2024.09.01
デザイン会社が母体であることを活かしたハイセンスな空間作り、ビブグルマンシェフによる新感覚の天ぷらなど、独自のスタイルを売りにした次世代の酒場が増えている。
そこに集うのが、東京の夜を盛り上げるイケオジ予備軍たち。感度の高い彼らはただ飲むわけじゃなく、持ち前の審美眼に日々磨きをかけているのだ。
人気エリアである、渋谷・代々木公園・代々木上原・中目黒・虎ノ門から、センス高き酒場6軒をご紹介!
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【イケオジ予備軍】
仕事と仲間、プライベートも感度高く過ごしたい
スタートアップで波に乗り、同年代よりお金も時間も余裕もある。しっかりと仕事をしつつ、仲間との良い時間も大切に。トレーニングも欠かせない。
そんな次世代のイケオジたちが集うのは、感度の高いエリアにしかないセンス良き酒場。最先端のアートやカルチャー、ファッションに囲まれて、酒場で洗練の時間を楽しんでいる。
ワイン好きの大人をご機嫌に飲ませるビストロライクな空間
店に入っても、天ぷら店な気はしない。ワインが並び、ヨーロピアンスタイルと大谷石など日本の資材、アンティークが融合する空間は、洒落たビストロのようだ。しかし、カウンターの中では確かに揚げている。
昨春にここ『テンキ』を作ったのは、ビブグルマンにも輝いたフレンチシェフ・亀谷 剛さん。
「揚げ物は世界中にあって、海外ではよくソースを合わせて食べます。その食べ方を天ぷらに落とし込み、寄り添う白ワインを提案して、新しい天ぷらの楽しみ方を作れたら」と亀谷さん。
具材に合わせて衣とソースを巧みに変えるかつてない天ぷら
「ホタテ」(¥900)は、衣にセモリナ粉を使い、青海苔とレモンを効かせたソースでサッパリと。
「海老」と同じ衣に、ツナのソースや葉野菜を合わせた「ズッキーニ」¥650。
名物の「海老」が分かりやすい。
エビつみれでエビを包み、ビールで溶いて発酵させた生地で揚げ、エビの頭の出汁が効いたアメリケーヌソースとベアルネーズソースを纏わせ、とまるでフレンチのひと皿。
合わせるのは店オリジナルのオレンジに近い白ワイン。
エビの旨みにジューシーなかんきつのニュアンスが重なれば、その瞬間を誰かに教えたくなる。実際、常連イケオジが後輩や彼女を連れる姿もちらほら。
アートのような美しい前菜も!
確かな基盤をもつシェフが作った絶妙な“抜け感”にこそ、遊び上手は惹かれるのだ。
路地のさらに奥に潜むエントランスによって完全なる隠れ家に
ただでさえ人通りの少ない狭い路地にあるが、入口はさらに奥まったところに。
このロケーションにまず心をつかまれる『Hone』が、さらに魅力的なのは抜群のセンスをそのまま形にしたような店内。
入ってすぐのスタンディングスペースから然りで、弧を描くカウンターに、オープンキッチンが備わって熱気は十分。入店早々テンションも上がるのだ。
デートで行くなら2階レストランへ。
座る場所によって景色の変わる、さまざまなテーブルがあるが、ベストは円卓。ガラス天板から階下のキッチンがのぞける構造には会話も弾むだろう。
ナチュラルワインで統一されたセラーから、自由にピックアップ
近くには中に入って自らボトルが選べるウォークインセラーもあり、希少なナチュラルワインに出合えることも。
そんな空間を手掛けたのは、デザインを本業とするクリエイティブプロダクションと知って納得。
料理もフレンチで基礎をみっちり学んだシェフが、美しい皿で独自の世界観を披露している。
ビストロの定番をパテ仕立てにして提供する「ブーダンノワール 甘夏と丸人参」¥2,200。
コク深いが、食後感は軽やかな「ヤングコーンとフェンネルのバタースパゲッティ」¥2,200。
ただ飲んで食べているだけで、センスが磨かれるように感じるのは連れ立った相手も同じようで、その笑顔を見ていると鼻高々になる。
「目指したのは小料理屋です」と、さわやかに笑う店主の佐藤幹樹さん。
確かに、カウンター主体で8坪という規模からすると一般的な小料理屋そのものだが、受ける印象は別物で唯一無二に映る。
「自分も料理人だから志を抱く人が作ったモノだけを扱いたい」と調度品など、細部に至るまで自分好みで統一。
イマドキな佐藤さんの佇まいも相まって、店内には小洒落た空気が漂い、大人ならひいきにしたくなる。
味わいもポーションも大人にちょうどいい、優しくも独創的な料理
何より、料理が素晴らしい。
仕入れに応じて季節感を表現するが、夏の鮎はコンフィを応用したオイル煮に。
