠沼から波をチェックし134号線をドライブ。この幸福感を「奴ら」は知らない


サーフィンにハマって、そろそろ1年になります。

今では週間天気図を見て、今週は波がありそうだな、なんて予想もできるようになりました。でも海に行けるのは基本週1回。すごく上達したわけではありませんが、それでも波に乗る感覚はある程度分かってきたし、地元サーファーに怯むこともなくなりました。

サーフィンは「動く自然」を相手にするスポーツです。難しくてなかなか感覚をつかめずにすぐに諦めて辞めてしまう人も多いですが、そのぶん少しでも波に乗れたときの喜びは大きく、海という大きな自然に自分を受け入れてもらえた様な気分になります。それが快感。

ある程度ハマると、サーファーが向かうのは千葉や茨城といった常にイイ波がくる場所です。僕も何度か行きましたが、確かに波は安定していてかなり良かった。でも、ちょっと本気すぎる。僕はやっぱり鎌倉のちょっとユルい感じが好きですね。

明け方に早起きして車で湘南FMを聴きながら、鵠沼のあたりから134号線を波をチェックし海岸を走る。コンビニで買ったバナナやカロリーメイトを齧り、どこの海に入ろうかと真剣に悩むのも最高に至福の時間です。

平日も海や波のことを考えるだけでワクワクする。1日中パソコンに向き合い上司や後輩にイライラしても、とりあえず週末まで乗り切ってしまえばいい。何でもいいから、週末にさえなれば海に行ける。そんな風に、サーフィンはいつの間にか僕にとって都会からの「逃げ場」のようになっていきました。


海に入ったあとは、稲村ケ崎の日帰り温泉に立ち寄り、汗を流すのが習慣になっています。先週末は、温泉後に材木座の『HOA CAFE』のテラス席でカレー、アサイーボール、ドーナツを1人平らげました。

前にも話しましたが、ぐったりと疲れた体に思いっきり食べ物を流し込むのって快感なんですよね。このカフェのテラスは広く開放的。ここから材木座海岸を眺めると頭は空っぽになり、温かい日差しを浴びると平日の疲れが蒸発していく気がします。そして束の間の読書を楽しむ。最高です。

僕はドーナツを頬張りコーヒーを啜りながら、ぼんやりと前日の人数合わせで呼ばれた飲み会を思い出していました。こんな楽しみを、拓哉たちは知らないんだろうなぁ、と。

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