瑞々しい新風が吹いている東京のレストランシーン。
話題のシェフによる独立店、感度の高い新業態、そして心を動かす味の一軒も。いま、注目すべき新店だけを厳選。
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凛としたカウンターで、名うてのシェフの確かな技と美酒に酔う
江戸時代には問屋街として賑わいを見せた日本橋小伝馬町。
当時から今なお暖簾を掲げる老舗も多くどことなく江戸情緒が漂うこの街に、フランス料理人として辣腕を振るってきた人物が、自身の店を構えた。
オーナーシェフの小泉敦子さんは『ミクニ・マルノウチ』を経て、渡仏。ボルドーの二ツ星レストランで世界的なスターシェフであるティエリー・マルクス氏のもと働くことに。
その後もマルクス氏とともに『マンダリン オリエンタル パリ』のメインダイニングで活躍し、さらに2020年まで東京・銀座にあった『THIERRY MARX』では総料理長を務めた。
オーセンティックなフランス料理ならではの洗練が香り立つ
しばしの充電期間を経て開いた『Cheval』は、これまで在籍した店とはがらっと趣を変え、小泉さんがひとりで切り盛り。
「フランス料理の文脈からは外れることなく、召し上がる方に優しい料理を作りたいです」
「仏・ラカン産仔鳩のロースト」¥8,800。
付け合わせは、ハトの肝のコンフィ入りのポテトピューレや、那須高原「こたろうファーム」から届く花ズッキーニやフィノキエット。
鮎を余すところなく使った「鮎 ビスク仕立て」¥4,000。
身をトマト、三つ葉とともにパータフィロで巻き、頭、骨、肝は手をかけて濃厚なビスクに。
「深川リゾット」(¥2,200)は、小泉さんの地元の名物料理「深川めし」が下敷きに。
アサリ、味噌、パルミジャーノの旨みが溶け合う(料理3品の価格はいずれも2名分)。
「季節のリオレ」(¥700)はお米をミルクで炊き、沖縄のシナモンで香り付け。季節のフルーツと。
気取らぬ雰囲気の中、正統派の味わいにゆったりと浸りたい。
コースも単品も、気分次第。6席だけのカウンターで思いのまま過ごす贅沢
いたずらに奇をてらわず、食材の本質を捉えた味で定評のある乃木坂『豪龍久保』。このミシュラン常連店のセカンドラインとして、本店創業の地にオープンしたのが『笄町 豪龍久保』だ。
ご主人・久保 豪氏が店を託したのは、長年、氏の下で研鑽を積んだ鎌田高彰さん。
鰻や但馬玄を使い、贅を尽くしたコース5品で感じる口福
「料理5品で¥15,000のショートコースのほかアラカルトも豊富にそろえ、ゲストのリクエストにも柔軟に対応します」と鎌田さん。
コースだけでもよし、お腹の空き具合に応じて単品をお好きにどうぞという訳だ。
品書きに目をやれば、愛媛のカリスマ漁師・藤本さんの鱧やキジハタ、神奈川の「さかな人」長谷川さんの黒むつ、肉は但馬玄など食材は本店とほぼ同様のラインナップ。
同じ但馬玄でも上質なシャトーブリアンは本店、残りはこちらで使うなどして、この価格を実現している。
長期肥育により、低温で溶ける脂の質の良さ、とろける食感を持つ但馬玄のすき焼き。
賀茂茄子とキジハタのお椀。
滋賀から取り寄せた水を用い、利尻昆布を6~7時間水出ししてとるお出汁は、すっきりしていながら深い余韻を感じる。
愛知県一色産の鰻の蒲焼。地焼きで、炭火にかけ香ばしく焼き上げる。
写真の料理はすべて¥15,000のコースから。このほかに先付とお造りがつく。
新潟県にある「マルヨシ鮮魚店」石原さんの本まぐろを使った「漬け丼」¥1,200~。身が引き締まり脂のバランスの良い佐渡の本まぐろを使用。
写真は、その中トロと叩きの盛り合わせ(大盛り¥1,800)。
『豪龍久保』の味がぐっと身近になったいま、訪れない手はない。
高級スペイン産生ハム“ハモン”の魅力を味わい尽くせるダイニング
アペロのお供に、ホームパーティの外さない一品にと、今やすっかり身近な存在となった生ハム。
それだけに玉石混交ともいえる中、本場スペインでその名を轟かせるハモン(生ハム)のトップブランド「Campofrio(カンポフォリオ)」の高品質なラインナップをさまざまな形で楽しめるダイニングが誕生した。
麻布十番の商店街に面し、ガラス張りのファサードがフレンドリーな雰囲気を醸し出す『Atrevío』だ。
ランチタイムは、オリーブオイルを練り込みサクッとした食感の生地が特徴の「コカデシータ」に、たっぷりのハモンをトッピング。
4種類のバリエーションがあり、テイクアウトも可能だ。
そして夜には豚の品種や熟成期間の異なるハモンの食べ比べ、炭火で焼いたイベリコ豚、ハモンの出汁を使ったパエリアなど、日本の食文化にも精通しているシェフのミゲル・パルドさんによる多彩な料理がそろう。
イベリコ豚の旨みが凝縮した「イベリコ豚プレッサの炭火焼き ロメスコソース」¥3,600。
テイクアウトもできる!
深い旨みを湛えたハモンの魅力を堪能したい。
型を踏まえつつルールに縛られない、独創的な品々に心躍る
鮮度の良い海鮮が自慢の学芸大学『立呑み 鉄砲玉』、そして名店仕込みの本格中華料理をアテに飲める自由が丘『立呑み中華 起率礼』とスマッシュヒットを飛ばしている店主・正木勇貴さんが手掛ける新たな立呑み店『立食 型破離』がオープン。
しかも、店があるのは近頃盛り上がっている酒場が多い渋谷・マークシティ裏とあって、早くも話題を集めている。
入り口が奥まったマンションの2階という密やかな立地、そしてスタイリッシュなトーンでまとめられた空間で楽しめるのは、中国料理をベースにしつつ和・洋の要素も柔軟に取り入れた品々。
いずれも絶妙なひねりが利いているのに加え、「この料理にはこの器」と考え抜かれた食器のセレクションも見事だ。
スペシャリテの「生本マグロ紅油ソース」(¥990/数量限定)は、豊洲から届く脂が程良くのったまぐろを香り高い辣油や醤油などを合わせた四川料理のソースで。
粒のまま&ピューレ状のとうもろこしとチーズが入った「玉蜀黍の春巻 スパイスカレー塩」¥590。
塩はさまざまなスパイスとカレー粉をブレンド。
一味やクミンを効かせた辣油とケチャップが絶妙にマッチした「自家製辣油と中国野菜のナポリタン」(¥990)は必食。
そして、合わせる酒は、料理との相性を意識して選ばれた、香りや味わいのエッジが立った焼酎と日本酒。
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本格派の日本料理店が数多ひしめく銀座にまた一軒、期待の新星が出現した。
店主の物江英明さんは、自身の地元である新潟にある鰻料亭の老舗で若き修業時代を過ごした。その後上京し、銀座にあった割烹『宗家 源 吉兆庵 銀座松濤』では料理長も経験。そして38歳から8年間にわたり、京都・東山にある名店『未在』で茶懐石の世界に身を投じた。
そうした経験を遺憾なく発揮できる新しいステージとしてオープンしたのが、ここ『銀座 虎あら』。
季節を存分に体現する料理こそ大人の贅沢
おまかせコースでは、日本料理の華である“椀刺(椀物と刺身)”はもちろんのこと、冬瓜を器にした吹き寄せのような、季節感を演出した料理も彩りを添える。
季節を告げる食材にごぼう、しいたけ、人参、新生姜入りの餡を添えた「稚鮎と賀茂茄子の揚げだし 沢煮あんかけ」。
コースの随所に登場する鰻の逸品が新しい
また、物江さんの料理人としての原点である鰻料理店で最初に習得した「鰻の押し寿司」など、鰻が多く登場するのもユニーク。
鰻ときゅうりという定番の組み合わせに白瓜とトマトの甘酢漬けを加えて、彩りよく仕上げた「うざく」。
抹茶碗にも虎をあしらって
さらに食後には、お茶を点てて振る舞ってくれるひとときも。心に残る時間を過ごせるはずだ。
女将が切り盛りするカウンターで、夕方から旨い酒と肴に心ほどける
2018年、東銀座にオープンした『銀座 鮨 み富』。老舗で腕を磨いた主人・三橋克典さんの握りを、時間やコース形式に縛られず味わえるスタイルが話題を呼び、たちまち人気店の仲間入りを果たした。
そんな『み富』が新富町に新たに構えたのが「15時から一献」と洒落込める小体な店、『お刺身と小皿料理 小富』だ。
着物にパリッとした割烹着のいでたちで出迎えてくれるのは、女将の五月女安佐子さん。『み富』のスタッフを経て三橋さんから料理の腕前とホスピタリティを見込まれ、こちらを任されることに。
品書きに並ぶのは“名は体を表す”な旬の刺身と、五月女さんが作る小皿料理の数々。これらと酒を1品・1杯から気の向くままに楽しめるという寸法だ。
特に、魚介類は『み富』で一括して仕入れているというから、その質の高さは折り紙付き。
小皿料理は1品¥330~。毎日、五月女さんが仕込む酒肴がカウンターを賑わす。「おまかせ盛合せ(4品)」(¥1,100~)をお願いすれば、ご覧のような状態に。
左奥の器にはサワラの子をしっとりと炊いた煮付けが。右奥の漆器には、優しい味わいにほっとする切り干し大根、そして右手前にあるのは小松菜のおひたしだ。左手前の爽やかな色合いの器に盛られているのは、夏の疲れた体に酸味が染みるアジの南蛮漬け。
ほかにも、美味しいお豆腐屋さんのおからを使う卯の花やひじきの煮物など、「こういう料理が食べたかった!」と思う品々が登場する。
『み富』で使う活車海老の殻や頭で取った濃厚な出汁の「海老ラーメン」(¥550)が、〆の一番人気。
「金目鯛の煮付け」など、旬の魚を使った煮魚や焼き魚。¥1,100~。
体に堪える暑さが続いたこの夏、たまには思い切って仕事を早じまいして、喉を潤し、心を満たす時間を作りたい。
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