開放的な空気に包まれるこの季節。
艶やかに活気づく夜の街に呼応するように、レストランシーンにも瞬く間に東京の夜を席巻するであろう店が続々誕生している。
グルメな大人なら知っておくべき、新しき名店を紹介。
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裏路地に忽然と現れるアトリエで、新しき食体験への扉が開かれる
ガストロノミーレストランを開く場所としては、意外性のある街「蒲田」。
駅前の喧騒とは趣を異にする一角に、クールなコンクリートの外壁と豊かな緑とが共存した建物が出現した。
三角形のオープンキッチンで、繊細な手仕事が冴え渡る
一歩、中に足を踏み入れればそこは別世界。シェフのオリヴィエ・ガルシアさんと、パートナーでこの店のディレクターを務める髙遠菜都子さんが、温かく出迎えてくれる。
ここ『MAISON OLINA』は、かつてふたりが東麻布の住宅街で営んでいた『OLINA』をアップデートさせた隠れ家レストランなのだ。
季節感に満ちたコースは、生産者との交流を重ねて吟味した食材を、オリヴィエさんのインスピレーションと菜都子さんの美意識により、洗練された料理へと昇華させた9品で構成。
なすを象ったチュイルを使うなどエスプリに富んだ皿もあり、一品ごとに心が沸き立ち、満ち足りる。
なじみのエリアから、感性が磨かれる時間を求め、しばしエスケープを。
炭火を自在に操る新鋭が、西麻布の一角で腕を振るう
「焚音料理」という、聞き慣れないキーワードを掲げてオープンした『熾 OKI』。
同じ西麻布にある『OGGI』や元麻布『TOSAGE』を手掛ける「オールイタリアンクラブ」による最新店だ。
着火したのち、炎は上がらずに炭本体が真っ赤に燃えている状態=熾火は、安定した高温の遠赤外線効果で食材の水分をキープしたまま焼き上げることができる熱源。
この熾火と、炎が上がる炭火とを、シェフの徳永翔平さんが巧みに使い分けて料理を仕上げていく様子はライブ感抜群。
さらに枯れ葉や乾燥させた食材の端材、藁などを燃やして香りを纏わせるテクニックも駆使。視覚・聴覚・嗅覚に訴えかけてくる。
メニューは、食べ慣れた大人向けのアラカルトが中心。
白木のボックスに美しく並べられた、その日オススメの食材を見ながらオーダーを組み立てる時間も楽しく、もちろん、味覚もしっかりと満たされる。
感性を刺激する、美しきヌーベルシノワの世界に引き込まれる
恵比寿駅西口から程近い高台にそびえ立つ「タイムゾーンテラス」は、この街きっての“美食ビル”のひとつ。
その中にまた1軒、訪れたくなるニューフェイスが誕生した。
その名も『Li Hua』は、新宿御苑、外苑前、乃木坂などに店舗を構える『礼華』グループによる最新店。
こちらでは、上海料理をベースに日本ならではの季節感や、時には西洋のテクニックも取り入れた艷やかなヌーベルシノワがコンセプトだ。
他では出合えない品々で紡がれるコースのトップバッターを飾るのは“中華風カルパッチョ”こと「ローヘイ」。
綺麗に盛られた真鯛の刺身に、自分で色とりどりの薬味とタレをかけ、和えて完成させるスタイルはなんとも新鮮。
また、おなじみの北京ダックも、黄色い塩卵やブルーベリーソース入りのタレと味わう新趣向で、見た目も華やかだ。
目も舌も楽しませてくれる品々に、心弾む時間を過ごせるはずだ。
レジデンスの中という、想定外なロケーションに胸が高鳴る
麻布台、虎ノ門、六本木など港区に点在する“ヒルズ”の中で、唯一レジデンス棟のみで構成されているのが「元麻布ヒルズ」だ。
しかし、メインのフォレストタワーの中に、ビジターでも利用できる日本料理店が、この度オープンした。
鮨と天ぷらが、それぞれのカウンターでお出迎え。2度訪れる楽しみがある
『元麻布 ささ野』がユニークなのは、そのロケーションだけではない。本格的な鮨と天ぷら、それぞれの専用カウンターを備えているのだ。
天ぷら職人として腕を振るう総料理長の橋本竜児さんは、シンガポールやマカオ、ホノルルなどの日本料理店でも活躍した実力派。
鰹だしがベースの「トマトの摺り流し」には、わさび風味の長芋とたたきオクラを添えて。
グラスの縁に塩を付けたスノースタイルで、カクテルのように供する。
1本目はウェルダン、2本目はミディアムレアに仕上げる、長崎県産の「車海老」。
身の厚い江戸前の「キス」は、ふっくらと揚げる。
料理はすべて「天ぷらコース」(¥19,712)の一例。
敷地内の庭を眺めながら寛げる天ぷらカウンター。
そして、鮨割烹の料理長を務める渡邉ひかるさんは、麻布十番『御料理 辻』や銀座『鮨 むらやま』などでの修業経験を持つ有望株。
いずれも、一品料理と天ぷら、あるいは鮨とを融合させたコースで楽しませてくれる。
欠かせない鮨ネタといえば「赤身」。まぐろは「やま幸」から。
酢飯には3種類の酢を使っているが、赤酢は香りも色も柔らかな「琥珀酢」を使用。
「焼き茄子とごまのスープ」は、夏らしい一品。大葉オイルと花穂じそがさわやかさを添える。
江戸前鮨らしい「小肌」。やや小ぶりで、丸みのあるフォルムが渡邉さん流の握りだ。
料理はすべて「鮨割烹コース」(¥19,712)の一例。
知る人ぞ知る“ヒルズ”に存在する、好奇心をくすぐる密やかな一軒。覚えておけば、切り札になる。
『富嶽三十六景』を五感で味わう!?“2軒目は江戸”な夜もあっていい
東京駅八重洲口から徒歩1分という抜群の立地に、アパートメントホテル「RHUMB LINE TOKYO」が開業した。
ホテル自体はツーリスト向けの仕様だが、こちらの2階にオープンしたのが「浮世絵を、吞む」というユニークなコンセプトを掲げた『BAR 36』。
店名の“36”は、葛飾北斎の『富嶽三十六景』にちなむ。
江戸時代、浮世絵は日本各地の気候風土を伝える媒体として親しまれていたという。
ここでは、作品に描かれた情景を「茶・酒・和菓子」の3品に落とし込んだセットメニューを味わえる。
例えば『富嶽三十六景』の代表作『神奈川沖浪裏』であれば、秦野のほうじ茶とそれを使ったカクテルに鎌倉の銘菓を添える、といった具合だ。
浮世絵の理解が進むと同時に旅情が掻き立てられる。
『高梨茶園』の「ほうじ茶」。
歌川広重の『東海道五十三次』『六十余州名所図会』を題材にしたものもあり、セットは全6種。
コンプリートを目指したくなる。
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