スミイカならお造りのアクセントにカリフラワーを。「絶妙にずらすのが面白い」と洋のエッセンスをちりばめる。
実は佐藤さん、正統派で修業したフレンチシェフ。縁あって休日に手伝った銀座の日本料理店で和食の面白さに目覚め、最後に勤めた代々木上原『ランタン』でカジュアルの可能性を実感。昨年、独立して『Arbre』を開いた。
和食に深入りしていないのにこの完成度には驚くばかりだが、それこそがセンスなのだろう。居心地の良さは言わずもがなで、淑女のファンも多い。
距離感や角度が絶妙に異なるカウンターが幅広いシーンに対応
未体験の変形カウンターに、一瞬で目を奪われる。キッチンをぐるりと囲み、所々が突き出て、カウンターとテーブルが合体した造り。今春に開業した『kosamme』のそんな個性は斬新かつ効果的だ。
デートなら、小さな山で近い距離感と斜め45度の視線を感じられて、仲間となら先端のほぼテーブルになった席で盛り上がれる。
さらにBGMは平成のJ-POP。例えば椎名林檎や宇多田ヒカルなど、誰もが学生時代に聞いた名曲が流れ、「懐かしい!」と初めての食事でも打ち解ける。
プレゼンや色使いに食指が動く華やかな“酒場料理”
乾杯して「おばんざい盛り合わせ」をつまめば胃袋のつかみもOK。
ポテサラを頼むとモンブランのように目の前で仕上げられ、その遊び心もまた心憎い。
〆の土鍋ご飯はうにといくらがてんこ盛りで、最後までいまっぽさが効いている。
オリジナルグラスで供されるお酒も多彩
店名の“kosamme(=小雨)”には雨宿りの気分で気軽に入ってほしいという意味が込められているが、実際は雨がやんでもいたくなるような場所。
食べ慣れた大人もホッとする心地良さは、令和に求められる酒場の条件だ。
創造性あふれる人気シェフ&バーテンダーがコラボ!
最新の話題店が集う美食街「T-MARKET」において『Uké』は、最も注目を集める1軒。
理由は時代の最先端を行くキーパーソンが共同で手掛けているから。
そのふたりとは、イノベーティブフレンチ『Neki』のシェフ・西 恭平さんと、『NOMURA SHOTEN』などで知られるトップバーテンダー・野村空人さん。
「ジャンルレスな居酒屋」をテーマに、それぞれが料理とドリンクを創作している。
ポテサラなどの定番に、洗練を加えたらというお手本のような洒落た料理があり、お酒も“前割り焼酎”の進化版といえるタップカクテルが象徴するように斬新。
「キハダマグロ/大葉ジェノベーゼ/美生柑」(¥1,600)は、高知から届く神経締めの鮮魚をカルパッチョスタイルで提供。
独自のビアテイスト飲料やタップカクテルが新感覚!
ビアタップを使って注ぐ特製タップカクテルは、メスカル入り「ほうじ茶割り」(¥1,300)とラム香る「烏龍茶割り」(¥1,200)。
焼酎などを割る独自のビアテイスト飲料「ノッピー」(¥1,100)は、夏場に最高。
シンプルモダンでリラックスできる店内は、ふたりと旧知の仲である「CLOCK」のデザイナーが担当したもので、左官仕上げの大テーブルなど、作者の息遣いが感じられるインテリアを随所にそろえている。
BGMも手を抜かず、こだわりのアナログレコードを用意したのもさすが。
あらゆる点で大人が日常的に通いたくなる居酒屋は、駅直結の利便性とも相まってスマートな大人の切り札になるだろう。
肩の力が抜けたスタイリッシュさが、上原酒場の真骨頂
代々木上原の人気ビストロ『36.5℃ kitchen』の系列酒場と聞けば、もうセンスがいいに決まっている。
同店が入るビル1階に昨夏開業した『nanca』は、緩さとお洒落さが入り混じるコンクリート打ちっぱなし空間。
オーナー・宮本 岳さんの“上原”友達の建築家が内装を手掛け、壁には親交のある写真家の作品が。
いわば“イケオジ予備軍が作った店”だから、その空気感を好む客が集まる。
初めて口にする食材の組み合わせが、知的好奇心を刺激
舌も肥える彼らを満足させるのが、シェフの萩原ちひろさん。
元パティシエの彼女が作るのは、群馬で農業を営む実家の野菜をたっぷり使った、シェアして楽しい料理だ。
「飲みながら箸で食べられるように」の気遣いから生まれた“巻かないポッサム”は色合いも美しく女性人気No.1。
その感性は組み合わせの妙にも表れ、例えば生しらすに合わせるのは、焼き茄子、魚卵の燻製、焦がしにんにく醤油。
そこにオレンジワインを飲めば気持ちいいほどハマる。
これ目当てでも訪れたい期間限定デザートで〆る!
ふと、「なんかいい夜だね」が口をつく店名どおりの酒場なのだ。
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