港区の新スポット・虎ノ門「T-MARKET」が叶える、仕事終わりの出会いとは?

2023年10月6日、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」がついに開業した。その目玉のひとつが、新たなグルメ処の「T-MARKET」だ。

そこにはどんな出会いが待っているのか…近隣で働く、ある男の夕食を追いながらご紹介する。


【この物語の登場人物】
・山本拓真(36歳)
虎ノ門ヒルズ駅に近い外資系IT企業に勤務。食べ歩きが好きで、記録用だったInstagramのフォロワーが最近激増。恵比寿在住。彼女いない歴2年。

・岩瀬京子(33歳)
虎ノ門ヒルズ駅を最寄りとする通信系企業に勤務。素材を活かす飾らない料理が好きで、東京でも旅でもおひとり様率高め。中目黒在住。彼氏いない歴1年。

いよいよオープンした駅地下モール。サクッと飯でも食べて帰ろう

「T-MARKET」は地下2階に位置し、虎ノ門ヒルズ駅の改札前広場「ステーションアトリウム」に直結している。営業は8:00~23:00


金曜17時、海外出張帰りの時差ボケがあっていつもより少し早めに会社を出た。

家の近所で和食でも軽く食べようとした時、同僚が「駅地下で面白いところができた」と言っていたのを思い出した。

都内有名店の料理も気軽に食べられるお洒落な飲食のセレクトスポットらしい。

その「T-MARKET」という名の未知なスポットを目指し、完成したばかりの「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」に向かった。

地下2階へ続く長いエスカレーターは高い天井が近未来的で、意外やひとりワクワクしてきた。

そうして辿り着いた入り口は、植物がたくさん置かれ、洗練のデザイン。

知っている人気店の名前もちらほら。このレベルの店がそろっているのか?

約3,000㎡と広大なマーケットには、レストランのイートインをはじめ、ワインやパン、雑貨を買えるショップまで計27店舗が集結


中に入る27店のマップを見ると、自分が好きなピッツェリアや、雑誌で名前を覚えた築地の卸売による鮨店、目利きの食材店がずらりとそろう。

まるで初めて来る小さな街にいるように、歩くごとに高揚していく。

予約困難店が流行るいま、みなふらっと気分に合う空席のある店に入っている。このラフさは海外の市場に併設された飲食店のよう。

女性のおひとり様を発見。確かに、カウンタースタイルで仕切りもないから入りやすい

開けた空間に各店の客席が点在し、テイクアウトを自由に食べられるパブリックテーブルもあり。こちらは鶏料理『鍈』のカウンター。暖簾のマークが目印


物色して気になったのは、『鍈』という鶏料理店。珍しい一文字から、恵比寿にある焼き鳥の超人気店『鍈輝』の姉妹店と想像。

『鍈輝』は最近ご無沙汰で、早い時間で席があったので即決。そして、この辺で働いていそうな女性がひとりで食事中と気づいた。

女性とひと席空けて『鍈』のカウンター席に座る。

聞けば、やはりあの『鍈輝』の新業態。これは期待してしまう

スタッフが着用するのは『鍈輝』のロゴ入りアロハシャツで、モンゴル800の清作さんのデザイン。実際、隣客と話す人は多く、「品のいい方が多いです」とのこと


店員さんと話すと、やはり『鍈輝』の新業態で、恵比寿に勤めていた方が任されていた。

僕が恵比寿在住で『鍈輝』に何度か行ったことを話していると、隣にいた女性が「私も好きで」と自然な流れで会話が始まった。

本店の話で意気投合!


グラスを触れずに乾杯をし、聞けば中目黒在住。少しご近所さんだ。

「“鶏出汁おでん”、凄く美味しいですよ!」と彼女がオススメする一品を頼むと、確かにそのとおり。

「鶏出汁おでん」1,800円(5種)には手羽先や鶏しんじょう等、焼き鳥店らしい具材も用意。左は『鍈輝』とは違うレシピの「鶏そぼろ丼」1,300円。粗挽き肉と軟骨の歯応えがいい


このレベルの料理を気軽に一品から頼めるなんて、もうリピーターになってしまうと、会って30分で意気投合した。

後半は飲みモードになった彼女の最後の一杯と僕が食べ終わる時間は何気なく合い、同時に店を出ると、つい「もう1軒行きます?」と提案していた。

焼き鳥とはまた別の個性を持つ料理がそろい、焼酎もワインも進む
『鍈(スズノネ)』


全品『鍈輝』とはまったく別のレシピで鶏や鴨の美味しさを伝える新業態。仕入れは共通で、福島の伊達鶏をメインに使っている。

基本予約をとらないので先着順だが、立ち飲みで席が空くのを待っているのはあり。

ちょい飲みとしてハイボールにからあげをつまんだり、残業メシとして親子丼を頼んだり、シーンに合わせて気楽に立ち寄ることができる。

■店舗概要
店名:鍈
住所:港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー B2F T-MARKET
TEL:03-3528-8839
営業時間:11:00~23:00
定休日:施設に準ずる
席数:カウンター6席

