暖かな陽気が訪れ、美味しいものを求めて街に出かけるのも楽しいシーズン。
身も心も軽やかな大人たちに、新しき話題店を厳選してご紹介。春は出合いの季節。美食があなたを待っている。
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扉の向こうに広がるカウンターは、雅なムードで串への期待を高める
いまや焼き鳥界の“最大派閥”、池川義輝さん率いる『鳥しき』一門から、またひとり卒業生が独り立ちした。
ここ、『赤坂ひめの』の主人・姫野正裕さんは2019年に43歳で池川さんに弟子入り。
スロースターターながら頭角を現し、一門の系列店である中目黒『鳥かぜ』の二代目親方を任されるまでに。そして今年、晴れて自身の名を冠した店をオープン。
店主が惚れ込んだ銘柄鶏の個性を噛みしめる
一品料理はなし。焼き鳥と野菜串のみで構成されるストイックなコースでは、『鳥しき』系の店では定番の銘柄鶏「伊達鶏」のほか、自身が味わい、産地を訪れた上で仕入れる高知「土佐ジロー」や宮崎「妻地鶏」も登場。
それぞれの個性を引き出す焼きを施し、吟味した調味料や薬味を添えて供する。〆も、鶏のスープで炊いた炊き込みご飯のみと潔い。
端正な焼き鳥の技術は、もちろん師匠・池川さん譲り。が、異業種のキャリアで培われた独自の審美眼から生まれた空間や高いホスピタリティも魅力。期待の新星だ。
フランス料理ラヴァーのみならず初心者にも、その魅力を惜しみなく伝えてくれるビストロとして2022年に開店するや、たちまち予約困難となった門前仲町『渡辺料理店』。
この春、オーナーシェフの渡邉幸司さんは、目と鼻の先に新しいアプローチのレストランを開いた。その店の名は『jiü』。
薪火の余韻が導く、香り高く、研ぎ澄まされたひと皿
こちらではがらりと趣を変え、すべてのお皿になんらかの形で薪を使った料理をコースで供する。
シェフの大役を任されたのは、大和田龍之介さん。お父さんもフランス料理のシェフという環境で育ち、ごく自然に同じ道に進んだというサラブレッドだ。
「単に焼くだけではなく、薪火を熱源としてこれまでにないフランス料理を表現したい」と渡邉シェフに提案し、コンセプトやメニューを固めていった。
熾火で加熱した新玉ねぎ、山菜のベニエ、薪で直接香りをつけた牛乳の泡などで構成された「新玉ねぎのスープ」。
薪火で焼いて、休ませて……を繰り返し、理想的なロゼ色に仕上げられた「ビゴール豚のロースト」。
「蕪のアイスクリーム」は、熾火で火入れした蕪の甘みに驚かされる。鮮やかな蕪の葉のソースと。
フランス料理の骨格はしっかりと感じさせつつ、藁を燻して食材に薫香をまとわせる、ソースのベースとなる野菜を薪で炙るなど、自由な発想から生まれる品々に、好奇心が刺激される。
2020年夏に千歳船橋に開店。店主・喜代永隆文さんの確かな技術に裏打ちされた握りとつまみを存分に味わえるコースが1万円台後半!?と、鮨好きの耳目を集めた『鮨 一喜』が、5周年を前に渋谷に居を移した。
しかもその場所は、今や名店として名を馳せる『くろ﨑』創業の地。
尾州檜の見事なカウンター、木製の美しい冷蔵庫もしっかりと継承されている。
江戸前鮨と、和食仕込みのつまみをフリーフローで楽しむ贅沢
日本料理店での修業を経て鮨の世界に入ったという喜代永さん。
コースの序盤でお椀や名物「焼き胡麻豆腐」を組み込み、その後握りとつまみを数品ずつ交互に出すスタイルで、その力量を存分に発揮する。
「お腹を満たしつつも“もう一貫食べたい”と思っていただける食後感を目指しています」
その渾身のコースが¥20,000なだけでもこのご時世では驚きなのに、さらにフリーフローが付くという点も画期的。
移転を機に更に高みを目指す期待の新鋭の技を、いち早く味わいたい。
四谷の名フレンチ仕込みの、絶妙な肉の火入れに技が光る
「着飾った料理は苦手なんです」
