SPECIAL TALK Vol.123

~モデルから放送作家へ。異色の経歴は恐れずに踏み出した証拠~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長
大阪府生まれ、鹿児島県育ち。1989年起業、代表取締役就任。


放送作家を続けながら、次は純度100%の創作を


金丸:モデルと放送作家の両立って、大変だったでしょう。

勝木:当たり前ですけど、撮影の日と会議の日がかぶるんですよ。最初は「うわぁ、今日撮影あるのに会議あるんだ」って思っていたのが、いつの間にか「あ、今日会議あるのに撮影あるんだ」と。

金丸:自分の中でメインが逆転したんですね。

勝木:その時に「あれ?」となって。最初のうちは覚悟もない、中途半端な感じでしたけど、それからは放送作家を本業にしようと決めました。

金丸:それって、何がきっかけだったんですか?

勝木:仕事を任せてもらえるようになって、やりがいが出てきてたんじゃないでしょうか。モデルもクリエイティブな仕事だと思うんですよ。いまでもたまにモデルの仕事をしますが、楽しくやれる。一方で、放送作家はやってる時は苦しくもある。

金丸:ゼロからイチを生み出す苦しみですよね。だけど、それもまた楽しく感じられるからこそ続けていける。ご自身で放送作家を天職だと思いますか?

勝木:天職の中のひとつなんでしょうね。結局、ずっと続けているわけですから。

金丸:お話を聞いていると、「ずっと探している宝物が、実はすぐ近くにあった」という寓話を思い出します。落ち込んだ時、人は何かないかと遠いところを探しがちです。でも実際には身近なところにあって、それに気がつけば、地に足がついた状態で新しい道を歩いていける。私はベンチャーの人たちによく言うんです。「ブームに乗せられても、決して身にはならない」と。

勝木:いままで歩んできた人生なりの挑戦というか。

金丸:そうです。今はAIがブームですが、それにふさわしい人生を歩んでいない人が挑戦したって、ギャンブルにしかなりません。そういう意味では、勝木さんは導かれるようにいまの道を歩まれていますね。

勝木:私はそうですね。「川の流れのように」じゃないけど。

金丸:それに、部活、勉強、モデル、放送作家とフィールドを変えて活躍されているのは、いまにしがみつくのではなく、自己評価をもとに軌道修正する力があるからだと思います。ところで、これからの夢ってありますか?

勝木:あります。放送作家の仕事は大好きなので、これからも続けるつもりですが、たくさんの人が関わる番組制作とは違う、勝木友香純度100%のモノを作ってみたいと。それで、数年前から小説を書いているんです。

金丸:また全然違う分野ですね。

勝木:書いてはみたけど何の当てがある話でもないから、懸賞ガイドを買って、作風と文字数を見て、『小説現代』の長編新人賞に応募してみたりして。結局、大賞は取れなかったんですけど、最終選考まで残れたし、選考委員の中でも、伊集院 静さんがすごく推してくださったらしくて。その後も別の賞で最終選考に行った作品もあり、いつか出版できたらいいなと夢見ています。

金丸:すごくいい挑戦ですね。「挑戦する前に勉強しなきゃ」と、いつまでも一歩を踏み出すことができない人もいますが、勝木さんのように、まず飛び込んでみるという姿勢があれば、次々に新しい出会いに恵まれるはずです。勝木さんの小説が読める日を楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました。

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