日本を代表するフレンチ巨匠4人がリアルに通う店16選!

『コート・ドール』斉須政雄シェフのお薦めはこのレストランたち!

センスあふれる実力派若手が供するカジュアルフレンチ『L’AS』

表参道

「(『L’AS』のシェフである)兼子くんはうちの卒業生なんですよ。」と、少し嬉しそうに微笑む斉須氏。

「彼はとてもセンスのよい子で、本当はクラシックのテクニックをきちんと体得しているんです。でも、今の時代にうまくマッチングするよう、考えに考えた上であの店のスタイルを作り上げたのです。もしかするといろいろな意見があるかもしれないけれど、彼はすべてわかった上で敢えてあのスタイルが最善だと判断したのです」

言葉の端々に兼子シェフへの愛情をふくませながら、斉須氏は言葉を続ける。

「『L’AS』は、彼のバックボーンを知っていればなおさら理解が深まるいい店だと思います。僕も3回行ったけど、実力は折り紙つき。ポロシャツで頑張っている彼を見ながら、頑張れっていつも心の中で応援しています」

青山の奥地にひっそりと佇む『L’AS』は、そのカジュアルなコンセプトで多くの食通を魅了し、今や押しも押されぬ人気店となっている。

しかし、兼子シェフのバックボーンを顧みれば、もはやカジュアルフレンチという枠組みには収まりきらない無限の可能性を秘めているのかもしれない。

斉須シェフがコスパ最強すぎて心配する『ラ・マティエール』

神楽坂

純粋でひたむきなシェフの姿勢があらわれた コスパ最強の神楽坂の名店
「最初は知人に誘われていったんですよ。そこで、僕の好きな型を持ったシェフだと分かり、すごく気に入って、そこからよく行くようになったんです。先週も行きました」

そう斉須シェフが語るのは、神楽坂の『ラ・マティエール』だ。

「彼は何を食べさせたいのかをストレートに表現するタイプのシェフ。だから、お客さんも今日何を食べたのかが、すごく強く印象に残るのです。金儲けとは原点が違う、純粋にお客さんに美味しいものを食べさせたいというひたむきな姿勢が感じられて、同業者の僕から見ても、とても好感がもてます」

帰り際には、厨房から半分窓をあけて挨拶してくれるという少しシャイなシェフ。
さりげない行動ひとつにもその人となりがあらわれているかのようだ。

「使っている食材や味の品質、ボリュームを考えると、価格はかなり控えめ。リーズナブルすぎるくらいです。本当は僕はもう少し値をあげてもよいのではないかと思っています」

フレンチの巨匠が通うというのだから味は折り紙つき。コスパが良すぎると斉須氏が心配するほどの店だ。なかなか予約が取りづらくなっているというが、是非一度訪れてみたいものだ。

斉須シェフが陰ながら見守る『ギンザ トトキ』

銀座

食材の可能性を最大限に引き出す自然派レストラン
26歳の時、斉須氏が休暇で日本に帰ってきた際に、『銀座レカン』の料理長だった城さんから「若いやつがフランス行きたいというから話をしてやってくれ」と言われて話をしたのが最初の出会いだったという。

「まるで若いころの自分に会っているような感覚で仲良くなったんです」
斉須氏がこう話すのは、『GINZA TOTOKI』の十時亨シェフだ。

「フランス時代も、よく会っていました。日本に帰国してから、彼が『銀座レカン』の料理長になったときもうちの店(コート・ドール)にずっと来てくれました。後に彼も独立することになるんだけど、実は僕はずっと彼に独立をけしかけていたので嬉しかった(笑)。僕自身も、フランスで働いていた時に、自分が働いている店のオーナーのありようを見ていて、自分が理想とするレストランを実現する上では、自分の舞台を持たなきゃと思っていたから、彼にも同じことを話しました」

十時氏は、1992年から11年間『銀座レカン』で腕をふるった後、2003年、自らの名前を冠した店を銀座5丁目にオープンした。コンセプトは“自然派レストラン”。自然から生まれた食材といかに対話をしながら、食材の可能性を最大限に高めることを旨としているという。

食材を大切にし、真摯に、ひたむきに向き合うという姿勢は、斉須シェフとも共通したものだ。
このような自然や食材に対する感謝の気持ちこそが、料理人にさらなる進化をもたらす源泉なのかもしれない。

情熱のシェフが織りなす繊細なフレンチ『ラ・ブランシュ』

渋谷

同じ福島出身ということもあり『ラ・ブランシュ』の田代シェフには以前から興味を持っていたという斉須シェフ。
同店に初めて訪れて体験したのは、同じフレンチでも自分とはまったく異なる料理スタイルだったという。

「彼は僕には持っていないものを持っていると感じて、とても魅かれました。田代さんは、体はとても大きいですが、作る料理はとても繊細で、食材や料理に対する愛情があふれています。彼をみていると僕も良い刺激をもらいます」

『コート・ドール』も『ラ・ブランシュ』もいまでこそ不動の人気を誇る名店だが、開店当初から順風満帆という訳ではないという。

「毎日風にたつライオンのような気持ちでやってきました。田代さんのところもそれは同じ。開店当初は苦労をしたと聞きますが、それでも支えてくれた人たちのお蔭でこれまでやってくることができた。だからこそ僕たちは“もっともっと美味しいものを作れるようになりたい”という気持ちが今でも強いのではないかと思いますよ」

大御所といわれるようになった今もなお創意工夫を重ねながら、日々精進を続けているという斉須氏。『ラ・ブランシュ』はそんな斉須氏にとって共感と気づきを得られる大切な場となっているようだ。

斉須シェフが神と呼ぶ『北島亭』

四ツ谷

フレンチ界の“アポロ神”。 あたたかく豪快な人柄が表れた骨太なフレンチ
北島シェフとは、斉須氏がフランスの『ランブロワジー』で働いていた31歳の時にお客さんとして来てくれたのが最初の出会いだという。

「はじめて会った時、アポロ神のようなオーラを感じました。僕たち東北の人間と違って、九州の人はなんだかパワーがあふれているイメージなんですよね。」と斉須氏。

特にフランスで出会った時に話した内容は今でも強く脳裏に焼きついているという。

「北島さんは、常々“クラシックの骨太さは忘れちゃいけない”と言っていました。クラシックのテクニックは過去にいろいろな人たちの審判をうけて生き残ってきたものなので、ないがしろにしちゃだめだと。決して時代の潮流に流されて、骨抜きになっちゃいけないと。その言葉がいまも強く印象に残っているし、僕の原点にもなっています」

今でも『北島亭』には、その精神を改めて感じるために食べにいくという。

「彼は屁理屈を言わず、まっさきに行動するタイプ。決して器用なタイプではないかもしれないけれど、美味しいものをお客さんに食べさせてあげたいと一心不乱に頑張っている姿を見ると本当に感動しますよ。懸命に打ち込むその姿には愛おしさすら感じます」

出会いから30余年を経てなお、強い信頼と尊敬の念を寄せる同志シェフの存在。
「北島さんは大好きなライバル」といってはばからない斉須氏にとって、北島氏は大きな活力源なのだ。

あらためて、トップランナーはいつでも謙虚に学ぶ姿勢を持っているもの。
料理人たちがお互いを高め合い、東京の食はさらに次のステップへと羽ばたいていくのです!

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