鍈(虎ノ門ヒルズ) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

規則性のない店の並びに暗くムーディなライティング。流れるBGMもイケていて、駅地下のソレとはまるで違う

カフェ、ダイニング、ショップのエリアがゆるっと分かれるが、エリア内の並びはランダム。音楽は元U.F.O.の松浦俊夫さんが選曲を担当する


大人の遊び場のような場所をふたりでお喋りしつつ一周。

全部見て一緒に選んだのは、『dam brewery restaurant』

ネオンが灯る店内に醸造タンクやアート作品。ここを2軒目と選んだふたりの趣味は完全に合う

ビアグラスがずらり並ぶ『dam brewery restaurant』のスペース


醸造タンクがあって作りたてのクラフトビールを楽しめる店だ。彼女もクラフトビールに詳しくて、2軒連続で趣味が合った。

壁にはアートがあり、タップが8本並び、タンクで作業する人の姿も。

横にタンク3つを備える醸造所があり壁側には友沢こたおさんのアートも並ぶ。ガラス張りなので営業中に醸造家がビール造りを行う様子も見られる


空間としての楽しさもある中で、彼女は僕が頼もうとしたビールを一杯目に頼んでいた。

フレッシュなクラフトビールで仕切り直しの乾杯。フィッシュ&チップスも超絶に美味しい!

名物は「フィッシュ&チップス」1,900円(フィッシュのみ)、2,900円(コンボ)。白身魚の他、ソフトシェルクラブ(写真)、大エビ、イカ、サーモンを加えることも可。「クラフトビール」980円~


飲みながら注文したフィッシュ&チップスを待ち、二杯目で互いのライフスタイルを話し出す。

内容から彼氏がいないと察し、どこか喜んでいる自分がいた。フレッシュなビールは鮮やかに香り、軽やかなムードも作ってくれる。

飲み終えて店を出ると、金曜の夜の始まりといった賑やかな空気が各店から漂っていた。

もう少し話したい。そんな気もしたけど、SNSをフォローし合ったし、会社も近いから、今度またここに誘ってみよう。

東京の各ジャンルのトップがふらりと楽しめるビア処を作った!
『dam brewery restaurant』


ビールのディレクションは都内の人気ブルワリー「アウグスビール」。タップは2~3種の自家醸造の他、全国の注目ブルワリーからも4種を用意。

フードは紹介制レストラン『No Code』の米澤文雄シェフが監修し、空間は片山正通さん率いる「Wonderwall®」が担当している。

■店舗概要
店名:dam brewery restaurant
住所:港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー B2F T-MARKET
TEL:03-3528-8581
営業時間:11:00~23:00
定休日:施設に準ずる
席数:カウンター12席、テーブル70席

dam brewery restaurant(虎ノ門ヒルズ) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

初対面では普通やらない花束を買って渡してみた。その花がカジュアルでとても日常的だったから


そう思って出口を抜ける頃、営業中の花屋が目に入った。「少し見ていい?」と立ち寄ると、カジュアルな雰囲気でセンスのよい花が並ぶ。

普通なら初対面で花を渡すのは気恥ずかしいけど、日常と寄り添う店の雰囲気にのって小さな花束を彼女に渡した。

ダリアやトルコキキョウ、アンスリウムなどをまとめた「ブーケ」4,000円。ピンク系統ながらも落ち着いた色合いが大人の日常をシックに彩る。日付指定の配送も可能


さっと渡したい小さなブーケこそセンスが表れるが、ここは間違いない
『ALL GOOD FLOWERS』


「花のある心地よい暮らし」をテーマとする花のセレクトショップ。

青山に本店があり、花1本から大小ブーケまで購入できる。ドライフラワーや一輪挿しのフラワーベース、靴下など、オリジナルアイテムも豊富だ。

同店を含む13店舗のショップ&カフェエリアは11月24日オープン。

■店舗概要
店名:ALL GOOD FLOWERS
住所:港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー B2F T-MARKET
TEL:03-6811-1312
営業時間:11:00~19:00
定休日:施設に準ずる

ここはいわゆる駅地下だ。でも、港区で一番思いがけずに幸運にめぐり合える場所なのかもしれない

虎ノ門ヒルズ駅の改札までは徒歩約30秒。間を繋ぐアトリウムも真新しくお洒落な空間なので、急に現実に引き戻されることもない


その後、虎ノ門ヒルズ駅からともに日比谷線と気づいて、それは照れると焦る。

「ぜひまた」と声をかけ、会社の方向へ向かった。

▶このほか:SNSで話題の“エンタメ焼肉”が、六本木にオープン!ここでしか味わえない「ユッケ弁当」が絶品

今月の『東京カレンダー』は「港区」を特集。圧倒的にラグジュアリーな店からアットホームな一流店、費用対効果が高いカジュアル店まで完全網羅。

港区好きはもちろん、港区に興味がなかった大人にもぜひ手に取っていただきたい1冊になっている。

⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方Androidの方
※最新版のアプリをダウンロードしてください。

紙版をお求めの方はこちらから

※東京カレンダーは毎月21日頃の発売です。今号は11/21(火)から。

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo