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  • シンガポール・ラブストーリー Vol.2

    シンガポール・ラブストーリー:イケメン商社マンからの速攻アプローチは甘い罠?

    いい歳したオンナの自然反応か、“独身”とわかった時点で、相手のことがより“オトコ”に見えてくる。自分の目の色がヨコシマになっていないか気になっているところ、ついに憧れのチリクラブが登場した。カラダ中にソースをまとった蟹は両手を合わせたくらいの大きさで、堂々と皿の上にそびえ立っていた。

    『パームビーチ・シーフード』
    1950年創業の老舗で、チリクラブ発祥の店とも言われている。チリクラブの有名店は数あれど、味の洗練度とロケーションでいえばここが随一。秘伝のチリソースはトマトベースで辛さはマイルド

    「うわ〜、すごい迫力!」

    私は携帯で写真を撮りまくる。なんてフォトジェニックなんだろう。初めて蟹のことを格好いいと思った。

    「マリーナ ベイ サンズみたい!」
    「あはは、ほんとだね。チリクラブってベタだけどお客をワクワクさせるというか、エンターテイメント感があってみんな喜んでくれます」

    佐野 誠は、器用にハサミを使って蟹をさばいていく。私も夢中になって蟹と格闘する。爪の身がすぽっと取れてにんまりしていると

    「初対面なのに、いきなり無言のディナー(笑) 蟹って忙しいもんね」
    「あっ、すみません! じゃあ、何か質問してください」
    「そうだな……。梨花さんは、彼氏はいるんですか?」

    丁寧でいて大胆な人だ。

    「いませんよ」

    私は蟹を食べながら動揺を隠し答える。日本の蟹よりも歯ごたえがあって、甘辛くフルーティーさもあるソースと相性が抜群。白ワインが飲みたくなってきた。

    「お酒のお代わりどうします? 白ワインとか飲みます?」

    こういう男性が天使に見えるときがある。彼氏の話からそれてほっとしていると

    「美人なのに彼氏がいないとは不思議です。東京は贅沢な街だなあ」

    蟹の殻をバリバリ割りながらさらりと言う。
    それからあとは、彼の出身地の話だったり(神戸出身で一橋大学卒、帰国子女ではなかった)、シンガポールのおすすめの店の話を聞いた。

    天使が巨大ワインセラーにワインを取りに行ってくれるバー『DIVINE(ディヴァイン)』や、ルーフトップで全面ガラス張りの個室がある『オルゴ・バー&レストラン』 など、話を聞いているだけでもゴージャスな店揃い。

    食後にiPadで各店のHPを見ると、東京に比べてシンガポールのダイニングは箱の造りがダイナミックで驚いた。夜景を一望する全面ガラス張りの個室では、夜な夜な合コンも行われているのだとか。

    『DIVINE』
    ワインをボトルでオーダーすると、天使(の装いをしたスタッフ)が宙を舞って高さ12mのセラーにワインを取りに行ってくれるサービスあり。セラーにあるワインのストックは20000本。ゴシック様式の内観がとにかくゴージャス!

    『オルゴ・バー&レストラン』
    エスプラネードシアターの屋上に位置し、『マリーナ ベイ サンズ』やラッフルズプレイスの高層ビル群の夜景を一望する。シグネチャーカクテルは“洋梨 & ローズマリー”。ノンアルコールカクテルの用意もある。ガラス張りの個室は計3つ

    「誠さんも合コンとかに行ったりするんですか?」
    「前はCAとの飲みに誘われたりしたんだけど、最近は行かないかな。むしろ男同士で鮨を食べに行ったり」

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