街の寒さが冬本番に差しかかるこのごろ。東京のレストランシーンも、いよいよ最高潮の盛り上がりを見せている。
来年以降もさらに街を沸かせるであろう話題の店は、今年の締めくくりにこそふさわしい。
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居を新たにした静かなる名店の堂々たる佇まいは高揚を誘う
2018年に西麻布の住宅街に開店するや、たちまち名を馳せた『麻布 和敬』。この秋さらなる高みを目指し、移転を果たした。
新天地として選んだのは、かつての東海道のすぐそばであり、高輪と三田を結ぶ「聖坂」。名を新たに『聖坂 和敬』とした店の近隣には学校や大使館が立ち並び、落ち着いた雰囲気が漂う。
場所を移すにあたっては、念願だったという、京都の数寄屋建築の名匠『三角屋』に設計を依頼。
床柱は皮付きのアカマツ、ほかにも北山杉、神代欅といった銘木がふんだんに使われており、職人の技が生きた凛とした空間に、まず心躍る。
熟練こその実直でいて、繊細な料理。日本の美味に翻弄される夜も良い
日本料理の名店『分とく山』の野﨑洋光さんを師と仰ぎ、この道一筋に歩んできた竹村竜二さんの料理も、ますます冴え渡る。
新たなスタートとともに、茶の心を伝える「懐石」に則った献立を取り入れることに。
匂い立つ焼き松茸のお浸しと、さっと炙った伊勢エビを合わせた、なんとも華やかな先付。エビの味噌といただく寸法だ。
懐石料理の1品目「煮えばな」は、一瞬の味わいをいただくもの。新潟「かやもり農園」の米を使い、新イクラを添えて。
真昆布と利尻昆布、ハモの骨の出汁にくぐらせた「鱧しゃぶ」。
「煮えばな」から始まり、旬の素材を惜しげもなく取り入れそれぞれの持ち味を引き出した品々は、季節を愛でる日本の食文化の尊さを雄弁に伝えてくれる。
発酵の技術で引き出された香りと旨みが、余韻を脳裏に刻み込む
白金高輪駅の目の前に、モダンな雰囲気漂うフレンチレストラン『Sillage』がオープンした。
シェフの宗定和輝さんは、「ウェスティンホテル淡路」「神戸北野ホテル」でクラシックなフランス料理を習得。渡仏すると、南フランス・ニームのミシュラン一ツ星店『Jérôme Nutile』でモダンフレンチの世界に足を踏み入れた。
パリではなく南仏を修業の地に選んだのは「岡山出身で、南仏の食卓に欠かせないオリーブは自分にとっても身近な食材だったから」と宗定さん。
そして帰国後は「日本で独自の進化を遂げているモダンガストロノミーを学びたい」と『L'ARGENT』加藤順一シェフに師事。発酵の技法や北欧のエッセンスの取り入れ方などを習得し、引き出しを増やした。
地元・岡山から届く無農薬野菜をふんだんに使用!
