~金箔に注がれた祖父と父の愛情。変化を乗り越えて未来に繋ぎたい~
降って湧いた後継問題。次女ながら家を継ぐことに
金丸:では、高岡さんのことを教えてください。ずっと金沢にお住まいなんですか?
高岡:大学進学で東京に出ましたが、それまでは金箔に囲まれて暮らしていました。今でこそ1グラム3万円近くととんでもなく高騰していますが、私が子どもの頃は1,000円くらいで。なのでうちには金箔がわんさかあったし、どこの家にもあるものだと思っていました。
金丸:さすがの金沢でも、そんなことはないでしょう(笑)。
高岡:でも、本当にそう思っていたんですよ(笑)。子どもの頃は、金箔をおもちゃにして遊んでいましたし。
金丸:高級な遊びですね(笑)。高岡さんが3代目ということですが、お祖父様は職人でいらしたのですか?
高岡:もともとは職人です。祖父が作った箔を祖母が売って、その後、会社にして、父がそれを継いで。新たに箔座を立ち上げたのは父の代ですね。
金丸:お父様は今もお元気で?
高岡:会長職ですが、80歳になっても自転車に乗って金箔を売り歩いています。
金丸:現役で自転車を乗り回していらっしゃるとは(笑)。
高岡:本当に元気なんですよ(笑)。ただ、その父が、見たことがないくらいに落ち込んだことがあります。それが後継ぎ問題。うちは1歳上の姉、私、4歳下の妹の3人姉妹なんですが、父はもともと姉に継がせたかったんです。
金丸:だけど、お姉さんは継がなかった。何があったんですか?
高岡:私が20歳の頃、姉が「私は勘当されてもいいから、ダンサーになる」って、家族会議で。
金丸:ダンサー?
高岡:私も姉もずっとモダンバレエをやっていました。私が東京に出てからは、ふたりで一緒に住んでいて。
金丸:じゃあ、高岡さんは、お姉さんがダンサーの道に進みたいというのは知っていたんですか?
高岡:それがまったく。だから姉の宣言に驚いたし、姉が継いでくれると当然のように思っていた父の落胆ぶりにも驚かされました。私自身、「これ、どうすればいいの?」と引いちゃって。
金丸:それで、突如、高岡さんに指名が回ってきたと。
高岡:いえ、あまりの父の落胆ぶりに、ついつい「前向きに考えるから」って言っちゃったんです。それまで何も期待されていなかったし、その場を丸く収めたいだけだったんですけど。
金丸:お姉さんはその後、勘当されたんですか?
高岡:しばらくは本当に勘当状態でした。ちなみに姉は今、金沢でダンススタジオをやっていて、私も通っています。
金丸:じゃあ、その後も仲良し。良かった。結果論ですが、やりたいと思ったことを今もちゃんと続けているって、お姉さんも立派ですよね。
高岡:そうですね。家族会議のあと、実はちょっとだけ、姉を恨んでましたけどね(笑)。




