2023.07.25
食通な相手との食事会の予定。さあ、大事な店選びはどこにする?
暑い日に惹かれる蕎麦店や、目でも楽しめる焼肉店など、気分高まる新店が続々誕生しているのだ。
いま、行くべき都心のニューフェイス5軒を厳選した!
腰を据えて蕎麦と向き合う時間が、またひとつ食への造詣を深めてくれる
在来種に特化した蕎麦店として蕎麦通に愛されてきた西麻布『蕎麦おさめ』が目白に移転。
古民家をリノベーションした閑静な一軒家としてリスタートした。
つくばいや灯籠を配した坪庭を臨む店内は、座敷をフローリングに改装。築100年の面影を残しつつも、どこかモダンな趣が漂う。
扱う蕎麦はもちろん在来種。その土地土地で品種改良することなく昔から栽培されてきた蕎麦で、「香り豊かで濃厚な味わいが特徴です」とはご主人の納 剣児さん。
常時20種余りがそろう中、毎日3種をせいろ、粗挽き、玄挽きに打ちわけている。
例えば、品の良い甘みの富山山田清水の在来種は喉越しの良いせいろに仕立て、噛むほどに旨みが滲み出る熊本は久木野の在来種は歯応えのある粗挽きに打つといった塩梅だ。
中でも白眉は玄挽き蕎麦。殻ごと打てばこその力強い味わいとともに、細めに打つことで繊細さを加味。
3種の蕎麦を食べ比べるコースで知る、驚くべき味の違い
微粉で打つ“せいろ”は富山県山田清水の在来種を使用。蕎麦はいずれも十割。
口に入れると広がる香りに陶然となる。
“粗挽き”は、熊本・久木野の在来種。
通常は太めに打つケースが多い粗挽きだが、納さんは、喉越しの滑らかさも鑑みて細めに打ち上げている。
“玄挽き”は、実が小粒で殻が薄く中身の詰まった福井県の大野在来種。
デリケートな甘みが特徴で、殻のまま打てばより風味豊かに楽しめる。
野趣味とたおやかさが相反する味わいはここならでは。
日本酒と共に蕎麦三昧と洒落てみたい。
■店舗概要
店名:蕎麦おさめ
住所:新宿区下落合3-21-5
TEL:03-6908-2362
営業時間:ランチ 11:30~(L.O.14:00)
ディナー 17:30~(L.O.20:00)
定休日:月曜、火曜
席数:テーブル20席、個室1(4席)
視覚と味覚とに強く訴えかける、キャッチーな焼肉がここにある
2019年に高円寺から渋谷・百軒店に進出するや、ダイナミックなプレゼンテーションで界隈を風靡した焼肉店『新井屋』。
肉の目利きとして知られる代表・新井英樹さんが手掛けているだけに、もちろん見映えのみならずその品質にも定評がある。
現在百軒店で3軒を展開し、気を吐く新井さんによる初のプロデュース店が水道橋に出現した。その名も『ANIKU produced by 新井屋』。
名は体を表す、なこちらの店では“新井屋クオリティ”の和牛や鮮度抜群のホルモンを、心置きなく楽しめる。
『新井屋』で人気のタンやハラミやレバーの「厚切り」シリーズや「ネギタン」などに加え、ブロック状のカルビを高く積み重ねた「タワーカルビ」やインパクト大の「ANIKU1本ステーキ」「焼肉屋の青椒肉絲」「バジルミノサンド」といった、新感覚のオリジナル焼肉も多数。
スタイリッシュなカウンターと落ち着けるテーブル、シーンに応じて選べるフロア構成も心憎く、水道橋を訪れる機会が増えそうだ。
厚切り焼肉の面目躍如、堂々とそびえるタワーカルビ
名物「タワーカルビ」2,980円(2段4切れ。1段2切れ1,200円で追加可能)。
6面をカリッと焼き上げるのが、美味しく味わうコツだ。
『新井屋』で圧倒的な人気を誇る「特上厚切り上レバー」(1,980円)がこちらでも。
ピシッと立った角が鮮度の良さを雄弁に物語る。
「ANIKU1本ステーキ」(2,600円)は希少部位「ササミ」を1本まるごと供する。
