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  • シンガポール・ラブストーリー Vol.2

    シンガポール・ラブストーリー:イケメン商社マンからの速攻アプローチは甘い罠?

    アジア経済圏のハブとして発展を遂げるシンガポール。ビジネスマンの出張機会も増え、ともない旅先としての需要も高まっているのだとか。このお話は34歳独身・梨花に起こった、予想外のトラベル・ラブストーリー、第2話。

    (前回までのあらすじ)
    34歳の女性誌編集者・小西梨花は、8カ月間グレーな関係を続けていた健二と連絡が途絶え、落ち込んでいた。梨花を心配した友人の真希がシンガポール旅行に誘ってくれたが、真希がインフルエンザで来られなくなりひとり旅をすることに。そこで偶然出会ったのが商社マンの佐野 誠。梨花はチリクラブ食べたさに、大胆にも自分から佐野 誠を食事に誘い、これからふたりの初デートが始まる。

    シンガポール・ラブストーリー vol.1 34歳・失恋女、傷心のひとり旅で思わぬ恋の予感

    “さすが梨花! 現地調達でかした!
    やっぱり、男を忘れるには男だよ!“

    佐野 誠とチリクラブを食べに行くことを同僚の真希にLINEすると、即効で返事が返ってきた。日本とシンガポールは1時間しか時差がなく、さすがレスも速い。

    20時半に指定の店『パームビーチ・シーフード・レストラン』に着いたとき、佐野 誠はまだ到着していなかった。テラス席に案内されると、そこは『マリーナ ベイ サンズ』を一望する絶景シート。

    ファーストデートは、シンガポール随一の絶景レストランで

    iPhoneでその写真を撮っていると、新着LINEが1件入った。

    “すみません! 2分遅れます!”

    佐野 誠からだった。2分って、もう着くじゃない。律儀というか、かわいらしさを感じてしまった。あと1分。急にメイクが大丈夫か気になったけれど、ここで化粧室に立つのは悪い気がするし、席でチェックするわけにもいかない。そんなことを考えているうちに

    「小西さん、遅くなってすみません!」

    20時32分、彼が現れた。

    同じ歳くらいだろうか。ホーカーの時もそうだったけれど、基本の顔が少し笑顔の人だ。そっくりではないけれど、堺 雅人のあの柔らかい感じというか。ちょっと中性的な感じもする、端正な顔立ち。

    「けっこう人気の店なんですが、ちょうど席がとれてよかったです」

    座りながら、佐野 誠は言う。

    「すごいロケーションですね。『マリーナ ベイ サンズ』が目の前に見えて」
    「そうなんです。マーライオンもすぐ隣で、ここは接待でもよく使うんですよ」
    「じゃあ乾杯しましょう。何にしますか?」

    とさっそくリードしてくれる。常連なのか、店のスタッフと親しげに談笑しながらオーダーを入れてくれた。ああ、やっぱり現地の人がいると楽だなあ。思い切って連絡してみてよかった。ふたり揃ってシンガポールではメジャーな「タイガービール」を頼む。植物園から何も飲んでいなかったので喉がカラカラだ。

    「ようこそ、シンガポールへ!」

    ビールを喉に流し込むと冷たく爽快な喉越しで、泡がカラダの内側を指圧しているかのような気持ちよさ。

    「あ〜、美味しい!!」

    私が言うと、佐野 誠は微笑んだ。

    「佐野さんはシンガポールが長いんですか?」
    「いま3年経って、今年中に東京に戻る予定なんです」

    左手の薬指に指輪はない。この年齢の商社マンで独身だったら珍しい気がする。それも、このいかにもモテそうな風貌で。

    「お仕事はどういう内容なんですか?」
    「薬品の営業です。だから出張も多くて、インドやタイ、マレーシア、ミャンマーにもよく行きますね。時差も1時間だし、日本と心理的に距離が近いからシンガポールは働きやすいですよ。上司との関係もこちらの方が気楽だし、楽しくやらせてもらってます」

    他のアジアの国と違ってどこでも英語が通じるのもストレスがないそう。東京出身の帰国子女、大学は慶應で商社というとこだろうか。語学が堪能なのはもちろん、品のある英語を話す人だなと思った。

    「さっそく、チリクラブを頼みましょう。まだ一回も食べたことがないなら、チリソースもいいけどブラックペッパーと両方がいいかな。僕はいくらでも食べられるので」

    再度慣れた感じで忙しく立ちまわる店員を呼び止めオーダーを入れる。日本にはないという青菜の炒めものと、チャーハンも頼んでくれた。

    「実は僕、梨花さんに会うの初めてじゃないんですよ」
    「ええ??」

    過去にイケメン商社マンに会ったら忘れることはないだろう。が、記憶にない。

    「今朝シンガポールに着いたでしょ。実は僕も同じ飛行機だったんです。それで綺麗な人がいるなと思って」

    ちょうど私が健二さんのことでどん底な気分でいるときだ。

    「偶然ホーカーで同じテーブルになって、これは声をかけないわけにはいかないなと」
    「そうなんですね。私、空港ではずっとぼうっとしてたから恥ずかしい」

    その後、私の仕事についての質問などに答えていたら、青菜の炒めものがさっそく出てきた。細いブロッコリーのようで、海老の旨みのきいた油で炒められていた。

    「シンガポールだとお休みの日は何をしているんですか?」
    「友達の家でBBQをしたり、サッカーやムエタイ、プールにも行きますね。会社のゴルフの会員権があるから、ゴルフもしょっちゅう。こっちに来てからの方がよくカラダを動かしていると思う」

    シャツ姿の上半身は、細身だけどたくましい。

    「日本が恋しくなったりしないんですか?」
    「うーん、ドンキに行きたいなあと感じるくらい(笑)。東京より緑も多くて一年中気候もいいし快適。それにどんなリゾートにも近いから、たまに週末“ひとりプーケット”したりもするんですよ。たった2時間で着きます」

    独身なんだ……。それに、彼女もいないような話しぶり。

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