SPECIAL TALK Vol.141

~金箔に注がれた祖父と父の愛情。変化を乗り越えて未来に繋ぎたい~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長
大阪府生まれ、鹿児島県育ち。1989年起業、代表取締役就任。日本ハンドボール協会会長。


信頼できるチームと、さらに挑戦を続けたい


金丸:まずは職人を守り、育てていくことが重要ですね。

高岡:おっしゃるように、最大の課題です。昔から金箔づくりは問屋制で、材料を渡して、職人が加工して納品するかたちでした。職人も代々家で継いでいく仕事でしたが、それでは保障もないし、食べていくのも大変。なので、私たちの会社ではできる限り積極的に雇用しています。

金丸:AIが幅を利かせる時代だからこそ、職人の世界に良さを見出す人もいそうですが。

高岡:加工をやりたいと言ってくれる美大卒業生は結構います。一方で、材料を作る地味な職人仕事をやりたいという人はほとんどいません。地元金沢に限らず、全国に呼びかけないと。

金丸:女性にも職人の世界に飛び込んでほしいですね。

高岡:ぜひやってほしいです。女性にできない何かがあるわけでもないし、逆に女性の感性が生かされると思います。

金丸:それに、工程に対するリスペクトが生まれるようなマーケティングも必要じゃないですか。1万分の1ミリを作り上げるために、まずは和紙を半年かけて仕込む。このことをもっと多くの人に知ってもらいたい。

高岡:それを知った上で金箔を手に取ると、まったく違う見え方になるでしょうね。

金丸:世界展開も考えていらっしゃいますか?

高岡:それこそ、店舗にはインバウンドの方も大勢いらっしゃいますから、考えています。買い物の様子を見ていると、欧米の方はアクセサリー、アジアの方はコスメを好まれるというように、国によって受け入れられ方が違いますね。

金丸:ドバイなんて、どうでしょう?「世界一」に貪欲な都市ですから、金箔の空間を設えたいなんて需要も絶対にあるはず。

高岡:ドバイも攻めがいがあるでしょうね。

金丸:たくさん作れるものじゃないので、マスに行ったってしょうがない。希少価値の方向に振り切って、その価値を認めて、喜んでお金を出してくれる潜在顧客を見つけることを考えたほうがいいと思います。

高岡:そうですね。私が大事にしたいのは、金箔を人生や生活の中で使い続けてもらうことです。国内でも海外でも、ただお土産として買うのではなく、普段から使ってほしい。私たちは「“箔がそこにある”未来をつくる。」を企業理念に掲げています。今だけ良ければいいだと次に繋がらないので、時代を超えて自然とそこにある存在にしていきたいんです。

金丸:それは大事な視点ですね。単なるインテリアではなく、日常生活で使ってもらえたら、日本の文化を常に感じてもらえます。

高岡:製造工程を見ても、和紙だけでなく、竹の枠を当てて金箔を切りそろえたり、静電気が生じないように竹の箸を使ったりと、竹の出番も結構あります。そういう意味では、日本文化が凝縮されたような存在なんです。

金丸:確かにそうですね。ところで、後継ぎのことは考えていらっしゃるんですか?

高岡:娘と息子がいますが、小さい頃から金箔を使った器で食事をしたり、普段から触れる機会を作ったりして、金箔を身近なものとして育ててきました。

金丸:お父様の失敗を繰り返さないように。さすがですね(笑)。

高岡:ただ押し付けはしたくないので、最後は、本人が好きかどうかで決めてほしいですね。

金丸:課題は山積みでしょうが、日本の宝である金箔を、世界に、そして次の世代へと届けていただくことを楽しみにしています。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。

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