港区の中でも落ち着きがあり上質さが漂う麻布十番。そんな街に20代のとき8年間暮らした作家が麻布競馬場さん。
名物を一品ずつ食べ歩く美食ルートを提案してくれた。
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ナビゲートするのは……
覆面小説家・麻布競馬場さん
1991年生まれ。SNSに投稿した文章が話題を呼び、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』(集英社)で小説家デビュー。この当時、麻布十番に住んでいた。2作目『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)は直木賞候補に。
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「突き詰めると、ここは地元の人のためにある街だと思う」と麻布競馬場さん。麻布十番に8年ほど住み、店に集う人々の生態をつぶさに観察し、小説に落とし込んできた、作家の偽らざる結論だ。
「住人の誰に聞いても必ず行きつけがあり、お互いの情報交換も常に欠かしません。自分の行きつけでセンスの良さを競っている」
会員制やおまかせコースのみという港区らしい名店が多くある一方、「アラカルト中心で、個々のわがままに応えてくれる店も少なくない。そんなところはメニューを開かず、店主のオススメにすべて委ねても間違いがない」。
食の偏差値は高いが、「お店も街もどこか実家感がある」ため、肩肘張らず過ごせるのも特徴だ。
そんな個性を踏まえ、提案されたのがフレンチ、中華、イタリアンとジャンルを変えつつ、それぞれのスペシャリテを堪能し、その美味しさに合うお酒で杯を重ねるプラン。すべて巡れば唯一無二のフルコースができあがる。
そのクオリティは都内屈指。「偏差値65以上」の名店がきら星のごとく集まる、麻布十番のすごさが体感できる。
【1軒目/16:00 START】名建築でキールロワイヤル。この優雅さが大人のハシゴ酒にちょうどいい
『ティーラウンジ「ザ・ガーデン」』
食前酒代わりの1杯は、知る人ぞ知る店『ティーラウンジ「ザ・ガーデン」』。
1955年竣工の「国際文化会館」という昭和レトロな建物の一角にあり、街から少し離れた鳥居坂の上というロケーションが格別。
選者曰く「大使館の晩餐会も開かれるなど格式が高い」一等地だが、誰でもカフェ利用できることはあまり認知されていない。
3面がガラス張りで美しい日本庭園に囲まれており「春は桜、秋は紅葉が素敵」。緑が美しいいまなら、涼やかな避暑地の趣。
この雰囲気で味わう爽快なシャンパンカクテルは宴の序章に最高。ふたりの気持ちもおのずと高まる。
【2軒目/17:00】世界で1番美味しい揚げ物を前菜代わりにつまめる幸福!
『たそがれ』
シェフとマダムの笑顔に癒やされる地元民は多数。カウンターで営むフレンチ割烹『たそがれ』。
麻布競馬場さんが「世界一美味しい!」と語る揚げ物は黒板メニューの最上段に。旬の食材ふたつを創意で組み合わせ、唯一無二の逸品に仕立てている。
8月は鱧とトウモロコシ。「特別なことは何もしていません」とシェフは謙遜するが、相互に旨みを高め合う仕上がりが見事。
食材の切り方から衣をつけて揚げ終えるまで、全工程を丁寧に施すからこそ客の“世界一”になる。
清涼感が最高の「コハダとすいかのカチュンバ」¥1,500。
お腹に余裕があれば、カツサンドも必食!
選者が語るカツサンドへの賞賛も納得。抜群の完成度を誇る。
【3軒目/19:00】北京ダックをアラカルトで好きなだけ。そんな余裕がこの街には合っている
『中国飯店 紫玉蘭』
次は「麻布通り」を抜けて高級中国料理の代名詞的な老舗グループ『中国飯店』のチャイニーズバル『中国飯店 紫玉蘭』へ。
名門ゆえにコースの提供を基本とするが“紫玉蘭”は小皿料理を多くそろえる姉妹店。
「昼夜を問わずアラカルトで注文できる」ことで有名な北京ダックは伝統レシピに則って作られるスペシャリテで、香ばしくジューシーな脂があふれ出す。
丸々一羽の焼き上がりをまずプレゼンテーションした上でオリジナルの皮に巻いて銘々皿で提供。
選者のお好みは「サクッと紹興酒か白酒」。気軽に名店の粋を堪能できる。
中国茶でひと息つくのもいい!
中国茶も豊富で「枸杞菊花茶」(1ポット¥1,400)などオリジナルブレンドも。
「飲み疲れたらひと休み」と麻布競馬場さん。
【4軒目/21:00】“やま幸”のまぐろと極上のワインでフィナーレへの助走をつける
『Wine Maison Ropp』
ただでさえワインバーの多い麻布十番だが、肴の美味しさではここが群を抜く。
「人気仲卸『やま幸』の直営で、刺身もさすがのクオリティ」とは麻布競馬場さん。
大間をはじめ、単品ではなかなか食べられない名産地の極上まぐろも登場する。
合わせるグラスワインが充実し、価格帯も比較的リーズナブル。ワイン愛好家でもある代表・山口幸隆さんの嗜好を反映してブルゴーニュやローヌなど、フランスの銘醸地を赤白で各5種類ほどリストアップ。
ふらっと入れて一品1杯でもウエルカムな、街の良心ともいえる存在だ。
【5軒目/24:30】至高の深夜パスタがいつも変わらずあるのが麻布十番の懐の深さ
『Ubriacare』
最後は「深夜に界隈の飲食関係者が集まる」という良店『Ubriacare』へ。
イタリア修業経験もあるシェフの斉藤 翔さんは、地産地消が当たり前の現地に倣って自ら野菜も育ててしまうほどの凝り性。独自にブラッシュアップした料理にもセンスがみなぎり、客を飽きさせない。
深夜なのに豊富なアラカルト!
ズッキーニのコロッケ、フェンネルのタルトなど、どれも酒が進む「自家農園野菜を使った前菜3種」¥2,200。
〆にはモデナで出合ったド直球郷土料理を。
牛スジから丁寧に取った澄んだコンソメに小さなラビオリが浮かぶ一品で、滋味深いスープが五臓六腑に染みる。
これだけ食べて飲んでも体が喜んでいるとはさすが麻布十番。「食の偏差値が高い」と言わざるを得ない。
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