~金箔に注がれた祖父と父の愛情。変化を乗り越えて未来に繋ぎたい~
令和のニューリーダーたちに告ぐ
日本では伝統工芸からアクセサリー、食品まで、さまざまな場面で金箔を目にする。実は金箔の最大の産地は金沢で、国内生産量の100%を占める。
高岡美奈氏は金箔職人の祖父から数えて3代目。2017年に「高岡製箔」と「箔座」というふたつの会社を父から引き継ぎ、金箔を製造・販売しながら伝統技術の継承に取り組んでいる。
幼少期から金箔に囲まれて育ちながらも、高岡氏は次女。家業を継ぐつもりがなかったところに、大学時代、急に白羽の矢が立った。
1万分の1ミリという最薄の伝統工芸をいかに未来へ繋ぐか。日々腐心する経営者の戦いと、知られざる金箔の世界を語り尽くす。
金丸:本日は箔座株式会社・高岡製箔株式会社の代表取締役社長、高岡美奈さんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。
高岡:こちらこそ、お招きいただき光栄です。
金丸:今日の対談の舞台は三田の『聖坂 和敬』です。星付き『麻布 和敬』が西麻布からこちらの聖坂へ、2025年秋に移転されています。数寄屋造りの店内で、素材の持ち味を生かした日本食をいただきながら、お話を伺いたいと思います。
高岡:お料理も楽しみですし、素敵な空間ですね。
金丸:さらに、高岡さんに素敵な演出をご用意いただきました。
高岡:本日ご用意したのは、箔座で作っている「ぱっきん箸」です。お祝いの席やおもてなし用の割り箸ですが、割ると金箔がふわっと落ちてきます。それにしても、これまでの対談で錚々たる方々が登場されているので、「私なんかが?」という気持ちです。
金丸:とんでもない!高岡さんはお祖父様の代からの会社を継ぎ、金沢で育まれた歴史と伝統を受け継いで、こだわり抜いた製品を作っていらっしゃいます。それに、伝統工芸の世界って、多くは男性社会じゃないですか。
高岡:そうですね。金箔の世界も、職人も経営者もだいたい男性です。ただ、父は「付加価値のあるプロダクトを生み出すには、女性の力が必要なんじゃないか」と考えていたようです。
金丸:まったくそのとおりだと思います。これまで、この対談には、伊勢根付職人の梶浦明日香さんや、女性初のねぶた師となった北村麻子さんといった、伝統工芸の世界に飛び込んで活躍されている女性にも登場いただきました。
高岡:ほかの業界であっても、そういう方が活躍されていると、私も励まされます。
金丸:材料をこつこつ作るだけならともかく、加工やブランド化を考えると、エンドユーザーに近い感覚やセンスが求められます。それに地方だと、いろいろな会合でも男性だらけじゃないですか?
高岡:だんだん変わってきているように感じますが、まだそういう場面は多いですね。100人以上いるような場に、女性が私を入れて2、3人みたいなことはよくあります。
金丸:金沢のような街には、「旦那衆」みたいな人たちがいますよね?
高岡:すごく粋な経済人はたくさんいらっしゃいますよ。
金丸:今日は知られざる金箔の世界や伝統工芸の未来について、いろいろと伺います。どうぞよろしくお願いします。





