2024.05.08
ここ数年、東京の人気焼き鳥店では、お決まりのコース制ではなく、お好みで注文できる店が増えてきた。
お店へ足を運んだとき、果たしてどんな注文をするのがベターなのだろうか。
そんな疑問に、名店『鳥よし』のご主人・猪股善人さんが答えてくれた!
『鳥よし 銀座店』で語られた、焼き鳥を美味しく食べる順番&ポイントとは?
焼き鳥は元来、大衆の食べもの。「気軽さ」を大切にしたい
昭和の時代、焼き鳥といえばお好みで食べることが当たり前だった。
当時、コースで供する焼き鳥店といえば、京橋の老舗『伊勢廣』ぐらいなもので、好みの串を好きなように注文する。それが本来の焼き鳥店の姿だったはずだ。
それが、いつ頃からだろうか、おまかせコースがすっかり定番化。黙って座っていれば、次々と串が繰り出されるスタイルに、食べる側もすっかり慣れてしまったのが現状だろう。
だが、ここに来て原点回帰。お好みでも楽しめる焼き鳥店が、いままた、少しずつではあるが増えてきているようだ。
焼き鳥フリークにとっては誠に喜ばしいことではあるものの、その反面、ずっと受け身で食べてきた側にとっては「どういう頼み方をすれば良いの?」「食べる順番に決まりはある?」等々、戸惑うことも多いだろう。
そこで、今回は“焼き鳥を上手に食す極意”を焼き鳥界のレジェンドにご指南いただくことにした。
中目黒に店を構えて30年、変わらぬ人気と実力を誇る『鳥よし』のご主人・猪股善人さんだ。
現在、中目黒の2軒をはじめ、赤坂、銀座、西麻布などに店舗を展開するが、そのいずれもが、開店当初からおまかせのほかに、お好みもOKのスタイルを続けている。
猪股さん曰く「焼き鳥って、元来、大衆の食べものでしょう。サラリーマンが会社帰りに、軽く一杯やってひと串ふた串つまむ。そんな気軽さが焼き鳥らしさだと思うんです。その“らしさ”を僕は大切にしたい。だから、お客様のお好きなように食べてもらっていいんですよ」とのこと。
串の合間に野菜で緩急を付けるのが『鳥よし』のおまかせ
食べる順番を気にすることなく好きな串から食べればいいし、レバー3本、つくね2本と、同じ串を複数頼むのもノープロブレム。
あっさりとした塩味のむね肉やササミから始め、次はレバーにしようかつくねがいいか、それともいきなり手羽先で攻めようか―と、自分なりのコースを組み立てるのも食いしん坊にとっては楽しいもの。
もちろん、最後まで美味しくいただきたいというのは誰しも思うはずで、それなら「(鶏串の)合間に野菜を挟むといいと思いますよ」とは、猪股さんのアドバイス。
『鳥よし』でも、おまかせコースでは、鶏の間に野菜串を適宜提供している。
いよいよ公開!『鳥よし』が導き出した、美味しく食べる順番とは
そこで、参考までに『鳥よし』のおまかせコースの流れを尋ねてみると、「最初は誰にもおなじみの串から始めている」そうで、まずは、「つくね」と「かしわ」が登場。
スタンダードはタレ味だが、塩が良ければ先に申請を。「全部塩味で、という方もいらっしゃる」そうだから遠慮は無用だ。
その後、歯応えの小気味良い塩味の「砂肝」と続き、鶏の類が3種出て野菜の出番。
「銀杏」、「ししとう」で口中をリセットし、更に「厚揚げ」と「白玉」で気分転換。
ここで、今度は「ぼんじり」、「皮」とややこってり系の串で攻めの体勢に。いわばここがコースの山場。
レモン、山椒、七味は味変アイテム。「手羽先」や「ぼんじり」など脂の多い塩味の串にはレモンが添えられる。
山椒や七味はタレ味向きだが、そこはお好みで。
次に「小玉ねぎ(ペコロス)」でひと息つき、さっぱりとした「さび焼」で舌を落ち着かせ、「レバー」で鶏の串は一段落。
終盤にタレのレバーを出すニュアンスは、どこか鮨の穴子の立ち位置と似ている気がする。
「最後にアスパラガスを出した段階でひと区切り。その後はお客様のお腹に合わせ、追加するもよし、ここでストップという方も多い」そうで、コースの本数は、おおよそ12〜13本前後。
ちなみに串のバラエティは常時20種ほどを用意。中には「食道」や「ハツモト」などの希少部位もあるが、本数が少ないゆえ、コースには入らず、希望があればアラカルトでオーダーを。
また、都度注文をするのは面倒。けれども、好きな串は必ず食べたいという時は、○○を入れて○本くらいで、と予め伝えておくのが賢明だ。
ちなみに、焼き鳥は焼き上がりまで時間がかかるゆえ、おまかせの場合は、ストップをかけた段階では既に2本ほど焼きに入っていることが多く、それを見越して声をかけると良いだろう。
ぜひ、この順番を参考に焼き鳥ライフを充実させてもらいたい。
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