2023.08.21
SPECIAL TALK Vol.107
両親とも医師の家庭。自然と医学の道を選んだ
金丸:早速ですが、ご出身はどちらですか?
菊池:静岡県浜松市です。
金丸:私は鹿児島育ちですが、どちらも日本有数の“うなぎ”の産地ですね。
菊池:うなぎの焼き方は、関東焼きと関西焼きがちょうど浜名湖で分かれるそうです。
金丸:関東と関西がせめぎ合っているんですね。菊池さんはどちらがお好きですか?
菊池:僕は関西焼きが好きです。
金丸:蒸さずに焼く派なんですね。ちなみに高校の同級生は、静岡県内に残る人と県外に出る人ではどちらが多かったのですか?
菊池:県外に出る人ですね。うなぎの焼き方ではないですが、大学の進学先も東京と関西と半々くらいでした。でも僕の周りでは、家業を継ぐために地元に戻ってくる人が多かったです。
金丸:菊池さんは、お医者さん一家なのですか?
菊池:はい。両親が医師で、親戚にも医師が多くて。
金丸:やっぱり。何となくそんな雰囲気が(笑)。
菊池:そうですか?ちなみに妹がひとりいますが、彼女は歯科に進みました。
金丸:そういう環境だと当然、「医者になるよな」という圧力がかなりあったのでは?
菊池:プレッシャーは大きかったですね。
金丸:私の鹿児島の友達も、開業医の息子はみんなプレッシャーをかけられていました。都市部より地方のほうがそういう圧力が強いように感じます。
菊池:確かに東京のほうが、さまざまな進路を選んでいる人が多いように思います。
金丸:ご両親は開業医ですか?
菊池:父は産婦人科の勤務医で、母は祖父から病院を継いだ整形外科医です。
金丸:やっぱり菊池さんは、子どもの頃から勉強ができたんでしょうね。
菊池:小中一貫校に通っていて、割と真面目に勉強していました。でも、中学の最後の方でサボってしまって(笑)。
金丸:とはいえ、医学部に進学されてますよね。
菊池:高校2年の終わりの模試の結果が、本当にひどくて。これはまずいと一念発起して、なんとか合格できました。
金丸:ご両親のプレッシャーもあったでしょうが、医学部へ進むことに迷いはなかったんですか?
菊池:やっぱり両親の影響が大きかったと思います。患者さんを助けて、感謝される姿を見てきましたから。
金丸:医学部に入ってからはどのような生活を?
菊池:私立の医大って、高校の延長みたいにスケジュールがびっしりなんですよ。1限から5限まで授業が詰まっていて、そのあと17時から21時までは部活でテニスをして。授業とテニスで一日が終わる、という感じでした。
不要不急でも夜間救急にやってくる人たち
金丸:お父様が産婦人科、お母様が整形外科ということですが、菊池さんはどのように専門を決めたのでしょうか?
菊池:産婦人科と整形外科は身近だったので、それぞれに魅力を感じていました。研修医として産科でお産に立ち会ったときは、幸せな空気に包まれて、僕までもらい泣きしたこともありましたし、婦人科では悪性腫瘍の難しい症例に当たることもありました。
金丸:整形外科はどうでしたか?
菊池:劇的に良くなる場面が多かったですね。膝や股関節を悪くして歩けなくなってしまった人が、手術をした翌日から歩けるようになるのを見て、すごいなと思いました。それに今後高齢化が進むにつれて、整形外科のニーズはますます増えていく。いろいろ検討した結果、整形外科を選びました。
金丸:先日対談した東京慈恵会医科大学の大木隆生先生は、紆余曲折を経て血管外科に落ち着いたとお話しされていました。菊池さんの場合は、希望通りだったんですね。整形外科のなかでもご専門があるんですか?
菊池:私は脊椎外科なので、首や腰の疾患が専門です。
金丸:やはり専門が細分化されていて、部位別でのスペシャリストになるんですね。
菊池:日本の場合、ジェネラリストよりもスペシャリストを作る教育ですから。
金丸:いろいろと選択肢があるなかで、脊椎を選ばれたのはなぜでしょう?
菊池:脊椎疾患は、麻痺が起きてしまうと手術をしてもあまり機能が回復しないというイメージがありました。ところが、当時の私の上司はとても手術が上手で、術後の成績が非常に良く、良い意味で刺激を受けたのがきっかけです。
金丸:格好いいですね!ただ、ファストドクターと整形外科って、あまりつながりを感じませんが。
菊池:実は、2年の研修医期間を終えて帝京大学医学部附属病院の整形外科に入局し、医師3〜4年目の頃には、もうすでにファストドクターのことを考えていました。
金丸:えっ。じゃあ、相当早いですね。
菊池:帝京は救急が盛んなところです。重篤な患者さんを治療するICU、軽症から中等症の患者さんを治療するER、そして外傷センターの3つがあって、24時間ひっきりなしに患者さんがやってきます。
金丸:医療ドラマの世界を想像します。一刻一秒を争うような。
菊池:大学病院の救急外来は、緊急性が高い患者さんも多く受診しますが、そうではない患者さんも多く、大病院に負担が集中している構図に課題があると感じていました。
金丸:なるほど。ここで最初の話につながってくるんですね。
菊池:たとえば、夜中の3時ぐらいに酔っ払って喧嘩した人が来ることもあります。
金丸:それはまたどうしようもない(笑)。
菊池:もちろん病院に来てもらうことは、悪いことではありません。ただ、大学病院は難易度の高い患者さんを救うことが使命です。不要不急の患者さんが、大学病院の救急外来を、一般外来と同じような感覚で受診していることに違和感を感じていました。次第に、「この状況をどうにかできないかな」と思うようになりました。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
2024.05.21
Vol.116
~多くの人の期待と希望を背負う街づくりほど、面白い仕事はない。~
2024.04.19
Vol.115
~この楽器だからこそできる表現を。歴史ある箏を武器に世界を目指す~
2024.03.21
Vol.114
~勝負の気持ちから感謝の気持ちに。青森の伝統を守り、盛り上げたい~
2024.02.21
Vol.113
~学問という知的な武器を子どもたちに。学びの体験をアップデートして日本を変える~
おすすめ記事
2023.07.21
SPECIAL TALK Vol.106
~日本における医療の弱みはウェルビーイングの浸透で改善できる~
- PR
2024.11.20
銀座で女性と過ごす夜。アイリッシュウイスキーが引き寄せた、2人だけの密やかな高揚とは
2016.07.05
年収1,000万超の秘密とは!人気職業"総合商社"の給料の実態に迫る
2015.11.27
金曜美女劇場
伝説と呼ばれた銀座の美ママが語る“出世する男”の条件とは?
- PR
2024.11.18
総勢100名に当たる!西友&東急ストアで「スプリングバレー」を買って東カレ厳選グルメをもらおう!
- PR
2024.11.21
クリスマスは絶景を望むホテルデートへ!彼女がワッと喜ぶ、とっておきの夜を丸の内で過ごすなら…
2016.03.12
貴方がAirbnbの社長だったら?大前研一の授業が追体験できる人気本がきた!
2024.03.10
「コスパが良くて、特別感があって絶品!」歓送迎会の参加者全員が喜ぶ、銀座・丸の内の店3選
2015.11.04
大阪に出張したら必ず寄りたい、浪速に惚れる美食店4選
2023.08.30
ハラスメント探偵~解決編~
オフィスに家族写真を飾っていたら“セクハラだ”と内部通報された男性社員。会社側のジャッジはいかに!?
東京カレンダーショッピング
『佐藤養助商店』:門外不出の技による、喉ごし滑らかな"稲庭干饂飩"
『かに物語』:ふっくらと肉厚な一本爪が2本入ったフレンチカレー
『西岡養鰻』:特製タレ付き!脂の乗った高品質な鰻を土佐備長炭で丁寧に焼き上げた蒲焼
『マルヒラ川村水産』:ご飯に載せて贅沢いくら丼!1粒1粒に旨みが凝縮された、とろける食感の北海道函館産天然いくら
『North Farm Stock』:北海道産ミニトマト使用!糖度が高く、コクとうまみがたっぷり詰まったトマトジュース
『ル・ボヌール 芦屋』:フリーズドライフルーツにホワイトチョコがたっぷりと染み込んだ新感覚スイーツ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"