女優とディナー Vol.4

女優とディナー:「橋本マナミ=愛人」に異議を唱える”非モテ”作家の主張(1話読み切り)

ゴッドファーザー。言わずと知れたフランシス・コッポラ監督の超名作ですが、私がこのカクテルを注文した理由は他にありました。それは、敏腕映画プロデューサーR氏に「女優を口説ける映画雑学」をあらかじめ聞いていたからです。

その雑学は――正直この話を聞き出すまでに私がした苦労を考えると、ここであっさりと知れてしまうあなたはおいしすぎる状況になってしまいますが――教えましょう。断腸の思いで教えましょう。

全3部作のゴッドファーザーですが、ゴッドファーザー2で、アル・パチーノ演じるマイケル・コルレオーネの敵役ハイマン・ロスを演じていたリー・ストラスバーグ。

実は彼は、ほとんど映画に出演したことがなく、演技指導の学校を開いていて、そこの生徒がアル・パチーノで、ただストラスバーグの演技が凄すぎるってことで、コッポラに推薦して大抜擢されたのです。

そして実際にゴッドファーザー2のストラスバーグの演技は凄まじく、最初画面に登場したときは何の変哲もない爺さんにしか見えないのですが、アル・パチーノが敵対する姿勢を見せた瞬間ブチ切れるのですが、その迫力がとてつもなく「ああ、演技とはこういうものだ」と実感させられるのです(以上、すべてプロデューサーR氏の受け売りです)。

(c)Everett Collection/amanaimages

そしてこの話を橋本マナミにそのままお伝えしたところ、「演技って本当に奥が深いですね」と感動しており、私は改めて今回の店選びが正解だったことを確信しました。そして私は次の作戦に移るべく、カクテルを一気飲みしてこう言ったのです。

「『お熱いのがお好き』ください!」

『お熱いのがお好き』は、三谷幸喜が敬愛するビリー・ワイルダー監督の名作コメディでありマリリン・モンローを一躍有名にましたが、実は、マリリン・モンローもリー・ストラスバーグの演技指導の生徒だったのです。

私はそんな話をしながら、橋本マナミにこの決め台詞を言うつもりでした。

「あなたは、三谷監督の演出で日本のマリリン・モンローになる女性ですよ!」

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