2023.11.02
コース料理に、ハイランドパークをストレートで合わせたら…
マーティン氏の挨拶が終わると、ゲストは最後の部屋「シェルター」に移動した。
ここで「25年」「30年」「40年」と酒齢の違うハイランドパークウイスキーと、コース料理のペアリングを楽しむ。
そして年月の重みをかみ締めながら、最後に「54年」を味わおうというわけだ。
もちろん、東カレ編集部も料理とのペアリングを堪能させていただいた。
ストレートのウイスキーを料理と一緒に味わうのは初体験だったものの、これが意外とイケる…。
前菜は「鮪 イクラ」のタルタルで、セッションしたのは『ハイランドパーク 25年』。
ペアリングしてみると、口の中の生っぽさがさっぱりと消え去り、イクラの濃厚なコクと鮪の旨味だけが見事に1つになっていくから驚きだ。
次は「カルナローリ米のリゾット サフラン」と『ハイランドパーク 30年』。
2つの酒齢を比べてみると、フレッシュ感があるのは「25年」の方で「30年」は味わいに少し落ち着きがある。そのぶん、スモーキー感は減ってバニラ感が増している印象。
そのためかリゾットの味がウイスキーの風味に包まれ、とてもまろやかになる。
メインは「豚肉と玉ねぎ」で『ハイランドパーク 40年』とのセッションだ。
そこで思うのは、やはり高酒齢になるほど口当たりはおだやかになるということ。
「40年」は、肉と野菜のそれぞれの旨味と甘さをしっかりと感じることができた。それでいて口の中はさっぱりとして、後味にかすかなアロマティックを感じる。
これが年月の重みか…。なんてことを考えていると、上座に現れたのは三味線奏者だった。
おもむろにバチで弦を弾いて哀愁漂う音を会場に轟かせたのは、津軽三味線奏者の久保田祐司氏。彼は日本人にしか作れない、津軽三味線を融合させたダンスミュージックを世界に広めているという。
その姿勢は、オークニー諸島という世界の果てから唯一無二のウイスキーを広めようとする、ハイランドパークの精神と通じるものがあった。
こうした余興を挟んで、イベントはついにクライマックスを迎える。
1滴で1万円以上!?超プレミアウイスキーのお味は
その時は、アンバサダーのマーティン氏のひと声とともに訪れた。
「皆さま、お待ちかねのことと思います」
ゲストの顔色が、にわかに変わったのも無理はない。待ちに待った瞬間だった。
目の前に運ばれてきたグラスには1本800万円という『ハイランドパーク 54年』が注がれていた。
恐る恐る手にしたグラスから香ったのは、フッと鼻腔を駆け抜けるオークの香りだったが、決してしつこくない。その香りは、まるで木々に囲まれた寺社仏閣の境内で感じるような、澄んだ心地にさせてくれる。
「もっと、肩の力を抜きなさい」
そう語りかけられているようだった。
「すごくまとまりが良い」。これが、ファーストインプレッションだった。
アルコール度数は46.9度あるそうだが、年月を経てビート感が和らいだおかげか、まろやかな口当たりだ。
一般的に酒齢25年以上のウイスキーは、オークの香りが主張し過ぎることで賛否が分かれるところだが、そんなことも全くない。
最初にふわっとしたオークの香りが口に広がり、そこからスモーキーさが現れるものの決して刺々しくない。
中間・後半にかけては、バニラの甘みやシロップに近いフルーティーな甘みがあり、余韻にまたオークの香りが口に漂う。
ペアリングとして出された「ミルク」(ミルクを4種のテクスチャーで楽しむデザート)との相性も良く、デザートのシンプルな味わいがカラフルな味わいへと変貌していく。
そうして気づくと、心温まる物語を読んだ後のように優しい気持ちにさせられていた…。
奇跡のウイスキー『ハイランドパーク 54年』の余韻に抱かれて…
会場を後にして改めて思うのは、それがいかに貴重な経験であったか、ということ。もはや1本800万円という高額なウイスキーを口にできたという満足感だけではない。
今回のイベントを通して、50年以上の高酒齢ウイスキーを造ることがどんなに難しいか、また創業年に合わせて225本もリリースできたのは驚異であることも知った。
しかも『ハイランドパーク 54年』のような特別なウイスキーは、たいてい海外のオークションにかけられ、ごく一部の富ある愛好家しか味わえないのが現実だ。
それが5本であっても日本でリリースされたのは、ウイスキーを愛する世界中の人々に少しでも多く届けたいと願うハイランドパークの心意気、と言うしかない。
そうした職人たちの誇りを、日本にいながらにして感じられたことは大きい。
一方、今回の取材で改めてわかったこともある。
それは「12年」や「15年」「18年」といった低酒齢でも、ハイランドパークの魅力を十分に堪能できるということ。
むしろ、その方がハイランドパーク特有のフローラルかつ、フルーティな香りや味わいを感じることができるかもしれない。
ハイボールや水割りにして、スパイシーに調理したラム肉や魚のムニエルと合わせるのもいいだろう。そうしてつかの間、荒涼とした大地で風に揺れるヘザーの花を思い浮かべてみてほしい。
新石器時代とヴァイキングの影響を色濃く残すオークニー島で、1798年以来、頑なに伝統を守り続ける、権威あるシングルモルトスコッチウイスキー『ハイランドパーク』。
オークニー島独特の香り高いピートとシェリー樽がもたらす穏やかなスモーキー&ハニー。
情熱的で勇敢な人々が讃えるシングルモルトです。
【お問い合わせ先】
三陽物産株式会社
TEL:06-6352-1124
飲酒は20歳から。飲酒は適量を。飲酒運転は、法律で禁じられています。
妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。
Photos/Shungo Tanaka@MAETTICO,Text/Fumiko Kazama
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