オトナの5分読書 Vol.19

今こそ、日本人は海外に出るべき。将来を見据えると、留学にオススメの国ベスト3は?

3. お金・言葉の問題をどうする?


①お金の工面の方法は、いくらでもある


海外へ出たいが出られない人の言い訳の代表が、「お金が工面できない」というもの。

私はそういう人は海外に出ない方がいいと思う。海外に出るための資金調達には、海外でやっていくためのあらゆる要素が含まれているからだ。国内での資金調達こそが、海外で生き抜くための予行演習だ。

計画性、駆け引き、面の皮の厚さ、経済計算、調査能力、熱意の表明など。

これらがない人は海外でうまくいかない。国内で海外へ出るための資金調達ができない時点で、海外でのサバイバル力が不合格と判定されたようなものだ。

まず、貯める能力。次に、家族や友人、場合によって会社や大学側に資金協力を申し出る能力。そして、調査能力。民間から公的なものまで、融通の利く奨学金やローンを徹底的に調べる力が大事になってくる。


②英語の学び方


日本語で日本人だけで相手にビジネスをやっていても、日本の人口動態・経済財政状況を考えれば、今後はスケールアップしない限り、とんでもなく厳しくなる可能性がほとんどだ。

では、英語はどうやって学べばよいか。

大学留学を目指す場合

日本の大学受験英語に目標設定していては、アメリカの学部留学は厳しい。まず英語力。目指すはTOFELだ。

アメリカの学部進学を目指すなら、私と同じ年に国会議員になった斉藤淳氏が開校している「J PREP 斉藤塾」がおすすめだ。

受験のためだけに準備するのではなく、知的に成熟した人間になるために、考える練習をした結果として、受験の関門を楽々突破するという方針も含めとてもユニークな試みをしている。

それ以外にも、2008年5月にベネッセコーポレーションが開いた、アメリカのハーバード大学など海外トップクラスの大学を志望している高校生のための進学塾「Route H」もある。

社会人から英語の勉強をする場合

日本人にとって英語を使いこなすことは、大変だ。しかし、私のような遅咲きでも、英語をマスターできたように、絶対誰でもいつからでもやればできる。

では、どう頑張ったらいいのか。とにかく詰め込むのがよい。

安易な教材や学習法を信じてはいけない。英語に限らず、中国語でもスペイン語でも短期で習得している人は、楽しようとせずに、ものすごい勢いで詰め込んでいる。

語彙も表現もすべてである。英語は筋トレのようなもの。基本的にはコツコツと単調な正しいやり方で、時間をかけて積み上げていくものだ。

大事なものは簡単には手に入らない。そして苦労して手に入れたものは、簡単になくならない。


私が最もすすめるのは、敬愛する村上憲郎さんの著書『村上式シンプル英語勉強法』だ。村上さんはGoogleの日本法人のトップに上り詰めた人。Goole本社でも副社長に上り詰めた。この村上さんは、31歳から英語を学び始めた。

遅咲きの村上さんがあらゆる教材と勉強を試して悪戦苦闘しながら、自分で編み出したのがこの村上式英語勉強法。30代まで英語がまったくできなかった村上さんだからこそ説得力があり間違いないものだと確信する。

村上式の理念は一言でいえば、「数値目標を掲げ、一気呵成(いっきかせい)に詰め込む」である。

①英語を読む、②単語を覚える、③英語を聞く、④英語を書く、⑤英語を話す、これらの5つのステップを同時進行させ、3年間でマスターすることを目標とする。

また、英語の勉強はコストがかかるのが難点だが、最近は英語の勉強は格段に安くて種類も豊富になっているので、下記のものを利用するのも1つだ。

・NHKの英語学習番組

・ラジオによる英語学習番組
NHKや米軍向けラジオ放送のAFNを聞き流すのもおすすめ。

・オンラインメディア
ニューヨーク・タイムズからエコノミスト誌、ウォール・ストリート・ジャーナルまで無料でアクセスできるニュースはある。私が好きなのは、ハフポストというオンラインメディアのサイト。世界中の著名なブロガーが辛辣でストレートな意見を述べていて「今の世界」を実感できて面白い。

・NHKニュースを英語で聞く
NHKのテレビの一部ニュースは2ヶ国語放送に対応している。日本のニュースを日本語でフォローしておいて、そのニュースを英語で聞くと表現や語彙の学習になる。

とにかく無料で世界中の英語メディアにこれだけアクセスできる時代を活かさない手はない。ネットを使って、英語だらけの環境に自らを楽しく追い込もう。



最後に―。

日本の課題解決のためには、日本をグローバルに開いていく作業が不可欠だ。そのためには、できるだけ多くの人に外から日本を見る経験を持ってほしい。

未来は若者の手の中にある。多くの若者がこの本を手に取り、共感を覚えて世界に飛び出してほしい。

4. 本書のココがすごい!


今回紹介した、『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』田村耕太郎著(朝日新聞出版)のすごいところは下記に集約される。

①著者の田村氏が見てきた世界の話が散りばめられており、言葉の一つひとつに重みがある。

②「海外に出ること」をすすめるだけではなく、具体的にどの国にいくべきか、また資金面や語学力の面のハードルをどうクリアしていくか、具体的に書かれているのですぐに準備にとりかかることができる。


【著者】 田村耕太郎

国立シンガポール大学リークワンユー公共政策大学院兼任教授、2024年一橋大学ビジネススクール客員教授。

早稲田大学卒業後、慶応大学大学院(MBA)、デューク大学法律大学院、イェール大学大学院各修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。

ランド研究所研究員、新聞社社長を経て、2002年から2010年まで参議院議員。第1次安倍政権で内閣府大臣政務官。

2014年より、国立シンガポール大学リークワンユー公共政策大学院で「アジア地政学プログラム」を運営し、20期にわたり500名を超えるビジネスリーダーが修了。

2022年よりカリフォルニア大学サンディエゴ校でアメリカ地政学プログラム開催。

▶NEXT:4月1日 月曜更新予定
『働かないニッポン』河合薫著を紹介します。

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