じゃばら状にカットされた肉は、焦らずじっくりと焼くべし。
「焼肉バーガー」は、9,800円のコースでのみ味わえるスペシャルな一品。
もみダレで味付けした赤身肉を焼いたら、硬すぎず柔らかすぎず、肉と一緒に齧るのに最適化された特注のバンズで挟む。
仕上げには、粒マスタード入りのステーキソースを添えて。
■店舗概要
店名:ANIKU produced by 新井屋
住所:千代田区神田三崎町2-16-10
TEL:03-6261-6666
営業時間:17:00~(フード L.O.22:30)
定休日:不定休
席数:カウンター10席、テーブル24席 ※コースは要予約
こなれた大人は持っている。“静寂な白金”に忍ぶという切り札を
約400年の歴史を持つ庭園に抱かれ、格式高いブライダルスポットとして人気の「八芳園」。
今年4月、それまで和食を提供していたメインダイニングが『RESTAURANT ENJYU』として生まれ変わり、耳目を集めている。
『RESTAURANT ENJYU』では“イノベーティブ・フュージョン”をコンセプトに、ジャンルにとらわれない料理を提供。
かねてより「八芳園」が日本各地の自治体や優れた生産者と築いてきたネットワークを駆使して、ポテンシャルの高い食材を全国から取り寄せている。
それらをクリエイティビティあふれる品々へと昇華させるのは古山 哲シェフ。素材の魅力を見極め、新鮮味ある料理を紡ぎ出している。
コースの内容は頻繁に変わるが、初夏のある日は、旬の稚鮎や空豆を盛り込んだ皿で魅了。
夏に向けては、主に群馬から届くフルーツの酸味や瑞々しさを盛り込む予定だとか。
確かな美味と問答無用の美しき料理は、今宵の成功を約束する
群馬から届いた稚鮎を軽やかに揚げた「稚鮎のフリット」には、能登「あんがとう農園」の無農薬ハーブやエディブルフラワーを美しくあしらって。
山口・萩で揚がった甘鯛はウロコをパリパリに仕上げる松笠焼きに。
カメノテやアワビによく似た「グベ」といった珍しい魚介やあおさのりと共に、甘鯛の出汁と合わせている。
「空豆のニョッキ」は一旦ピューレ状にした空豆をジャガイモと混ぜ合わせ、再び豆のフォルムに丸めて揚げてから、鞘を器に見立てて盛った茶目っ気のあるひと品。
料理はすべて15,000円のコースの一例。
歴史ある施設とコンテンポラリーな料理という、取り合わせの妙に魅了されたい。
個室が4つあり、会食での使い勝手も抜群。
中でも6名用の「槐樹の間」は、ひときわ落ち着いた雰囲気。店名にもなっている槐樹の木のモチーフが壁にあしらわれている。
■店舗概要
店名:RESTAURANT ENJYU
住所:港区白金台1-1-1 八芳園内
TEL:0570-064-128
営業時間:【月・金~日・祝】ランチ 12:00~(最終入店 13:00)
ディナー 18:00~(最終入店 19:00)
【水・木】18:00~(最終入店 19:00)
定休日:火曜(このほか、八芳園の営業日に準ずる)
席数:カウンター8席、テーブル16席、個室4 ※前日までに要予約
新店相次ぐ日本橋界隈にオープンし、すでに界隈の大人が昼夜足を運ぶ期待の和食店がここ『和氣 旬』。
ご主人の宮原 瞬さんは、ミシュランの星付き店『銀座 小十』で修業、更には銀座やパリの『奥田』で料理長としても腕を振るった経歴の持ち主だ。
独立を果たしたこの店では、“小十”で学んだ「素材感を大切にする」姿勢を信条に、フランスでの経験を生かし、既成概念にとらわれぬ自由な発想で食材にアプローチしている。
例えば今が旬の鱧。“鱧の落とし”に添えているのは、定石の梅肉ではなくペースト状にしたセミドライトマトと胡瓜の摺り下ろしというように、独自のアレンジが新鮮だ。