そう言いつつ、オーナーシェフの廣瀬康二さんがテーブルに置いた皿には、ゆうに200gはあろうかという肉塊。
深紅の断面が食欲をそそる『BISTRO H』の“和牛のロティ”は、まさに修業先の『北島亭』を彷彿とさせる逸品だ。
また、ヒラメのポワレにしても、いらぬ装飾は一切なし。旬の筍や菜の花とソースが添えてあるのみと、至ってシンプルだが、そのソースにひと工夫。
フルムダンベールチーズと蕗の薹を合わせた中に、白味噌や酒粕といった和の要素を隠し味に加え、春の苦味を演出。
真っ当なフレンチでありながら、日本人の心にフィットする優しい味わいを醸し出している。
料理がストレートな分、下ごしらえから火入れまで「仕事は丁寧に」が廣瀬さんのモットー。それゆえだろう。見た目はガッツリながら味わいは繊細だ。
また、アラカルトで好きなものを選べる楽しさも魅力のひとつ。しっかり食べても1万円でお釣りがくるリーズナブルさも見逃せない。
滋味深くかつ繊細な味で、中華の真髄を垣間見る
賑やかな令和の中華料理界にまたひとつ、注目の店『白翠』がオープンした。
店に立つのはあの『わさ』出身の坂本 匠シェフ、そう聞けば食指の動くフーディーも多いだろう。
「僕が目指しているのは引き算の中華料理」と坂本シェフが言うように、現在人気を博している、いわゆるイノベーティブ系とは様相を異にしており、料理は極めてシンプルかつ王道だ。
堂々と鎮座するエビチリとエビマヨに感じるシェフの独創性
オープン間もないこともあり、コースメニューはエビのチリソースやエビマヨネーズ、黒酢酢豚と至ってオーソドックス。
だが、酢豚は豚頬肉を揚げる前に一度煮込み、車エビの下処理にはレモン果汁と日本酒を入れた氷水に浸してから調理するなど、丁寧な下ごしらえが美味の秘訣。
加えて衣はできるだけ薄く、片栗粉のとろみも最少限にするなど細心の配慮が軽やかな食後感を生み出している。
「黒酢の酢豚」。
お酢を効かせた地で豚頬肉を柔らかく煮込んでから揚げて、黒酢風味のソースと和えたオリジナル。ほろりと口中で解ける食感が独特。
「キャビアビーフン」は、修行先である『わさ』の山下シェフから直々に指導を受け、忠実に再現している。
調味料で素材の味を隠してしまいがちな中華ではなく、食材本来の味を生かす手法こそ、まさに新しい中華のあり方だろう。
ひたすらふぐ、そしてとことん美酒に満たされる
ふぐ料理といえば「お造り・唐揚げ・ちり鍋」というイメージを塗り替えたのが、昨年秋に神楽坂に出現した『焼き福3階』だろう。
とらふぐ料理専門店『玄品』が手掛けるこちらでは、独自の技術で熟成させ旨みを高めたとらふぐに下味をつけ、焼いて味わう「焼きふぐ」を主役に据えて一躍話題に。さらに、飲み放題付きという太っ腹なシステムも圧倒的な支持を得た。
そして好評を受け、今年1月から『玄品 新宿南店』に於いて『千駄ヶ谷 焼き福 浅野』の名を掲げ、焼きふぐメニューの提供がスタート!
焼きふぐコースは、全5品に飲み放題が付いて¥12,000と破格。
しかも、使われているふぐは当然ながら『玄品』クオリティで味もボリューム感も上々だ。
主役の焼きふぐは肉厚な「あら身」、独特の食感を楽しめる「上身」、ゼラチン質たっぷりな「皮(とおとうみ)」を食べ比べられ「ふぐでお腹いっぱい!」という贅沢が、たやすく叶ってしまうのだからたまらない。
あとを引く味わいと食感が秀逸な「唐揚げ」は、肉厚な「あら身」と“とおとうみ”と呼ばれる「皮」の盛り合わせ。
料理はコース(¥12,000)より。
お酒はフリーフロー!
「作 和悦」「黒龍」などの日本酒やビール、ハイボール、サワー類、ジン、焼酎など多彩なドリンクがそろう。
特許製法を取得している「ひれ酒」は、珍しい冷酒バージョンも。
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