気づけば今年も、残り1ヶ月強。冬の気配を感じるこの時期。
東京のレストランシーンは年末に向け加速度的に盛り上がっている。新たな才能に出合える5軒を厳選した。
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季節の移ろいや食材の魅力を存分に堪能する2時間がここに
この店のオーナーシェフである須羽恒之さんはフランス料理を皮切りに、やがてヨーロッパ諸国の食文化への興味が芽生えて3度の海外武者修業を経験した。
フランス・マルセイユの『Le Petit Nice』、ノルウェー『Maaemo』、スペイン『Disfrutar』『El Celler de Can Roca』と、フランス・北欧・スペインの三ツ星レストランで研鑽を積んだのだというのだから恐れ入る。
しかも料理のみならず製菓、ベーカリーなどの技術まで貪欲に習得したのだそう。そして帰国後は、ミシュランの星を有するグランメゾンで、料理長として活躍。
今年7月、満を持して自身の城『CREATERNA』を構えた。場所は三宿通り沿い、世田谷公園のすぐ近くに立つビルの地下。
卓越したクリエイティビティから紡ぎ出される美的な品々に酔いしれる
空間こそ華美ではないが、ゲストの前に運ばれてくる料理は、どれも実にアーティスティックでひと皿ごとに心躍る。
国や伝統にとらわれない須羽さんならではの感性で繊細に表現されていて独創的であるが、技巧に走ることはなく「今、この食材を味わってほしい」という真っすぐな思いが伝わってくる。
すね肉の赤ワイン煮込みを包み込んだ「蝦夷鹿のブリオッシュ」。
上には薄切りのマッシュルームとサマートリュフを重ねて。
ハマグリの身とオレンジ色の「ますこ(マスの卵)」を添えた「ハマグリのフラン」はレースを思わせるチュイルが美しい。
「和牛内もも肉ロースト」は低温のオーブンで中は柔らかく、外側は香ばしく仕上げる。断面のコントラストも見事。
料理はコース(¥17,000)の一例。
高い技術に裏打ちされた料理を気取らぬ雰囲気で味わえる、価値ある一軒だ。
気骨あるホープによる直球の握りが、鮨を愛する人々の間で一躍話題に
長らく“日本の台所”“魚の聖地”と謳われた築地。市場こそ移転したが、今なお優れた鮨店が点在する。
そんなエリアに、今年7月若き俊英が自身の店を構えた。
主人の芳尾信治さんは『築地寿司清』での修業ののち、鮨の愛好家から熱い支持を集める御成門『冨所』へ。師と仰ぐ親方・佐藤浩二さんの鮨に惚れ込み、職人としての経験を積んだ。
「小細工なしの力強い握りと、光りものの仕事の見事さに惹かれて弟子入りを志願しました」と芳尾さん。
存在感のある大きめの握りは、言うまでもなく師匠譲り。甘みが少なくさっぱりした食味が特徴の岡山の自然栽培米「あさひ」に3銘柄をブレンドした赤酢を合わせる。
「パンチがありつつ、どなたでも召し上がりやすいバランスを追求しています」
江戸前鮨に欠かせないタネのひとつ「こはだ」。
もうひとつ、特筆すべきことがある。おまかせコースのみで一斉スタートの店が主流になりつつある昨今だが、『芳尾』では望めば“お好み”にも対応しているのだ。
気風の良い硬派な新店、なんとも頼もしい。
“アジアの中の東京”を表現した、食とカルチャーが共存する一軒へ
リノベーションした古い倉庫に高感度なショップやレストラン、スタジオなどが入居する複合施設、新木場『CASICA』。
その姉妹店となる『CASICA KABUTOCHO』が、近年個性豊かな新店が続々と登場している兜町エリアに誕生した。
こちらには、アジア諸国の魅力的なプロダクトが並ぶショップと、中国圏でポピュラーな蒸し料理を中心に、独自のアレンジが光るアジアンフードをナチュラルワインや中国茶とともに楽しめる、レストラン『可視化飯店』が併設されている。
クリエイティブユニット「CIRCUS」と「南風食堂」三原寛子さん、中華の名店のほか香港の一流ホテルでも経験を積んだ仲 良健シェフが作りあげた料理は、香り豊かで印象深いうえ食後感が軽やかなのも嬉しい。
揚げてから唐辛子や山椒と炒め合わせた具材がランダムに入っている「穴子とアワビ茸の唐辛子炒め」(¥1,300)は、重慶発祥の料理をアレンジした逸品。
また、午後の時間帯には台湾の茶人・謝 小曼氏がセレクトした茶葉を、本格的な作法で味わえる。
東京にいながらにして、アジアの息吹を感じるひとときを過ごしてみては。
和洋のテイストが巧みに共存する空間で、旬を告げる料理に没入する
店名にある「無窮」とは“極まりない、限りない”といった意味を持つ言葉。そこからは、料理長・五十嵐庄大朗さんの料理人の道を探求する覚悟と矜持を感じる。
今年9月、六本木ヒルズの中でもとりわけハイエンドなレストランが立ち並ぶ、けやき坂沿いに立つレジデンスB棟内に『御料理 無窮』は開店。
暖簾をくぐり、店内に足を踏み入れるとモノトーンで統一されたミニマルなインテリアに圧倒される。
吟味した食材のポテンシャルを最大限に引き出した品々を
コースは伝統的な会席料理の構成を踏まえつつ、山形牛を使った料理も盛り込み、贅が凝らされている。
五十嵐さんの出身地である福島「鈴木農場」で育った米・ミルキークイーンや季節の野菜、信頼を置く豊洲の仲卸による上質な魚介類をふんだんに。
また、名物の「しゃぶすき」を筆頭に「今後は、お客様が召し上がる直前に目の前で仕上げ、臨場感も楽しんでいただける料理を一層盛り込んでいきたい」と語る五十嵐さん。
目と舌を存分に喜ばせてくれる、美味なる隠れ家の誕生だ。
これぞ港区的な高揚感!シェアテーブルでフレンチをいただく斬新さ
扉が開くと目の前に現れる、深海ブルーに包まれた空間。ペイズリー柄のテーブルクロスがどこか蠱惑的(こわくてき)な雰囲気を醸し出す店内は、まるで都会の小宇宙。ここが『harvest project』。椎名豊太郎オーナーシェフの想いがこもった新店だ。
自らの名である“豊”を店名(harvest)に冠した椎名さんは、あの『NARISAWA』で修業後、牛肉の老舗『銀座 吉澤』のエグゼクティブシェフも務めた多彩な才能の持ち主。そんな彼ならではの世界観が、集約されている。
感性に響く美皿コースをいただく
料理を通して人の心を動かし、感動を与えたいと料理の道に進んだ椎名さんだけに、“美味しさ”をゲストに届けることが最大のテーマ。
定番のマイクロハーブサラダ「御礼の花束」をはじめ、旬を大切にしたコースは、時にシンプルに、時にゲストに驚きを与えるなど緩急自在。
ひと皿ひと皿のバランスの取り方も上々だ。
「仙台牛ランプ肉のアロゼ」は、特注のスモーカーによる幻想的なパフォーマンスも興をそそる。薫香をまとうロゼ色の牛肉は期待を裏切らぬ美味しさ。
料理はおまかせコース(¥22,000)の一例。
稀少なボトルもそろう!
年代物のワインと共に味わう伝統と革新のフレンチは、艶やかな夜を演出してくれるに違いない。
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