それも「鱧の本来の味をより感じられるように」との思いゆえ。カットも大胆な鰻が存在感を示す“鰻ざく”も同様だ。
出汁や料理には、まろやかな旨みある木曽の天然水を用いるなど、基本の味作りへのこだわりにも抜かりはない。一品ごとの食べ応えも上々だ。
パリのエスプリが潜む和食の数々は、夏の夜の一服の清涼剤
付き出しの「鱧の湯引き トマト 胡瓜酢あん 赤玉ねぎ」。
爽やかな夏の味が口中に広がる。
椀物は「ハタと冬瓜、アスパラガス 青柚子 蓴菜」。
木曽の天然水と真昆布でとる出汁は、まろやかな味わいが舌に残る。
1.3kgの琵琶湖の大きな天然鰻を用いた「鰻ざく ズッキーニ パプリカ 茗荷 若布」。
肉厚の身とパリパリに焼いた皮との食感のコントラストも美味。
デザートは「マンゴーの葛切り 抹茶小豆きんつば」。
葛切り自体にもマンゴーを練り込み、香り高く喉越しがいい。
写真の料理は全て26,000円(サ別)のコースより。
こだわりの酒と美しき切子のグラスに日本への愛を感じる
日本酒はもとより、ワインも日本ワインを取りそろえるなど、シャンパン以外のお酒は全て国産。
日本のテロワールを意識したラインナップだ。
江戸切子を施した特注のシャンパングラス。
ここにしかないカッティングの美しさは一見の価値がある。
■店舗概要
店名:和氣 旬
住所:中央区日本橋本町1-4-15 日本橋大勝軒ビル 201
TEL:03-6281-9929
営業時間:【火・木・土】18:00~(L.O.21:00)
【水・金・日】ランチ 12:00~(L.O.13:00)
ディナー 18:00~(L.O.21:00)
定休日:月曜、祝日、不定休
席数:カウンター8席
深夜でも無化調中華。神楽坂の美食は夜が更けても抜かりない
塩昆布と鶏を和えた「蒸しどり」に甜麺醤で味付けした「鯵のなめろう」、そして「牛肉山椒コロッケ」は、時雨煮にした花椒風味の牛肉入り等々。
和のアレンジもユニークな中華メニューか並ぶここ『take』は、あの神楽坂『エンジン』の2号店。
「コースのみになった『エンジン』の代わりにアラカルトでカジュアルに楽しめる店を作りたかったんです」とは『エンジン』の松下和昌シェフ。
新店を任されたのは、同店で6年間修業を積んだ30歳の阿部 孟シェフだ。目指すは大人の中華居酒屋だそうで、深夜2時までの営業も頼もしい限り。
カウンター主体の店内は、気の利いた料理と酒を自分のペースで楽しむ上客たちで静かな賑わいを見せている。
いずれもひと皿のポーションは少なめで、2軒目や3軒目はもちろんつまみが充実したバーとしても優秀。
人気の焼売、餃子は1個からOKとお一人様でも使い勝手は上々だ。
無化調無添加のポリシーは本店と変わらない。深夜でも胃に優しい美味しさだ。
■店舗概要
店名:take
住所:新宿区神楽坂4-2-1 2F
TEL:03-6265-3944
営業時間:19:00~26:00
定休日:日曜、祝日
席数:カウンター10席、テーブル4席
今月の『東京カレンダー』は「下北沢という刺激」特集。初めて特集する「下北沢」で大人が楽しめる店だけを厳選してピックアップ。
普段行き慣れないエリアを攻略してこそ、東京の大人だと改めて実感した。「下北沢」は若者だけに遊ばせておくのはもったいない!
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方・Androidの方)
※最新版のアプリをダウンロードしてください。
⇒紙版をお求めの方はこちらから
※東京カレンダーは毎月21日頃の発売です。今号は7/21(金)から。
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