毎月、映画とワインのマリアージュを提案していく連載・ほろ酔いシネマ。
今月は、フードトラックの移動販売を始めた、一流レストランの元総料理長が主人公の『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。
劇中に出てくるキューバサンドを片手に、ハツラツとした酸が感じられるチリのワインで、おうちシネマを楽しもう!
▶前回:Vol.3「異色コメディ『ロブスター』×イタリアのオルネッライア」
今月のワインシネマ『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
【STORY】変化を望まないオーナーと対立し、一流レストランを辞めた凄腕シェフ。彼が心機一転始めたのは、キューバサンドイッチの移動販売!
『アイアンマン』シリーズの監督で知られるジョン・ファヴローが「一番作りたかった映画」だと、監督・製作・脚本・出演する、ロードムービースタイルの美味しい映画。
自分を貫くことは格好いい!一流シェフから屋台の店主へ。美味しくて気づきのある爽快作
一見ほんわかした人間ドラマに映る本作品。
しかしながら、自分のやりたいことを貫くか、長いものに巻かれて生きるか、仕事とどう向きあうのか、家族とどう関わっていくのか、大人に刺さるポイントが満載。
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嵩倉:今回もまた名優ぞろいです。ダスティン・ホフマンにスカーレット・ヨハンソン、それにロバート・ダウニー・Jr。
柳:髭なしのロバート・ダウニー・Jrがとても新鮮だった(笑)。
新谷:ファヴローは『アイアンマン』(1・2)の監督、『アベンジャーズ』シリーズの製作総指揮でもありますね。
嵩倉:なんといっても、劇中に登場するお料理が美味しそう。
新谷:料理指導にフードトラックブームの火付け役として知られるロイ・チョイを起用し、ファヴローはシェフの役作りのため、正体を隠して彼の店『Kogi BBQ』で実際に働いてみたそうです。
私、この映画を見たら、無性にキューバサンドが食べたくなっちゃって、都内で食べられるお店を探しまくりました(笑)。
嵩倉:パンにマスタードを塗り、ローストポーク、ハム、チーズ、ピクルスを挟んでサンドイッチプレスで焼いたのがキューバサンド。
キューバ移民がフロリダに持ち込んだソウルフードですが、劇中にもあるとおり、パンの表面にバターをたっぷり塗りたくり、こんがり焼き上げるのがポイントです。
柳:さすが、東カレ編集者。
嵩倉:てへ。
新谷:この映画、ふだんはハリウッドの大型予算映画を撮っているファヴローが、インディーズで製作した点もポイントです。
主人公カールのように、ファヴローが映画人としての原点に戻るという意味もあるのかなと思ったりして。