夏の恋 Vol.18

「家で飲み直そう」ずっと好きだった彼に誘われ、そのまま泊まった26歳女性。しかし、翌朝…



「それじゃあ、久しぶりの再会に…」

「乾杯!」
「カンパーイ」
「おつかれ〜」

慎吾との偶然の出会いから2週間後。私たちは再び渋谷で顔を合わせることになる。

私と慎吾はイベントサークルの幹部で、慎吾がバイトしていた渋谷の居酒屋で集まるのが決まりだった。

派手じゃなかった私が、無理をしてイベサーの幹部になったのは、慎吾がいたから。

彼のリーダーシップと人望の厚さに憧れ、いつのまにか好きになっていた。でも、関係が壊れてしまうのが嫌で、気持ちを打ち明けることなく卒業。

始まらなかったから終わりにもできず、ずっと頭の片隅にこびりついていた人。そんな彼が目の前にいるのが、不思議だった。

LINEで予定を聞かれた時は、舞い上がったがデートの誘いではなかった。

同じサークルの、祐奈(ゆうな)とアキラを含めた4人での会が開催されたのだ。

― まぁ、ふたりで会う理由もないしね…。

私が慎吾に思いを寄せていたことを知っているのは、恐らく祐奈だけ。

慎吾に女子大の彼女ができて、泣きながら祐奈に電話したことがある。


「いやぁ、美和と慎吾が偶然出会ってくれて良かったよ。もう君らとは縁が切れたのかと思ってたもん〜」

アキラが冷えた生ビールを半分ほど一気に飲んでから言った。

「まぁ、それぞれ業種も違うし、社内の人間と飲む方が多くなるから仕方ないんじゃない?」

慎吾が枝豆を口に運びながら答える。

慎吾は、起業家の出身が多いIT広告会社、アキラは飲料メーカーで、祐奈は外資系アパレル。

そう、見事に分野が違うのだ。


「なんかさ、社会に出て世界が広がったと思ったけど、結局自社のルールに従うことになるし、意外と窮屈。それに、やってることは学生の頃と変わらないよね」

祐奈はそう言いながら笑っていたが、的を射ていると私は感じていた。

社会人4年目になった私たち。

選ぶお店は学生時代よりランクアップしたものの、変わらず渋谷にいるし、ドレッシング多めのシーザーサラダをつまみにビールを飲んでいる。

「ねぇ、慎吾は今“特定の”彼女いるの?モテるからって遊びまくってるんだろうけど」

しんみりした空気を、祐奈が毒舌で打開した。

「特定の、とか言うなよ。彼女はいませんよ〜」

「えっ、いないの!?」

思わず心の声が漏れ、それを見逃さなかったアキラが、すかさず私たちをひやかした。

「てか、ふたりお似合いじゃね?慎吾って美和みたいなの好きだろ。メイク薄め、爆美女って程じゃないけど、謎に色気ある系」

「あのさ。それ褒めてないよね…」

私はアキラを睨み、祐奈は「やめなよ」と止めたが、慎吾はその発言を否定はしなかった。

盛り上がるアキラと、それに乗っかる慎吾。

「もう、いいかげんやめなってば〜」

祐奈がうんざりしながら言う。

私は苦笑いで通したが、この会が終わった後、慎吾は本当にデートに誘ってきた。

この記事へのコメント

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No Name
実は祐奈が彼女でしたというオチならひどくつまらない。4人で集まった時に特定の彼女居ないか聞いたのは何だったんだ?と思うし。 慎吾は不特定多数と遊びまくってそうだから祐奈もその中のひとりなだけか。
2024/08/02 05:4533返信1件
No Name
また違う種類のダンゴムシとチャラ男の話か。
2024/08/02 05:1926返信2件
No Name
祐奈が慎吾の彼女だったらひどいねー
2024/08/02 06:3818
もっと見る ( 17 件 )

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