オトナの5分読書 Vol.5

東大卒でハーバードに留学!華麗な経歴を持つ山口真由が語る、壮絶な人生の挫折…

2. 弁護士事務所での「肩たたき」


財務省を辞めたあと、自分の中での「王道パート2」である「弁護士の道」を歩み始めた。

司法試験は大学3年生のときに合格していたため、企業法務を取り扱っている大手事務所に、すんなり就職が決まる。

でも、残念ながら弁護士事務所でも、仕事で評価されることはなかった。

実は私は、「考える」こと全般が嫌いだったのだ。

それまでも勉強中に深く考えたことなど一度もなかった。私にとって勉強とは、深く考えてはいけないこと。情報量と処理能力の勝負でしかなかった。弁護士になるための勉強ですら「通説と判例を覚えて出す」の繰り返しだと考えていた。

だから、弁護士事務所で「自分で考えろ」と初めて言われて衝撃だったし、求められるパフォーマンスで結果を出すことはできなかった。

大量のリサーチをスピーディーに行うことで抜きん出るしかないと考えて、より多くの仕事を取るという手段を取ることにしたのだ。

難易度の低い仕事も、その後のキャリアアップにつながるような大事な仕事も、見境なく、すべて引き受けた。そうやって多くの仕事を手掛けた結果、処理スピードは落ちていき、評価も下がるという悪循環に陥る。


そのタイミングで、メディアの仕事が増えた。

弁護士事務所が求めるような、伝統的な弁護士のあり方から離れていき、結果的にますます仕事をアサインされなくなったのだ。

そのとき、既に米国ハーバード大学のロースクールへの留学が決まっていたが、留学前に辞職を言い渡されたため、私は、逃げるように米国へ飛び立った。

私は「他人による評価」に自己評価を連動させていたのだ。だから、勉強の成績がよかったときは「私は優れた人間だ」と思っていたが、職場の評価と共に自己肯定感も下がった

3. 婚約者との突然の破局


留学前、31歳のとき、会社員の男性と結婚を前提に付き合い始めた。

彼と9カ月ほど付き合った頃、米国に留学する話が来て、帰国後に結婚しようという話になっていた。

しかし、留学が終わる2カ月前に突然、「もう終わりにしたい」というLINEが届いたのだ。私は慌てふためき「今すぐ会いに行きたい」と返信したが、「会って話すことがない」と取り付く島もなかった。


ニューヨーク司法試験の直前だったが、一時帰国も可能だったので、あのとき、何を言われても帰ればよかったのかもしれないな、と今振り返ると思う。

彼との結婚が破談になり、自分の「結婚」のプランが崩壊したときのショックも非常に大きかった。「人生計画のすべてが崩れてしまった」と思えた。そして、33歳で帰国したが、出会いは驚くほど減っていた

彼と一時、築くことができていたような深い親愛の上に成り立つ関係を、改めて誰かとの間に築くことが、どんどん難しくなってしまっていることに気づいたのだ。

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