時間もお金も十分に費やして遊んできた45歳。失敗も含めてさまざまな経験を重ねてきたから、本質を見抜く力が備わっている。
彼らが好むのは、同じくものの良し悪しを心得た、高感度な店だ。
王道では体感できない遊び心の塩梅も、絶妙。そういう店にさりげなくエスコートできるのは経済的にも、そして心にも余裕があるから。
そんな、この年齢ならではの懐の深さと選ぶ店のセンスで、もう向かうところ敵無しだ。
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1.プラチナ通りの地下に突如現れた巨大なカーヴは、まるでふたりの秘密基地
『TACUBO 白金台』

店内はイタリアの古き良きトラットリアのアーチを取り込んだデザイン。京都の左官職人が仕上げた土壁の空間は、建築関係者も「細部まで美しい」と称賛するほどだ。1,400本のワインが眠る巨大セラーも圧巻である
活気あるスタッフと美食を知るゲストの熱気が、艶やかな喧騒をつくる
洞窟での秘密の晩餐を楽しむがごとく、『TACUBO 白金台』では大人たちが談笑しながらワイングラスを傾けている。
開業は昨年11月。ターブルドット(大きな食卓を大人数で囲むスタイル)の賑わいが心地よいのは、客層が手練だから。
ブルゴーニュやイタリアのワインが眠る巨大セラーや卓上のドライフラワーが自然を感じる土壁と共演し、センス抜群。
「TACUBOは素材を生かす調理を重視しているので内装も天然のものを」との意図で全面土壁を採用し、そんな意味のある洒脱さに溶け込めるのは40歳を過ぎた経験豊富な男性だろう。
TACUBOの料理を好きなだけ食べるという今年最高の贅沢がある
空間に高揚したまま泡酒のロゼで乾杯し、あては「やま幸」のまぐろのタルタル。
120点のデートのスタートが叶う店だ。
嬉しいのが、恵比寿本店とまったく同じ食材を使いスタッフも精鋭ぞろいにして、40品もそろうアラカルトの店であること。
その欲張りかつ気張らないテンションも落ち着いた40代向け。
本店のスペシャリテでもある「浙江省オシェトラキャビアと燻製白海老の冷製カッペリーニ」¥9,900。
アサリ出汁がベースとなって旨みをまとめる。
「山利の釜揚げしらすと菜の花のスパゲティ」¥2,800。
香り高い和歌山「山利」のしらすを生かすため仕上げにのせられ、食べる側が混ぜて食べる。合わせる野菜は季節ごとに変更。
炭になる手前の熾火でじっくりと焼き上げた「千葉県椎名牛の薪焼き」時価。
やがて目の前の焼き台で薪が炎をあげ、肉がのれば芳醇な香りが漂い、セラーから気になる1本を開けたくなる。余裕ある大人だから抜栓に気負わない。
最後、チーズで語らい合っている頃、ワインが一層美味しくなることを知っているのだから。
■店舗概要
店名:TACUBO 白金台
住所:港区白金台4-19-21 白金GAXbldg B1F
TEL:03-5422-9500
営業時間:16:00~LO22:30
定休日:日曜
席数:テーブル24席
2.外苑前の小さなビルには、すべてにセンスが宿るディナーが待っていた
『JULIA』
知らなければ通り過ぎる。そんな秘密の入り口が相手の期待を膨らませる
ひとつのレストランの中で場面ごとの楽しみ方があると知っているのも、経験値の高い大人の特性。
そんな人にしっくりはまるのが、2023年11月に外苑前に移転した『JULIA』だ。
1階のシックな空間でアペリティーヴォ、という非日常を提案する
まず案内されるのは、黒の世界の中に日本製ヴィンテージ家具が並ぶ1階ラウンジ。
そこはオーナーソムリエで建築士でもある本橋健一郎さんが手がけた空間で、妻のシェフNAOさんとの旅を写す写真もまた素敵だ。
元々『JULIA』は本橋さんのサービスの才能に衝撃を受けたNAOさんが、その独立を願い、30歳で料理を始めたことから生まれた。
それがいまは国際的なアワードも受賞する立場に。
進化しつつも、「最初はほっとひと息お喋りを楽しんでほしい」との意図で、1階でアミューズと乾杯の一杯を提供。
女性シェフならではの繊細で美しいコースで、感度の高さを匂わせる
気分が解れたあと2階に移動すると、そこは白を基調とした繊細な空間だ。
本橋さんが先に日本のテロワールを表現するワインを選び、それにぴったり合う料理をともに考え、至極のマリアージュを完成させていく。
例えば黒糖のキャラメリゼの風味がある丹波のピノ・ノワールには、焦がした温州蜜柑のソースを添えた茨城産の鴨。
センス溢れる夫妻が送る食体験は余韻まで粋で、大人な夜の最適解となる。
3.囲炉裏のある隠れ家へ。西麻布の異空間は自ずと距離を近づける
『徒然』
「え、こんなところに?」のひと言を引き出すのが港区のお約束
それらしい看板もない無機質なビルの2階に上がり扉を開ければ、そこは都心の雑踏を忘れさせる異空間。
赤々と燃える囲炉裏の火を前に、心と舌を癒やすひとときを約束してくれるのがここ『徒然』だ。
この2月、西麻布の小さな路地にオープンした紹介制の囲炉裏レストランだ。紹介制といっても難しいルールはない。
炭の音を聞きながらゆったり料理を待つのは、余裕ある大人がなせる技
「忙しない日常を忘れてのんびりと食事やお酒を囲炉裏端で楽しんでほしい」とシェフが語るように、心尽くしの料理を時の流れのままに味わい、語らう。
そんな楽しみ方を求めるゲストにこそ訪れてほしい。それ故の紹介制なのだ。
魚や肉を焼くのも、ご飯を炊くのもシェフがすべて目の前で行う。まさに最高に贅沢なシェフズテーブルといえる。
産直の魚は串焼きに、雲仙の赤牛や兵庫の但馬玄は塊焼きで、と囲炉裏ならではの料理を陰で支える食材は、亀田シェフが自ら産地を訪れ納得したものばかり。
クライマックスの吊り鍋が登場する頃は気分も最高潮。
気がつけば、ふたりの間に流れる空気も必ずや、あたたまっているに違いない。
■店舗概要
店名:徒然
住所:港区西麻布1-4-22 アートスクエア西麻布 2F
TEL:03-6910-5433
営業時間:17:00~ミッドナイト
定休日:土曜、日曜
席数:テーブル11席
4.シックなカウンターは新しき食の扉を開く、白金の最新スポット
『伊ざき』
目黒通り沿いながら人知れず立つビルの中。その意外性が楽しい
どの駅からも遠く、かつては“陸の孤島”と揶揄されていた白金。ゆえに、界隈に住む富裕層たちが通う上質な店が点在し、歳を重ねればそんな白金が心地よくなってくる。
無機質なビルの2階に潜む立地と“中華イタリアン”という革新的なハイブリッドがここ『伊ざき』だ。
プライベートな空間が、美食を愛す大人たちに一体感をもたらす
オープンキッチンに立つのは、『隼』や『長谷川稔Lab.』の立ち上げから携わったオーナーの伊崎大策シェフ。
イタリアンも経験した伊崎さんによる“柔軟な発想の中華”は、味の重なりや食感など、あらゆる驚きが連続する。
中華とイタリアン。絶対に外さない味が今夜の結末に味方する
一緒に訪れた、特別な相手が「フカヒレのチーズ白湯」のコク深い味わいに思わず目を見開けば、してやったり。
「ハトシ」や「島原そうめん」といったシェフの出身地・長崎の名物をアレンジした料理も目新しく、〆には炒飯とトマトパスタを味わえる満足感たるや。
密やかな“中華イタリアン”の世界に浸る斬新なプレゼンで、大人の格を見せつけたい。
■店舗概要
店名:伊ざき
住所:港区白金台4-7-4 白金台STビル 2F
TEL:03-5539-2167
営業時間:18:00~LO22:00
定休日:日曜
席数:カウンター6席
5.真の大人しか入れない居酒屋に行きつけるのが45歳のステイタス
『赤坂 港かっぽれ』
入店はR28。大人だけで埋まるカウンターも悪くない
若い頃は馴染みのなかった赤坂。この街も知る人ぞ知る美食の宝庫だ。六本木や西麻布からタクシーですぐなのに、駅を少し離れたエリアは落ち着きのある良店が点在する。
“映え重視”な浮ついた客が少ないのも、大人たちの足が向く理由のひとつ。そんな赤坂で、“28歳未満は予約不可”な正真正銘大人のための居酒屋が話題だ。
黒一色の空間がスタイリッシュで、豊富なメニューから好きな料理を小分けにサーブしてくれるから、ムードや会話の流れを崩さない。
笑みがこぼれる逸品も思わず唸るツマミもあり。手札は多くて損はない
魚料理が主体で、お造り、焼き、揚げ物から気の利いた酒肴まで、“ちょっといいつまみ”が充実する。
価格の記載が一切ないメニューに怯まないのも大人の余裕あればこそ。
脂の乗った旨みたっぷりの「のどぐろ塩焼き」¥3,000。
お通しは小さな「おでん」!スタートから心を掴まれる。
真っ赤なタコウィンナーをオーダーし、「可愛い!」とはしゃぐ笑顔を眺めクラシックな赤ワインをたしなむ。
大人に刺さる遊び心がたっぷり詰まっているから、思わず通いたくなるのだ。
45歳を満たす、居酒屋の最適解が、ここにある。
■店舗概要
店名:赤坂 港かっぽれ
住所:港区赤坂5-5-18 auspice赤坂 2F
TEL:03-6277-6090
営業時間:17:30~LO24:30
定休日:無休
席数:カウンター12席、テーブル18席、個室4(2、4、8名)
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