シェフとして率いる初のレストランとなるこちらでは、故郷・岡山の素材をはじめ、日本の気候風土に育まれた優れた食材が持つ味わいや香りを大切に、ひと品ひと品を紡ぐ。
「高知県産戻りガツオ/発酵パプリカ/ぶしゅかん」は、高知県産の酢みかん「ぶしゅかん」で鰹をマリネ。
仕上げに桜のチップのスモークで香りを纏わせる。
ガストロノミックでありながら優しい印象の品は、温かい余韻をもたらす。
『焼肉 東京24区』。なんともキャッチーな店名の焼肉店がお目見えした。
激戦区と言っていい西麻布・六本木エリアで、あえて勝負に出た若き店主・木原 翔さんは「あらゆるタイプの焼肉店が近隣にひしめいているからこそ、諸先輩方が築き上げた“焼肉”の伝統に敬意を払いつつ、クリエイティビティある新しいスタイルを提唱したい」という。
恵比寿『蕃 YORONIKU』『KINTAN』グループという人気店で修業し、六本木の割烹『感情』ではカウンター店での仕事も経験。
そんな木原さんが作ったのは「鮨店のような焼肉店」だ。
肉の切りつけから焼きまで、目の前で繰り広げられる一挙一動が食欲を誘う
カウンターの中央に炭火の焼き台とガスロースターを設え、注文ごとに切った肉を部位や状態に合わせて熱源を使い分け、焼き上げる。
正肉は、十分な旨みをたたえた赤身肉の味わいに惚れ込んだ北海道・大橋牧場の「知床牛」のみ。ホルモンも芝浦直送の極上品。
味付けはタレ、塩、味噌の3種。希望に応じて提供してくれるが、おまかせも可能。
タレをまとわせたイチボ¥770(1枚)。木原さんいわく、「イチボは片面10秒ずつの焼きでお出ししています」。
さらには、工夫をこらしたサイドメニューも。規格外なルーキーの登場に港区が沸く。
シェフとソムリエの渾身のこだわりが詰まったカウンター
そこかしこに和の趣が漂う街でありながら、近年はフレンチ、スパニッシュなどの新店も増えつつある人形町。そんな注目エリアにまた一軒、話題を集めること必至のイタリアン『Firmamento』がオープンした。
シェフの大佐古優也さんは、中目黒『ICARO miyamoto』に5年在籍しイタリアンを習得した後、「魚の扱いと日本固有の食材へのアプローチを学びたい」と日本料理の『龍吟』へ。
続いて銀座『グッチ オステリア』ではスーシェフとして4年間活躍した人物だ。
香ばしい鰻に驚き、トリュフの香りに心震える。日伊の技術を駆使した完成度の高さ
培ったテクニックと豊かな感性から生まれるコースではめくるめく品々が登場。
スッポン、トラフグなど和食ではおなじみの食材の持ち味をイタリアの伝統的な料理に落とし込み、こちらの店ならではの味へと昇華させている。
仔牛のすね肉の煮込み「オーソブーコ」の、骨髄のゼラチン質をなんとフグ皮で表現。
トラフグのラグーと、あらで取った黒いフォンも添えた「天然とらぶぐのリゾット・ミラネーゼ」。
「セイコガニのブーロ・エ・サルビア」は、それぞれ内子と外子を詰めたラビオリに、セイコガニの殻で取った出汁の泡を。
濃厚な卵黄入りのパスタにスッポンのブロードと香り高い白トリュフを添えた「スッポンと白トリュフのタヤリン」。
コース(¥22,000)からの一例。
ノンアルペアリングもこだわりあり
同様に、ソムリエの桑原克也さんがレシピを作らずに編み出す、一期一会のノンアルコールドリンクも唯一無二。いち早く体験したい晩餐だ。
人気店が集う恵比寿の坂の上で、洗練された四川の味わいを
美味しいもののためならば少しくらい遠方へ足を延ばすこともいとわないグルマンの間で「吟味された食材を使った手加減なしの四川料理が食べられる」と評判を集める、つくば『麻辣十食』。
そのオーナーシェフの孫麗さんが、恵比寿に新店をオープン。
つくばの店とはがらっと趣を変えた『La Shisen』のスタイリッシュな空間でいただけるのは、その時期一番美味しい素材に、四川料理のテクニックを施したおまかせコース。
実は孫麗さん、調理師学校時代にはフランス料理の世界を志していたのだそう。
また麻布十番のイノベーティブな鉄板焼店『石垣吉田』で経験を積んだこともあり、美的なプレゼンテーションもお手の物なのだ。
通常は肉を使う「獅子頭」を新鮮なエビで仕立てた「蟹粉獅子頭」。
上海蟹の味噌とフカヒレの贅沢なソースを添えて。
皮をパリパリに仕上げた「クリスピー鳩」。
スパイスや香味野菜とマリネし、ほどよい風味がついているので、そのまま味わって。
『麻辣十食』で人気の「麻婆豆腐」はこちらでもスペシャリテ。黒毛和牛の粗挽き肉を使い、豆鼓や豆板醤はペースト状にすることで味の一体感を高めるといった細やかな工夫が光る。
四川のオーセンティックな味わいと繊細な表現との融合を味わいたい。
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