その名は、サエコ。 #東京悪女伝説 Vol.3

その名はサエコ:冴えない35歳女、後輩のリア充ぶりに感じる嫉妬。

サエコを語る女たち:登場人物


絶世の美女ではない。だけどなぜか噂が絶えない女"サエコ”。彼女にまつわる女たちの噂話。"サエコ”について語る女の口から、嫉妬と自己肯定が入り混じるねじれた感情が露呈していく・・・。果たして、”サエコ”は悪女なのか?誰が悪女かわからない、視点変えれば全員悪女な十人十色の女たちの主張とは。

前回まで、「顔は大して変わらない」サエコの同期の女・さとみと、サークル時代の女性格付けで、No.2を言い渡された女・アンが、嫉妬をだだ漏れに、ねじれた感情を垣間見せたが、今回は・・・?

思春期真っ只中の女子大生の格差に苦しんだ私・・・


サエコの会社の5個上の先輩「靖子(やすこ)」は、サエコについてこう語る。



初めまして。サエコと同じ部署で働いていた、靖子です。サエコの5つ先輩にあたります。

さとみさんも、アンさんも、皆さん、可愛くて綺麗で・・・加えてご実家の潤沢な資金があれば、さぞかしバラ色の女子大生ライフだったのでしょうね。ピチピチの肌に、月1通いのヘアサロン、クロエや、miumiuの新作バッグを女子大生持ちすれば、鬼に金棒。蝶よ花よともてはやされたことでしょう。

思春期真っ只中の女子大生の格差って残酷ですね・・・


私が通っていた大学は、お嬢様学校として有名な女子大です。

有栖川宮記念公園や大使館が点在するインターナショナルな雰囲気漂う広尾の小高い丘の上に位置しています。都心とは思えぬほど緑に囲まれたその秘密の花園には、大病院の娘や、地方の名士の娘などがゴロゴロいました。とりあえず、聞こえのいい大学に娘が通っているということで自尊心が満たされる、井の中の蛙の裕福な家の子が多かったように思います。

一方、私は、福岡の地銀に勤めるサラリーマンの娘。

第一志望の津田塾大学に落ちて、場違いなこのお嬢様大学に入学することに大きな戸惑いはあったものの、当時一浪させてもらえる経済的余裕などうちには無いことはわかっていました。現実を受け入れて、私は上京しました。

驚くことに、通っている女たちのほとんどは、都内の自宅から通学しているか、父親所有の、青山・四谷あたりの一等地の1LDKのマンションに暮らしていました。一方私は、親が工面してくれた仕送りで細々生活しながら、小伝馬町の1R、7万円のアパート暮らし。一応日比谷線で広尾まで一本とはいえ、八丁堀を前後に、乗客の雰囲気もガラリと変わるんです。



両親からプレゼントされた、カルティエのタンクや、シャネルのマトラッセを身につけて、フェラガモや、ジミーチュウなどの上品な靴がお好みの、柔らかい温室育ちの花のような女だらけの校内・・・

正月明けの校内には、家族で行ったハワイ旅行のおみやげの、ヴィクトリアズ・シークレットの匂いのきついルームスプレーや、OPIのハンドクリームが飛び交う中、私は、地元福岡の『博多一風堂』の生ラーメンなど渡せるはずもなく、バカにならないおみやげ代と、カバンの中に押し込められたラーメンの不遇さを思って、人知れず涙しました。

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