【ほろ酔いシネマVol.4】美味しく爽快なハートフルコメディには、チリのシャルドネを

有名ワイナリーから独立。父祖の土地でワイン造り


嵩倉:で、柳さん、たとえば有名ワイナリーから独立したワインメーカーとかっていたりします?

:クラリン、目の付けどころがいいね。僕もその線で考えていたところ。

元オーパス・ワンのワインメーカーで、自身のワイナリーをカリフォルニアだけではなくアルゼンチンでも立ち上げたポール・ホッブスとか、ブルゴーニュの大御所、ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエで30年以上にわたり醸造責任者を務め、先年引退して息子と一緒にワイン造りを始めたフランソワ・ミエとかね。

名前はあえて出さないけど、カール同様、オーナーに楯突いてワイナリーを辞め、自らワインを造り始めた若手醸造家もいたりする(笑)。

嵩倉:やっぱり、ワイン造りの世界にもいるんですね。

:それで今回僕が選んだのはチリの「ベティッグ」だ。

「Baettig Vino de Viñedo los parientes chardonnay(ベティッグ・ヴィーノ・デ・ヴィニエド ロス・パリエンテス・シャルドネ)」


フランシスコ・ベティッグが従弟から土地を買い取り、ブドウを植え付けたのが始まりのワイナリー。

家族の歴史が刻まれた土地から生み出されることから「ロス・パリエンテス=親戚・親族」という名が。果実味に加え、はつらつとした酸と硬質なミネラルが印象的。

4,200円(2021)/ヴァンパッシオン TEL:03-6402-5505

チリ最南端の冷涼気候から極上ブルゴーニュを彷彿とさせるピュアな酸とミネラルが生まれる


嵩倉:チリですか?

:うん。チリに「エラスリス」というトップワイナリーがある。

著名な評論家のジェームズ・サックリングがこのワイナリーの「ヴィニエド・チャドウィック」という赤ワインに、チリで初めて100点満点をつけているけど、それを造ったのがチーフワインメーカーのフランシスコ・ベティッグだ。

彼がエラスリスの仕事を続けながら、2013年に始めたプロジェクトがその名もベティッグで、現在は表向きエラスリスの要職からは離れ、自身のワイナリーに注力している。

嵩倉:それでどんなワインを?

:彼がブドウを植えたのは、チリ最南端のマジェコ・ヴァレー。冷涼な気候を利用しておもにシャルドネとピノ・ノワールからワインを造っている。

なんでも19世紀にスイス移民のベティッグ家がチリに来て住み着いた土地が、このマジェコ・ヴァレーのトライゲン村だそうで、フランシスコにとってはまさに原点回帰というわけ。

とくにこのシャルドネは出色の出来で、知らずに飲んだらトップクラスのブルゴーニュと間違えそうだ。

新谷:キューバサンドとも合うかしら?

:キューバサンドは味がややくどいので、ワインのきれいな酸とミネラルが口の中をリフレッシュしてくれると思います。

嵩倉:値段もお手頃。嵩倉はこのワインを片手にキューバサンドを頬張りながら、映画をもう一度観てみます。

:クラリン、キューバサンドはカロリー高めだから、食べ過ぎにはくれぐれも注意ね。

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幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト。今月の映画、個人的にはラストの展開に少し意見アリだったとか……。


映画を中心に、書いたり取材したり喋ったり。料理を作るよりも、食べることと後片付けが得意。日々、スーパーマーケットとデパ地下のお惣菜売り場にお世話になる。


本連載の担当になって5年目に。ワインの知識は少しずつでも着実に積みあがっていると信じ、柳氏にしがみつく日々。朝起きて「今夜何を食べよう」と考えるほど食い意地あり。


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